大人の〈三重自慢力〉養成講座-「伊勢うどん」の巻 STEP2
(STEP1の続きです)
STEP2 伊勢うどんを華麗に自慢するための3ヶ条
ポイント1 見事なまでの地域限定ぶりを語る
伊勢市では「うどん」と言えば「伊勢うどん」。しかし同じ三重県でも、伊勢以外のほとんどの地域の人にとっては、とくにそういうわけではありません。最近でこそ、ややメジャーな存在になってきましたが、「見事に伊勢だけで食べられてきた」ことを強調すれば、神秘性や独自性を感じてくれるはず。
同時に本来以外の食べられ方、たとえば、
「風邪をひいたらお粥よりも伊勢うどん」
「赤ん坊の離乳食にも伊勢うどんは重宝」
そんなエピソードを披露することで、伊勢の人にとって、伊勢うどんがいかに身近で大切な存在なのかを伝えられます。
400年近い歴史があること、三河から船で運ばれたたまり醤油が重要な役割を果たしたこと、伊勢神宮の参拝客のお腹にやさしいようにという意味もあること、なども合わせて語れば、伊勢うどんの偉大さがより深くわかってもらえるでしょう。
ポイント2 自分なりの「こだわり」を主張する
伊勢うどんは、極めてシンプルな食べ物です。だからこそ、細かい部分へのこだわりが大切。「一味唐辛子は、全体にまんべんなくかけるのが好き」「かき回してから、10秒ぐらい待つとよりおいしくなる」といった自分流の食べ方を主張しましょう。
また、三重県人としては、「問1」じゃありませんが、自分のイチ押しのお店を持ちたいもの。もちろん、なぜそのお店の伊勢うどんが好きか、明確に語れる必要があります。
「あの店はタレを先に丼に入れている」
「ダシの上品さがほかの店とは違う」
そんなことを他県の人に熱っぽく語ることで、伊勢うどんが持つ見かけによらない奥深さを感じ取ってもらえるでしょう。
最近は、いろんなものをトッピングするのも流行りです。「やっぱりストレートが一番!」と主張するもよし、「卵の黄身だけを入れるのが好き」「納豆を入れるといける」など好みの食べ方を持つもよし。いずれにせよ、こだわりを語れば語るほど、伊勢うどんを多彩に自慢したことになります。
ポイント3 「コシのなさ」に深い意味を読み取る
伊勢うどんの最大の特徴は、麺がぶよぶよでコシがないことです。うどん界においては、人気の讃岐うどんの対極に位置する存在。しかし、「コシのないうどんなんて」と非難される筋合いはありません。伊勢うどんに敬意を抱いている三重県人としては、そのコシのなさに深い意味を読み取ってしまいたいもの。
「うどんにコシを求めたりするから、世知辛い世の中になったのではないだろうか」
「あのコシのなさは、なあなあでやっていく大事さを教えてくれているに違いない」
「コシはないけど麺としての形はしっかり保っている。表面がやわらかいのもタレとしっかりからむため。アッパレな姿勢である」
そんな話から、伊勢うどんは実は三重県人の気質を象徴している、伊勢うどんは実は日本を救うヒントを与えてくれている、といった話に持っていくのも一興です。納得してもらえるかどうかはさておき、強引なこじつけっぷりに、伊勢うどんに対する愛の深さは少なくとも感じてもらえるに違いありません。
(伊勢文化舎刊「伊勢人」2006年2/3月号より)