第10話 シリーズ艶熟の理(えんじゅくのことわり)#1熟女のすすめ
できれば部屋を暗くして、ひとり静かな場所で想像してみてください。
あなたはアフリカ大陸のシエラレオネ(あまりよく知らない国ならどこでも可)に単身赴任しました。
誰ひとりあなたを知らないし、関心すら持たれません。おまけに言葉も通じないんです。
渡航前に確認したところ、BS NHKで1日に2時間だけ日本のニュースを日本語で観れるというのでとても楽しみにしていました。
ところが、会社が用意してくれたアパートはBS放送が受信できず、NHKどころか何も映らない状態でした。
その環境で3ヶ月間ほぼ誰とも話さずに生活をしていたとします。
誰かとzoomすればいいじゃん?
とかは一旦なしでお願いします。
あなたは孤独を紛らすために市場に出かけ、瓜に似た大きな野菜と、最近ようやく慣れてきた羊の肉、新鮮なヤギの乳を買います。いつもぼったくられて現地の人達の2割増しで買い物していることには気づいていません。
色鮮やかに並ぶ野菜や果物はどれも姿かたちは似ているものの、日本のスーパーに並ぶそれとはどこか違いました。
あっ!スイカ
と思って手に取ると微妙に濃い緑の部分が多くて細長いとか、、、
イワシだ!
と思って飛びつくと鮮やかなオレンジ色の線が胸ビレから尾っぽにかけてスゥーッと入っていたり、、、
そのたびに深い寂しさに包まれます。
それは、迷子の子供が親を見つけて駆け寄ったら全くの別人で、うわーっと泣き出す現象に近いのかもしれません。
3ヶ月の孤独な生活はあなたの精神を追い詰めていたようです。
だから、市場で見かける野菜にいちいち心を揺さぶられてしまうのでしょう。
「もう限界だ、、、」
声に出して呟いた瞬間、自分でも想像していなかった寂しさの塊が涙とともに溢れてきました。
よくよく考えた末、
クビ覚悟で帰国の申請をしようと腹を決めた時、街のはずれで日本人ママさんがひとりでやってるスナックがあるとの情報をキャッチしたのです。
なんてことだ!
やっと人と話せる!
やっと人の温もりに触れられる!
居てもたってもいられず、さっそくその店を訪ねました。期待に胸を膨らませ、すっかり痩せ細った腕でスナックのドアを開けました。
ガチャリ
カランカラン(ドアについてるやつの音)
以上が設定になります。
前置きが長くなり申し訳ございませんでした。
ここでようやくお聞きします。
あなたはどちらを選びますか?
①橋本環奈風のママさん(23歳)がフライドポテトをツマミに最近流行りの韓国アイドルBTSのかっこよさについて説明してくれます。あなたはママさんと仲良くなりたい一心で無理をしてカラオケでSMAPを歌うも選曲が古いせいで、
「マジウケるんですけどー!」
とマジでウケている様子。
②五月みどり似の熟女ママさんが里芋の煮付けと余ったご飯、温めなおした味噌汁で空腹を満たしてくれながら、あなたの寂しかった3ヶ月間についてじっくり優しく聞いてくれる。そのあとむせび泣くあなたの背中をトントンと叩きながら赤子をあやすように優しく銀座の恋の物語をデュエット。その間もぎゅっとあなたの手を握りしめている。はしゃぎ過ぎてカウンターで寝てしまったあなたの肩に、自分の着ていたカーデガン(いい匂い)をそっとかけてくれます。
さて、あなたはどちらを選んだでしょうか。
もちろん、この問いに答えなんかありません。
え?
ぼくですか?
そりゃ〜もちろん②です。
だからぼくは10年前Googleの検索窓に、
「メンズエステ 熟女」
と打ち込んでみたんです。
次回は日本初(自称)熟女専門メンズエステ誕生のお話をしてみたいと思います。
このシリーズ艶熟の理(えんじゅくのことわり)では熟女の素晴らしさをさまざまな視点からお伝えしようと思っています。
最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました。