何故か廃れないジャンル名「百合」の謎
「BL」は初めから「BL」というジャンル名で存在していたわけではなく、いろいろと通り名を経て「BL」というところに落ち着いております。
「百合」にしても、「GL」という「百合」に取って代わる名称が普及したので、近い内に消えていくのではないかと私は予想していました。
が、廃れるどころか、「百合」は今や世界中で使われているジャンル名であり、まだまだ当分消える気配がありません。一体これはどういうことなのでしょうか?(というか、あっちじゃ「やおい」まで現役なんかい。)
・海外からすると日本語は何かカッコいい説
日本のお葬式で登場する「般若心経」も、ほとんどの日本人が何を言っているのかまったくわかりません。よくわからないのでなんとなくありがたいのです。
現代語訳版も存在しておりますが、こういったものが実際のお葬式に採用されることはないでしょう。多分。
そう考えると、「百合」が「yuri」として普及していくのも、言うほど不思議ではありません。
・異性愛者女性にも一定の独特な需要があるという特殊事情
上記の漫画は同性愛者の方に決して薦められない同性交際漫画ですが、考えると男性向けで男性同士のこういった漫画の存在はなかなか聞きません。このような層の存在で「GL」ではなく「百合」という言葉が残るのかもしれません。
この『ネコと海の彼方』という台湾の漫画も、特に明確な恋愛描写があるわけでもなく、主人公が男性と結婚してたりもするので、最初は「百合」とか紹介されずに日本で翻訳出版されました。
しかし、原作小説と元の漫画版ではバッチリと「百合」と銘打たれており、こういったタイプの作品の受け皿として「百合」が活用されているように思います。
前に筆者がnoteで公開した「商業百合漫画から消えていった同性愛の葛藤・タブー意識」で上記の描写を取り上げましたが、そういった意味での「百合」は、この引用部分から察するに、欧米へは伝わってはいないのだろうとは思います。
・「GL」は何か語感が悪い説
これまた以前noteで公開した某書のレビュー記事で上記部分を引用しました。
その後に、こちらの著者の方はどうしても他の呼び方を好きになれなくて“レズ”と言ってしまうことを書いていたりします。
さて。上記画像は中国の漫画配信アプリ公式アカウントが2024年4月17日に投稿した百合漫画4作品の合同イベント告知画像みたいなのですが、よく見ると「百合CP」と書いてあります。
これがもし世の中に「GL」という言葉しかなかったらどうでしょう。「GLCP」なる表記にするしかなく、語感が悪いったらありゃしません。
そこから考えると「ゆ」と「り」だけで完結する「百合」はとにかく楽であり、「じー」、「え」、「る」が圧倒的に不利なのは確かにそうであります。
ちなみに上記の4作品は当方のブログに過去書きました。一応貼っておきますが、特に参考にはなりません。