【人生相談 駆け込み寺】第16回「下町デートに上司が苦言」
浜の真砂は尽きても、世に悩みの種が尽きることはありません。いったん落ち着いて、胸に手を当ててみたりもして、果敢に無難に乗り越えていきましょう。※「夕刊フジ」で2016~2018年に連載(全17回)
【今回のお悩み】結婚を意識している女性がいます。彼女が「庶民的な居酒屋が好き」というので、下町の飲み屋でデートを楽しんでいます。職場の飲み会で上司にそのことを話すと、「彼女に失礼だ」と怒り出しました。上司がいうには、「女性は最高級のところでもてなすべきだ」とのことでした。「彼女の希望なんです」と伝えても、「本気度が伝わらない。そんなんじゃフラれるぞ」と脅されました。僕のやってることってそんなダメですか。(会社員・男性 38歳)
世の中も人生も「雑音」が多すぎます。いろんな意見や情報があふれていますが、ほとんどは耳を貸す必要はありません。
「女性は最高級のところでもてなすべきだ」という上司の助言は、最高級に無意味な雑音です。きっと今まで、さぞ女性と縁が薄かったのでしょう。本人は付き合っているつもりだけど、じつはキャバクラ嬢の方々などにカモにされ続けてきた彼の人生が、くっきり浮かび上がってきます。
下町の飲み屋でのデート、けっこうじゃないですか。結婚を意識しているならなおさら、背伸びをしないデートを一緒に楽しめることが大切だし、それこそ彼女の本気度を感じ取れます。
くれぐれも、上司のマヌケで無責任な助言を真に受けないように。急に高級なお店でのデートを提案したら、一度や二度は物珍しさに喜んでくれるかもしれませんが、何度もやっていたら「ああ、私とのことは本気じゃなかったのね」と思われて、ほぼ間違いなくフラれるでしょう。
あなたがやっていることは、ぜんぜんダメではありません。しかし、上司の「雑音」にオタオタしているところは、超ダメダメです。素直で善良な性格なんでしょうけど、その手の「雑音」には、適当に話を合わせつつ内心はスルーするのが、大人の技量であり勇気に他なりません。
次の下町デートでは、上司の珍説を肴に彼女と盛り上がりましょう。そのとき、本気で悩んだことを伝えるのは厳禁。あくまで笑い話として扱わないと、その上司同様、根本的なところで女性をバカにしている「おっさん野郎」のレッテルを貼られてしまいます。