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鈴木真理子のファッションレポート&インタビュー ALI PROJECT 宝野アリカ篇【前編】

衣装もスイングする「Belle Époque」の夜 ー19世紀パリ&21世紀東京を繋いでー


2022年2月に開催された、ALI PROJECTのライブ
30th ANNIVERSARY TOUR 2022「Belle Époque」。
今回はOtona Alice Walk編集部・鈴木真理子が、ヴォーカル・宝野アリカの衣装について詳しくお届けします♪
宝野アリカインタビューも必見です!

〈衣装1〉ベルエポックmixフラッパー

フランスを熱愛し、また同国と日本の古き時代や芸術をも思慕する、ALI PROJECT。
昨年末には19世紀末のフランスの「美しき時代」を意味する「Belle Époque(ベルエポック)」をタイトルに、アルバムを発表したのは皆さんすでにご存知のところでしょう。
今年2月の同タイトルでの東京でのステージは、Belle Époqueのエッセンスを歌詞だけでなく衣装などヴィジュアルでも仔細にちりばめ、アルバムの雰囲気そのままに、というオープニングとなりました。

舞台から現れたアリカ様はアルバムジャケットで着用していた衣装に、ケープを羽織って登場。
しかも舞台には同ジャケットの裏面で見られる、階段とよく似た階段が設置されていたのです!
このアルバムのためにタダカイエ氏がデザイン&制作したドレスの、どこまでも続くたっぷりの布が流れていくリュクスな様を、最高に効果的に見せてくれる階段です。

すでにこの新譜を聴き込んでいたファンとしては心が沸き立つスタートとなりました!
しかも最初の1曲目は1992年のデビュー曲「恋せよ乙女」でした!
ALI PROJECT誕生の曲を、最新の衣装で歌う30周年ライブのスタートだなんて、最高のチョイスではないですか?

しかしアリカ様が立つ舞台は21世紀の極東・日本。
時間と場所のトンネルを交差して、衣装は19世紀末でありながら、髪型などところどころベルエポックに続く、これまた西欧の狂乱の時代とも呼ばれる1920年代のキャバレー文化のパーツも蘇らせていて、舞台をより華やかに仕上げているではありませんか!
これはことフランス狂には嬉しい演出でした!
(バックで踊るドラァグクィーン達は、1920年代のキャバレーで踊るフラッパー風の衣装でした)


さらにアリカ様はこの最新アルバムジャケット用の衣装を筆頭に、私物の服や小物を付け替え、長年のライブや撮影で使用していた衣装も加えていったのです!
しかも当時のカタチそのままではなく、遊び心のあるカスタムをして……。

そう、このステージはALI PROJECTの30年の歴史×最新アルバムであり、衣装は19世紀末ベルエポック×1920年代のキャバレー文化×今までアリカ様が愛用しつづけてきた小物たちとの共演でもあったのです。

アリカ様インタビュー!


衣装についての疑問を、アリカ様に答えてもらいました!

ーー最初の衣装について。アルバムジャケットでも使用された、ロングドレスですが、できあがるまでについて教えてください。なぜ紫色にしたかも教えて欲しいです。

宝野アリカ(以下、アリカ):もうずっとALI PROJECTの衣装はTriple*fortuneのタダカイエさんにお願いしていて、今回ももちろん。

アリカ:「Belle Époque」というテーマに合わせて1900年代初頭のフランスのイメージを踏まえつつも新しいドレス、というふうにお願いしました。

アリカ:身頃の金モールレース地はカイエさんがパリの蚤の市で買っていたもので、その金にも合う淡い紫というふうに決まっていきました。

アリカ:色を決めるときは、これまでジャケット撮影したものとはなるべく同色にしないようにしています。最初からラベンダーかモーブがいいなと個人的に思ってました。

ーーこのジャケット衣装にケープを羽織って歌う場面もありましたね。

アリカ:1曲目だけケープを羽織りました。これは「令嬢薔薇図鑑」(2013年)のブックレット撮影用にカイエさんが作ったもののひとつです。

「令嬢薔薇図鑑」ブックレット

アリカ:今回出してみたらBelle Époqueドレスと色がぴったりだったので変化を付けるために着用しました。一曲目の「恋せよ乙女」(1992年デビュー曲)の為に少し可憐さを装うつもりで。ケープにはお揃いのボンネットもあるんですよ。

ーー次に羽織った歌川国芳の着物はどういったものですか?

アリカ:国芳の「相馬の古内裏」がプリントされた袷の着物です。「Belle Époque」の中の「恋闇路」という曲の歌詞で“ がしゃ髑髏”という言葉を初めて使ったので記念に作りました(笑)。

「がしゃ髑髏」の着物

アリカ:この「相馬の古内裏」を使ったグッズのパーカーも作りました。あと私がこの絵を模写して描いたものでTシャツやエコバッグも作っています。TOURグッズでは私のイラストものをよく使うのですが、今回は模写で私のオリジナルキャラクターの「こありちゃん」ががしゃ髑髏に果敢に挑む図、にしています。
で、着物を羽織ったのは「恋闇路」と「まだら恋椿外道」の為ですが、Belle Époqueの時代には日本の着物をガウン代わりに羽織ったりしているので、そのイメージもあって、です。私の好きな「ダウントン・アビー」のメアリーも部屋着にしています(笑)。あの時代もまさに1900年初頭ですね。

ーー最後に羽織った黒のファーケープはどこのものですか?

アリカ:あれはミンクと狐の毛皮のケープコートです。こういうのたくさん持ってるんです。
「ドリアンヌ嬢の肖像」のドリアンヌ嬢がひとり闇の夜道を歩いているイメージで使いました。大阪公演の時は黒レースのケープを羽織っていたのですが、ドリアンヌ嬢が寒がったので東京は毛皮にしたんです(笑)。
今の時代はリアルファーは敬遠されがちですけど、私は密かに本物を大切に着ていくつもり……。

ーー以上ケープ、羽織りなどをたくさん使っていましたが、その理由は? ケープがお好きなんですか?

アリカ:本当は曲によって衣装を替えたいくらいなんです!
ALI PROJECTの曲は一曲一曲それぞれのイメージが断固として私の中にはあるので。
でもそうもいかないので、イメージの似た曲を合わせて選曲していき、その中で時に長手袋の色を替えたり、マントを羽織ったり、大きな帽子をかぶったり外したり、例えば白い衣装のときにダークな曲を歌うときは黒いレースのショールを羽織ってみたり。

アリカ:手に小道具(今回は扇や仮面、銃、旗)を持ったり。ちょっとした変化でもさらに曲のイメージがはっきりするのではと思うので。

ーー頭飾りや髪についても教えてください。

アリカ:「Belle Époque」ジャケットは赤毛フラッパーヘアなのですが、舞台では金髪の映え具合の方が好きなのでそうしました。
私の大好きなオーストリッチの羽根を、ふーちゃん(ヘアメイクの橘房図さん)にいい具合に付けてもらいました。

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それでは、ライブ後半の衣装についてインタビューつきでお届けする【後編】に続きます!


取材&執筆/鈴木真理子(Otona Alice Walk編集部)

ライブ写真撮影/小野寺廣信
ライブ写真提供/勇侠会

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