第4回「友人に『主婦はいいよねえ』と言われる」
Q 独身の友人は、会うたびに「主婦はいいよねえ」だの「私もラクしたい」だのグチばかり。反論したいのですが、外資系でバリバリ働いている彼女にはたちまち言い負かされそうで、つい黙ってしまいます。「主婦だってラクじゃない」とわかってほしいのに……。(東京都・30歳・主婦)
A そのお友だちは、たぶんあなたがうらやましいんでしょうね。いや、ラクそうだからじゃありません。仕事に追われる毎日で、自分の人生に疑問を覚えることもあるであろう彼女にとって、家庭という確固たる居場所があるあなたは、まぶしくも妬ましい存在です。ま、本人に自覚はないでしょうけど。
デンと構えて聞き流し、逆に哀れみの目を向けてあげましょう。独身だから気の毒というわけではなく、本当に充実した日々を送っていたら、主婦を見下して必死でプライドを保つ必要なんてないはずです。
納得できないのはよくわかりますが、言い返してやりたい、わかって欲しいとイライラするのは、あなたの側も今の自分に自信が持てないからかも。どんな立場でも思うところはありますけど、他人と比べて安心を得ようとするのは、けっこうみっともないし何より不毛です。
どうやら追い詰められている彼女には、先手必勝で思いやりを発揮してあげたいところ。「たいへんねえ」と同情したり「さすがねえ」と持ち上げたり、あるいは「主婦は気楽よ」と謙遜したり……。結果的にはそうすることが、彼女の口から「きっと主婦だってラクじゃないよね」という言葉を引き出す近道です。
美輪さんのお言葉は、表現は厳しいですが、たしかにそのとおり。相手に対して、思いやりではなく対抗意識を燃やしているうちは、思いやりは理解はけっして得られません。