第7話 閉店の足音
人生の崖っぷちでオープンしたブリリアントスパは連日大盛況、、、
という妄想はすぐに打ち砕かれました。予約の電話は一本も鳴らず、何度も電話のコンセントを確認しました。
そんな危機的状況が約3週間も続くと、困ったことに心が整ってきてしまいました。
そうかダメだったか、、、仕方ない
と平穏な心を装った現実逃避が始まったのです。
こうなると
「諸行無常」
「散る桜、残る桜も散る桜」
清しくどんどん心が整ってきちゃいます。
もともと運転資金というものをまったく用意していませんでした。
ギリギリの開業資金でスタートして、あとは日銭で賄うというクレヨンで書いたような事業計画をもとに突き進んできました。
そして、とうとう残り10日で家賃が作れなければ実質アウトというところまで追い込まれました。
残酷で当たり前の引き算でした。
特に有効な手段もないまま、修行を積んだ武士の如く静かに目を瞑り、予約の電話が鳴るよう念じ続けました。
テレパシー、シンクロニシティ、思考は現実化する、、、まだ鳴りません。
マーフィーの法則、引き寄せ、、、さらに人類の叡智と効きそうな法則を片っ端から追加して目の前の電話に送り込んだ、、、その時!
「予約って取れますか?」
電話を鳴らしたのは伝説のK氏でした。
なんとK氏、そこから毎日来てくれたんです。
別に店の窮状を話したわけもないのに、
1日に2回来たり、延長3回してくれたり、、、
これが毎日続きました。
その結果、なんとK氏の売上だけで家賃が払えたのです。
このK氏は謎に包まれた方で、年齢は30歳くらいで独特の雰囲気の持ち主でした。セラピストさんからは松山ケンイチが演じるデスノートのL(エル)に感じか似ているそうで。
何はともあれK氏のおかげで店は継続できました。
長いことメンエスをやっていますが、いまだにK氏のような来店ペースの方にはお会いしたことがありません。
あの危機的状況の中で、ミラクルな出会いがあったことはどこか不思議でもあり、いくら感謝しても足りません。
K氏には足を向けて寝れないし、たぶん死ぬまで忘れられないのだと思います、、、
別の理由も含めて、、、
次回は初ジャンル
「メンエス事件簿」
に挑戦してみようと思います。
メンエスで起こった珍事件や、出禁ファイルなど備忘録としてみなさんと共有できればと思います。
最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました。