大人の〈三重自慢力〉養成講座-「伊勢うどん」の巻 STEP1
伊勢文化舎が発行している「伊勢人」で、2005年から2006年にかけて、こういうタイトルの連載をさせてもらっていました。全6回で最終回に満を持して取り上げたのが「伊勢うどん」(記事を書いたのは2005年12月)。読み返してみると、まだ遠慮があったんでしょうか、そこはかとないよそよそしさを感じます。ただ、言っていることは今とほとんど同じで、我ながら進歩のなさに愕然とせざるを得ません。長い記事なので、検定部分のSTEP1と、能書き部分のSTEP2のふたつに分けて公開します。(2015年1月11日)
あの名物&名所は、こう語ろう!
大人の〈三重自慢力〉養成講座
三重には、全国に、いや世界に誇るべき名物や名所がいっぱいです。でも、三重の人は謙虚な性格なので、アピールや自慢が得意ではありません。それはそれで大切な美徳ですが、ほかの地方の人や新しくやってきた人に、三重の魅力をもっと広く、もっと深く、もっと楽しく知ってもらいたいもの。伊勢人としての、伊勢人らしい「三重自慢」のやり方を考えてみましょう。
第6回 伊勢うどん
STEP1伊勢うどんの基礎知識力検定
(問1)3人の伊勢市出身者同士で「どの店の伊勢うどんが一番か?」という話になった。自分以外のふたりが、A店かB店かでもめている。自分としては、どんな態度を取るか?
①「まあまあ、どっちもそれぞれおいしいよ」と取り成す
②「どっちでもいいじゃない。それよりさ……」と話を変える
③「わかってないなあ。やっぱりC店だよ」と別の店を推す
(解説)伊勢の人は、心の中に必ず「マイ・ベスト・伊勢うどん(のお店)」を持っています。結局は似たり寄ったりだけに、微妙な違いや自分のこだわりを語り合うのは楽しいもの。話を変えてしまう②は、伊勢うどんに対する一種の冒涜です。通常は議論を楽しんでいるだけなので、無難に取り成すのもちょっと筋違い。ここは③のように、さらに議論を紛糾させる方向に持っていくのが、伊勢うどんを愛するものとしての義務と言えるでしょう。
(答1) ①-3点 ②-0点 ③-5点
(問2)他県の友だちが、初めて見る伊勢うどんを前に「うわー、何これ! ど、どうやって食べるの?」と戸惑っている。どう言ってあげればいい?
①「ガーッとかき回して、ズズーッと食べるのがいちばんおいしいよ」
②「どうやっても何も、普通に箸で食べればいいんだよ!」
③「これはね、一本ずつ食べないとお店の人に怒られるんだよ」
(解説)失礼な態度ですが、まあ、初めての伊勢うどんにおびえる気持ちもわからなくはありません。②のセリフは、さすがに気の毒。ちゃんと①のように「正式」な食べ方を教えてあげましょう。さらりとそう語ることで、伊勢うどんとの深い絆を再確認する喜びも味わえるはず。相手のキャラクターによっては、③のウソ話で一杯食わせてみるのも楽しそうです。ただ、相手の反応を待っているあいだに、せっかくのうどんが冷めるのが難ですね。
(答2) ①-5点 ②-0点 ③-2点
(問3)香川県(or北関東)出身の人とうどん談義になった。「やっぱり、うどんはコシが命だね」などと言っている相手に対して、伊勢うどん派としてはどう言い返すべきか?
①「キミたちは、うどんの何たるかがわかってない!」
②「コシがないうどんも、慣れると病み付きになるよ」
③「そうだよね、やっぱりそっちが主流だよね……」
(解説)コシのあるうどんもおいしいですが、それだけがうどんだと思ってもらっちゃ困ります。たとえ多勢に無勢だったとしても、迎合している③は三重県民として恥ずべき態度。本当なら①のようにガツンと言ってやりたいところですが、あまり熱くなりすぎるのも、コシのなさを大事にしている伊勢うどんスピリッツに反します。②ぐらいの温厚な言い方で、伊勢うどんへの尊敬の念をかみしめながら、その立場をキッチリ守っておきましょう。
(答3) ①-3点 ②-5点 ③-0点
判定(3問の合計で判定)
11~15点伊勢うどん自慢力100%。これからもあの魅力を自慢し続けていきましょう!
6~10点伊勢うどん自慢力50%。 伊勢うどんを信じる気持ちがやや足りないようです。
0~5点伊勢うどん自慢力0%。 コシのあるうどんに目移りしてはいないでしょうか?
(STEP2に続きます)
(伊勢文化舎刊「伊勢人」2006年2/3月号より)