【人生相談 駆け込み寺】第12回「パワハラ先輩の激変に困惑」
浜の真砂は尽きても、世に悩みの種が尽きることはありません。いったん落ち着いて、胸に手を当ててみたりもして、果敢に無難に乗り越えていきましょう。※「夕刊フジ」で2016~2018年に連載(全17回)
【今回のお悩み】人事異動で、直属の上司に苦手な先輩がやってきました。新入社員のときに指導してくれた人ですが、パワハラがすごいんです。ミスすると罵倒されて、仕事が終わると飲みを強要されました。「また地獄か」と思っていたら、久しぶりにあった先輩はすっかり性格が丸くなっていました。若手は「理解のある上司」と思っているみたいですが、私は「猫かぶってんじゃないのか」と疑いを持っています。あまりに気味が悪いので、接し方に迷っています。(会社員・男性 35歳)
猫をかぶっているのか、本当に性格が丸くなったのか、そこは気にする必要はありません。確かなのは、若手から「理解のある上司」と思われている人物が、直属の上司になったということ。
誰だって、会社で見せいている顔は「作り物」です。コワモテなおっさん上司が、じつは女装マニアかもしれません。地味で暗い後輩女性が、夜な夜なクラブで踊りまくっていることだって大いにありえます。
あなたが新入社員だったのは、軽く10年以上前のこと。その先輩の中身が変わっていないとしても、このご時世、当時のようなパワハラは許されません。
相手の「本性」なんて気にせず、こっちはこっちで全力で猫をかぶりましょう。「いつのまにか見違えるように成長した中堅社員」をベースに、「若い頃に指導してもらった恩を忘れず、尊敬の念を抱いている後輩」の要素も加えたいところ。ヘタに素で接しようとするから、どうしていいのか迷ってしまうのです。
「○○さんに鍛えてもらったおかげで、どうにか一人前になれました」「いやいや、俺は何もしてないよ」といった定型のやり取りを繰り返せば、少なくとも上辺は親密な関係になれるはず。
未熟だった新入社員のあなたには、その先輩の言動がパワハラに見えていたけど、もしかしたら面倒見がいいだけだったかもしれません。過去の記憶におびえてないで、全力で普通に接して、大人としてひと回り大きく成長しましょう。
仮にパワハラな一面をのぞかせても、「懐かしいですねー」と喜んでしまえば、たちまち勢いが弱まるに違いありません。