血沸き肉躍る
はじめての経験や体験はいつだって胸が震える。
忘れられない出来事として記憶に留まる。
人生が変わることだってありうる、と私は思っている。
11月3日のIAIスタジアム日本平。清水エスパルス VS いわきFCのサッカー観戦は今思い出しても身体が熱くなる体験だった。
昭和生まれで京都育ちの私は、野球観戦が身近だった。
幼少期にはグローブを買ってもらってキャッチボールするのが常だった。(テレビの野球中継はしばしば延長して、そのあとの番組放送がずれた。子供ながらそれはいやだったー昭和世代の人たちにはこの気持ちわかるやんね?)
阪神ファンの父に連れられ甲子園にも何度か行った。
Jリーグが開幕したのが1993年とあるから、19か20歳のころに日本にもプロサッカーチームができたんよね。
一方、夫は平成世代で生まれも育ちも静岡でサッカーが身近な存在だったようだ。JリーグやW杯、ヨーロッパリーグの試合はほぼ欠かさずネット放送を網羅して観戦する。フットサルを嗜み、そして地元チームのエスパルスを熱く見守る一ファン。
サッカーの話になると止まらず、次第に興奮する彼にふんふんと相槌しか打てない私。
Jリーグ開幕してからこの30数年で日本のサッカー技術は著しく向上し、そして強くなっている。
サッカーというスポーツに徐々に面白さを感じはじめた(そのきっかけになったのはまさしく夫だ)私に夫からの誘い。
エスパルスがJ1復帰するかもしれない。ホームゲーム(日本平)の試合があるから一緒に観に行かない?
未体験がまだあった、そうスタジアムでのサッカー観戦!
運よくチケットをゲットできて、そうして私のサッカー観戦デビューとなったのだった。
試合当日。
静岡駅ではオレンジのチームタオルを首にかけているだけで
「エスパルスのゲーム観に行くんですか?」
と見知らぬ女性から声をかけられた。
駅周辺にはオレンジ色の同士が増えてきて、心地いい緊張感が増していく。
スタジアム周辺はエスパルスの旗がはためく家の軒先が目につき、一体感が強くなっていく。
こんなに人が集まる場所に来たのはいつぶりだろう。人混みは苦手だけど、同じ想いを持つ集団の中にいるのは嫌いじゃない。
スタジアム全体にうねる熱気に圧倒。
鼓動もなんだか速くなってきた。
現地でサッカーを観戦するのは、
画面を通して観る試合とは全然ちがう。異次元にちがう。もはや別物。
ピッチ全体を見渡せ、選手たちの動きが全部わかる。こんなの静かに観戦できるわけないやん。ゴール前の攻防には身を乗り出した。
応援合戦も凄まじかった。いつの間にか私も声を張り上げていた。
18,000超の人が集まる熱気は画面じゃ伝わらない。あの熱気、声援というより音のうねりを身体に受ける感覚はここでしか味わえない。
90分てこんなに短かったっけ?
ついに1−0でエスパルスが勝利を決めた。J2優勝!直後にJ1復帰が確定するや、スタジアムは一層揺れた。
いわきFCのサポーターからの
「おめでとう!J2に戻ってくんなよー」
には沁みた。
いいゲーム見せてもらって、ありがとう。
今暮らしている地域のプロサッカーチームは今年J2昇格を決めた。
エスパルスみたいにここがもっとサッカーで盛り上がればいいな。
ホームゲームを見に行って応援しようと思う。