猫より猫背
ある日 ボクは気づいたんだ
町のガラス窓に映ったボクの背中が
いつもの猫くらいの猫背じゃなくて
なぜか猫よりも猫背になっていたことに
おかしいな
いつからこうなっていたんだろ
全然覚えがないや
けど 一つあるとすれば…
原因はボクのこころ
ボクがいつも殻に閉じこもっているってこと
嬉しいも 悲しいも 楽しいも 苦しいも
全部その殻の中に閉じ込めてきた
ひとりでも大丈夫
ひとりでも何とかなる
ひとりでも歩ける
…ひとりでも
いつもそうやって俯きながら過ごしてきた
きっと それがいけなかったんだ
きっと 少しずつ積み重なっていたんだ
気づかないうちに どんどん どんどん
ボクの背中を丸めていったんだ
自分の背中なんて自分じゃ見ないし
常に猫背のボクがいつも通りのボクで
そんなボクの猫背が猫より猫背になったなんて
誰も気づけるわけがない
それに いつもひとりのボクには
教えてくれるひとなんて まずいない
それからボクは 毎日 毎日 悩んだ
どうすれば元の猫くらいの猫背に戻れるのか
せめていつも通りくらいに… なんて思うだけ
何も出来ない間にも
日に日にボクの猫背は丸くなっていった
そんな事に悩みながら過ごすある日
ボクはあることを思いついた
そうだ
猫背って言うくらいなんだから
猫に聞けばいいんだ
馬鹿げた話しかもしれないが
ボクにとっては深刻な悩みで
なによりも本気だったんだ
ボクは足早に自宅近くの公園でいつも昼寝をしている三毛猫を探しにいった
というのも ボクはそれ以外の猫の居場所を知らなかったんだ
ボクは公園に辿り着くと
三毛猫がいつも決まって寝転んでいるベンチに急いだ
よし 今日もいる
ボクは足を緩め三毛猫にそうっと近づき声をかけた
あのぉ お昼寝中にごめんなさい
三毛猫の片耳がピクリと動き
片目だけでボクを確かめてきた
んん…なによ
ボクは目を覚ました三毛猫にこれまでの経緯を話し
この猫より猫背の背中を直す良い手立てを探していることを伝えた
すると 三毛猫はその場に立ち上がり
ボクにこう教えてくれた
う〜ん キミがワタシたちと同じなのかは分からないけど 嫌なことを溜めてはダメ
あれは どんどん下を向かせるわ
だからね
もしも 嫌なことが起きたら
ンーってなるくらい気持ちよく伸びをするの
そしたら こころがフワフワと軽くなって
イヤことなんてあっという間に吹き飛んじゃう
それからね すっごく嫌なことが起きたら
大好きな太陽の下で好きなだけ日向ぼっこをするの
そしたら こころがポカポカになって
すっごく嫌なことなんてあっという間に吹き飛んじゃうんだから
キミもやってごらんよ と
三毛猫は微笑みながらボクに言った
ボクはすぐに三毛猫に教わった通りに
空き地で伸びと日向ぼっこをしてみた
あれ ほんとうだぁ
こころがフワフワのポカポカになって
嫌なことがジワジワと無くなるのが分かった
それに
猫より猫背だったボクの背中が
猫と同じくらいの猫背に少しずつ戻るのも分かった
やっぱり ボクのこのこころがいけなかったんだ
三毛猫さん ありがとう
そう言うと
三毛猫はなぜか難しい表情を見せた
うん…ワタシにお礼なんていいから
ひとつだけ聞いてくれるかな
キミの猫背はね
キミがキミのこころを守ろうとして
どんどん丸くなっただけなんだ
だからね
猫背はちっとも悪くない
キミもちっとも悪くない
キミは猫背で下ばかり見てたから気づかないけどさ
回りをよく見てご覧よ
以外にみんな猫背なんだよ
言いたいことをうまく言えなかったり
ほんとうの自分を隠しながら笑ったり
大丈夫じゃないのに大丈夫って言ったり
猫背ってさ
キミみたいに目に見える猫背もあるけど
目に見えない猫背もあるんだ
知らなかったでしょ
だからね ワタシがキミに言いたいのはね
まず キミはもうひとりじゃないってこと
それに キミは猫背なんだから
みんなの気持ちが分かるでしょ
それは 誰かの想いが分かるってこと
今度は
キミが猫背の誰かを守ってあげられるってこと
キミにはそれができる力があるってこと
ワタシが言いたいのは それだけ
キミはもう大丈夫
なんたって このワタシが教えたんだもの
そうだ またいつでも遊びにおいでよ
ワタシたちは もう友達だよ
ワタシはいつも ここにいるからさ
ワタシはいつも ここで待ってるからさ
…うん…
ボクは三毛猫にそれしか言わなかった
帰り道 ボクは嬉しくて 思わず顔をあげた
そうじゃないと また猫背になる気がしたんだ
久しぶりに見上げた空 そこには
ボクが忘れていた大好きな青色が広がっていた
*内容めちゃくちゃですが、いつもより長い話しを書いてみました。少し新しいことに挑戦です。
読みづらいところたくさんあると思いますが、
どうかご愛嬌で許してください!
読んでいただきありがとうございます!
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