見出し画像

【どっちでもいいのだ!】 その44「うどんはコシがあるほうがおいしい 当然だ! そうでもない」

一度しかない人生。眉間にシワを寄せているヒマがあったら、笑ジワを作りながら暮らしたい。「どっちでもいいのだ」精神で、毎日をゆるゆると生きてみませんか? ※「東京スポーツ」で2017~2018年に連載(全44回)

 会社の近くに讃岐うどんの店ができた。部長がさっそく食べてきて、「ちゃんとコシがあってウマかった」と言っている。ところが、いつもひと言多い同僚が「ぼくはコシが強いうどんは……」と異論をさしはさみ、部長は部長でムキになって「コシのないうどんなんてうどんじゃない!」と返してオフィスに無駄な緊張感が走った午後1時半。

 たしかに、コシがある讃岐うどんの食感は、格別です。しかし、うどんの多様性や可能性は半端ではありません。伊勢神宮周辺で昔から大人気の伊勢うどんは、太くてコシのない麺が特徴だし、博多うどんだってやわらかさが持ち味です。「コシのないうどんなんてうどんじゃない!」というセリフは、明らかに暴言であり、うどんに対する己の見識の浅さを露呈していると言えるでしょう。

 うどんに限らず仕事にせよ生き方にせよ、自分の常識や固定観念なんてアテになりません。そんなものを根拠に「こうあるべき」と決めつけるのは、大人として浅はかだし、もったいない話です。いつもの言葉を叫んで、厄介な呪縛から自分を解き放ちましょう。

「どっちでもいいのだ!」

 コシがあるうどんもないうどんも、出世を目指す生き方も目指さない生き方も、関白な亭主も尻に敷かれる亭主も、どっちもアリだしどっちも「正解」です。

 うどんを食べるたびに、いろんな価値観を認める大切さに思いを馳せたら、私たちの毎日はもっと豊かで幸せなものになり、世界はもっと平和になりそうですね。

応用編 この連載が今回で「最終回」を迎えるらしい

 この連載は、じつは今回が最終回です。1年半にわたるご愛顧、ありがとうございました。「えっ、そうなの!」と惜しんでくださる方がいたとしたら、望外の幸せです。

 でも大丈夫。そういう方の胸には、しっかりと「どっちでもいいのだスピリッツ」が刻まれているはず。最後も、いつもの言葉で見送ってください。「どっちでもいいのだ!」。

いいなと思ったら応援しよう!