ボドゲ初心者が、調子に乗ってプロ達に図々しく宣言してきてしまった話
このnoteは「ボドゲのことを全く知らなかった僕が、いきなり全財産をかけて、ボードゲームを作って売る」というアホな制作過程を、ほぼリアルタイムで書いているので、ぜひ面白がっていただけると嬉しいです!
前回の話から見たい方はこちら!
アラサーにもなると、物事が決まるのは大体が飲みの場になってくる。
年齢と共に固くなった頭と重くなった腰は、アルコールというドーピングで少年の頃の軽さを取り戻し、話が前に進んでいく。
ノリと勢いは高まるのだが…
ぜひ正常な判断ができているとも願いたいものだ。
そんなドーピングを使いこなした僕たちは、気づけば素人3人でボードゲームを制作することとなっていた。
まずはボドゲを知ることから。
ボドゲ作りといっても、ド素人の寄せ集めなので、まず最初に始めたのはボドゲをプレイしてみること。
友達を誘ってボドゲ会を定期的に開き、Googleさんがおすすめしてくるボードゲームを毎回買っては持っていくようにした。
軽ゲーと言われるものを中心に、ドミニオンなどの有名な中級ゲームなど大体20種類くらい購入してプレイしていく中で、どんどんボドゲが好きになり、自分の中で「こんなゲームを作りたい!!」という思いも強くなっていった。
一度スイッチが入るとアイデアは止まらなくなり、作りたいゲームやそのルールがどんどん出てきて、仕事中にもメモ帳にアイデアを書き続けた。
そして先輩に見つかって怒られた。
…ゴメンナサイ。仕事中は仕事をしましょう。
そしてついに、ボドゲで遊ぶというところから、「作って売る」というところに移行していった。…が、
どうやって売るん!?
張り切って「作って売るぞ!!」とはなったものの、物販など当然やったことはないし、ボドゲについても、ド素人が素人に変わったくらいのものだ。
だが安心して欲しい。
僕たちには頼りになる4人目のメンバーGoogleさんがいる。
ということで早速ググって色々調べていった。
そしてわかったのが、どうやら世には「ゲームマーケット」なるボドゲの祭典が存在するとのこと。基本的に個人がボドゲを作って売るなら、このゲームマーケットは避けては通れない一大イベントのようだ。
そして、そんなゲームマーケットがなんと2週間後に東京ビックサイトで開催されているようだった。
「僕は何てツいてるんだ!!」
友達に確認も取らず、とりあえず3人分のチケットを予約した。
…え?その日仕事!?ごめんもうチケット買ったわ!仕事休んで!!
…本当に休んで当日来てくれた。
いいやつだ…僕は本当に友達には恵まれている。
そんなこんなで、ボドゲ制作の最初のミッションはゲームマーケットに行ってみることとなり、意気揚々と東京ビックサイトに乗り込んだ。
そして、このゲームマーケットで驚きの出会いと、ボドゲ制作の現実にぶち当たるのだった。
いざゲームマーケット
人。人。人。
あたりを見渡すと…いや見渡そうとしなくても人の塊がゾロゾロと動いている。
なんてことだ。
ボードゲームなんて、マイナーでニッチな遊びだと思っていたのに、ちょっと踏み込んでみるとこんなにも多くの人を熱狂させているらしい。
調べてみたところゲームマーケットの来場者は年々増えていて、今年はビックサイトの会場がさらに拡大されているとのこと。
す…すごい!!
ちょっと前までは何も知らない素人たちが、鼻息を吹かせ、人の波に流されながら初めてのゲームマーケットを回っていった。
最初に訪れたブースは「モザイクがかり」さんというサークルで、出していたのは「おちんちん電車」というポップな下ネタゲームだった。
最初に立ち寄ったブースだが、そのコンセプトとパッケージデザインに心奪われ、一瞬で購入が決定したので、列に並び…
「おちんちんください!」
と元気よく店員さんにいったところ
「もう持ってるじゃ無いですか!あ、スペア用ですね!」
と返してくれた。
…ノリがいい笑 でも自分も将来ここに出店するのなら、こんな接客で楽しく販売したいな、などと考えながらお金を支払っていた。
そして次に訪れたのは「シークレットランキング」を販売しているブースだった。みなさん、シークレットランキングというボードゲームををご存知だろうか?
実は僕の手持ちのコミュニケーションゲームの中で一番のお気に入りのボドゲだ。
それもそのはず、シークレットランキングは全国のドン・キホーテなどでも販売されているし、テレビやYouTubeでも取り上げられている超有名作だ。
(アーティストのオオイシマサヨシさん、配信者の加藤純一さんがプレイしているのを見て僕も前に購入していた。)
そんなシークレットランキングだが、なんとリニュアール版が出たとのことで販売されていた。
超有名作もゲームマーケットでは普通の個人と同じようにブースを出して売られているんだと感動し、つい店員さんに「この初版持っているんです!一番のお気に入りなんですー!」と鼻息を荒げて話していた。
すると店員さんが「ちょっと待ってね〜」といってブースにいる他の店員さんに話していたところ担当をバトンタッチするかのように高身長のダンディなおじさまが出てきてくれた。
そしてなんとその方がこのシークレットランキングを作ったゲームクリエイターの川崎塁さんだった。
!?!?
まさかこんな有名作のゲームクリエイターさんが来ると思わなかった僕は、
「あの…!僕も来年ここに出店します!今はなんも知らないど素人ですし何も決まってませんけど…でもやります!!」
と熱に当てられ謎の宣言をしていた。
すると川崎さんは「…いいですね!」と言い色々話をしてくれた。
初めて作ったゲームについて。シークレットランキングの新作が出た経緯。テレビなどへのプロモーションの仕方。赤字を出さないための工夫…などなど。
人の波がちょうど収まっていたタイミングだったとはいえ、ブースの前で20分くらい僕の質問攻めに丁寧に答えてくれた。
優しい…優しすぎる…
なぜこんな何も知らないド素人のお客さんにここまで丁寧に時間をとって教えてくれるのか…
僕と友達の2人で2個購入させてもらった。
セット割もあったけど、2人とも割引はせず定価で購入するくらいには何かしらの感謝の意を示したかった。
ここでスイッチの入ってしまった僕は、調子付き、意気揚々と肩で風を切りながら歩いていた。
そして次に目に入ったのが「萬印堂」さんのブースだ。
萬印堂さんはゲームを販売しているわけではなく、ボドゲに特化した印刷会社の出展ブースだったので、心持ちだけはゲームクリエイターになっていた僕たちはブースにお邪魔し、印刷代がどれくらいかかるのか聞いてみた。
そして、ゲームマーケットに来ておよそ1時間、熱に当てられ上がりきった僕らのテンションは一気に氷点下にまで下がった。
…どうやって黒字にするの???
おかしい。
…おかし過ぎる。
どう考えても黒字にできるイメージがわかない。
金額などはまた次の投稿で詳しく書いていくが、簡単にいうと、ゲームをめっちゃコンパクトにするか、ゲームをめっちゃ売るかの2択で、それをやってもギリギリ赤字にならない…?くらいの予算感だった。
その後の僕たちは最初と同じようにゲームマーケットを練り歩くわけだが、
最初の「すげーーー!!」というテンションとは打って変わり、
「すごい…どうやってこの金額で利益出してるんだ…?」
「なるほど、得点板をカードにすることで節約しているのか…」
というタイムセール時の大阪のおばちゃんのような、血走った目で各ブースを見て回ることとなった。
結果的にとても勉強になったし、浮かれて緩みまくっていた財布の紐に自制心も宿ったので良かったと思う。
そして「ボドゲを作るぞ!!」という熱は持ちつつも、冷静さを取り戻した僕は、ブースで少しお話ができると、
「いつから出店されてるんですか!?」
「どうやって売ってるんですか??」
と、少しでも参考になればとダメ元で色々質問させてもらった。
そして驚いたのが、どのブースのみなさんもとても優しく、かなり突っ込んだところまで教えてくださったのだ。
お話をさせていただいた中で最も驚いたのは「妄想ゲームズ☆」さんというサークルのH1R0さんで、なんと個人でボドゲを作っていたところから、今は公式に企業とコラボしていたり、海外で出版されたりしているとのことだった。
「企業コラボ…?海外…!?」
一瞬で僕たちの羨望の的となったH1R0さんは、そこからさらに色々お話をしてくださって、なんとゲームマーケットの後にもメールでのやり取りまでしてくださったのだ。
…感謝しかない。本当にありがとうございます…!!!
と、天に手を合わせておいた。
ゲームマーケットで感じたのは、本当にみなさんボドゲが好きで、初めての人にも間口を開いてくれているとても優しい世界だったということだ。
これより僕は「ボドゲ好きなやつに悪い奴はいない説」を提唱して行きたいと思う。
そして色々な初めてと、たくさんの感謝を噛み締めながらビックサイトを後にした僕たちは、数日後に改めて再集合した。
そう、初めてアルコールドーピングのない、ゲーム制作と予算作りのための大作戦会議を行うためだ。
そしてこの作戦会議にて僕の口座残高が0になることが確定したのだった…。
…グスン。(泣)
続く。
※次の話はこちら!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?