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【どっちでもいいのだ!】 その38「新人にビールの買い出しを頼んだ ちゃんとビールだった 発泡酒を買ってきた」
一度しかない人生。眉間にシワを寄せているヒマがあったら、笑ジワを作りながら暮らしたい。「どっちでもいいのだ」精神で、毎日をゆるゆると生きてみませんか? ※「東京スポーツ」で2017~2018年に連載(全44回)
新人と部下と男3人で残業。急ぎの作業も、だいたい目処が立ってきた。お腹もすいたので、新人君に「コンビニに行って、これでみんなの分の弁当と、あと缶ビールも買ってきてくれ」とポケットマネーで五千円札を渡した。しばらくして、レジ袋をぶら下げた新人君が「買ってきましたー」と元気よく帰ってきた午後9時半。
怒られる会社もありそうですけど、まあこのくらいは大丈夫な会社も多いでしょう。たまには上司っぽいところを見せようと、弁当だけでなくビールも奮発。部下たちはきっと感謝と尊敬の眼差しを向けてくれるはず。
しかし、落とし穴もあります。買い出しを頼んだ新人君が、ビールにこだわりや知識がないと、安さにつられて発泡酒を買ってくるかもしれません。いや、昨今の若者の場合、その可能性はけっこう高いでしょう。
いや、発泡酒にも日頃からお世話になってますけど、中年以上にとってビールと発泡酒は別もの。ビールをおごるつもりだったのに……というガッカリ感が渦巻きそうです。
しかし、ここで「お前、なんで発泡酒なんだよ!」と罵倒したら、せっかくいい上司ぶろうとした狙いが台無し。いつもの魔法の呪文で、まずは平常心を取り戻しましょう。
「どっちでもいいのだ!」
発泡酒だって十分においしいし、ちゃんと酔っ払えます。出費が少なくて済んだ点も見逃せません。そもそも新人君はビールと区別がついていなんですから、感謝の度合いは同じです。笑って飲んで親睦を深めましょう。
応用編 「あっ、発泡酒なんだね」と口にすべきかどうか
新人君はともかく、もうひとりの部下に対しては「自分がケチったわけではない」と主張しておきたいところ。「発泡酒なんだね」と言えば、その目的は果たせそうです。
しかし、それはそれでケチ臭い配慮かも。何も言わずに察してくれるのを待つのも、勇敢な選択です。「どっちでもいいのだ!」と呟いて、運命に身を任せましょう。