無濾過ビール×泡盛 氷を入れて飲む、石垣島の「熟成していく」ビール ハイビールライト
人を惹きつけてやまない島 石垣島
石垣島は色鮮やかで生命力の強い島だ。
木々の緑は色濃く、ブーゲンビリアの鮮やかな色合いは目に眩しい。
那覇から飛行機で1時間。亜熱帯性気候のこの島は、手つかずの自然が残るまさに「南国の楽園」と呼ぶにふさわしい島だ
海の美しさは言わずもがな。
透明度は抜群によく、色とりどり魚たちがサンゴ礁の周りを気持ちよさそうに泳ぎ回る。
水面の光を反射してキラキラと光る、海底の真っ白な砂。ゆったりとした、しかし威厳ある姿で泳ぐウミガメ。
そしてマンタたちは水中をひらひらと飛ぶように泳ぐ。石垣島は「マンタに高確率で出会える島」としても有名であり、世界中からマンタを求めてダイバーたちが集まってくる。
この島には人間の感情に直に訴えかけるもの、そして本能的に求めるものがある。
暑い風に吹かれながら飲むビールに歓声をあげ、海辺で見る夕陽に涙をにじませる。
そして泡盛を飲みながら三線の音色を聴けば、思わず踊りだしてしまう。
肩に力をいれ、頑張って戦っているわたしたちが「ありのまま」の自然体で過ごすことを、まるごとすっぽりと許容してくれるような、そんな懐の深さをもっている島なのだ。
石垣島で醸すビール
そんな石垣島で1997年からクラフトビールを醸造しているブルワリーが、石垣島地ビールだ。
石垣地ビールの造るビールは、無濾過の酵母入り。新鮮で栄養がたっぷりと含まれており、酵母が生きているからこその奥深いうまみを感じることができる。
ヴァイツェンや石垣の塩を使用したマリンビールなど様々なビールを醸造しているが、その中に石垣島の特産物をマリアージュさせた「ハイビール」というビールがある。
「ハイビール」とは簡単に言えばビールと泡盛を混ぜたものだ。ビール離れと泡盛離れが危惧される中、「ハイボールのようにぐいぐいとたくさん飲みたくなるものを」ということで新たに生み出されたという。
泡盛は昭和26年の創業以来、親子三代で伝統を受け継ぎ、昔ながらの酒造りをしている酒造である池原酒造の「白百合」を使用している。
少し癖の強い「白百合」は石垣島ビールと一緒になることで、ビールのコクとまろみを引き立たせる素晴らしい存在となる。無濾過のビールに泡盛を合わせることにより、単体で感じる味わいとは異なる、新たな味わいが生まれるのだ。
寝かせるほどうまくなるビール「ハイビール」
今回ご紹介するのは、そんなハイビールの中のひとつ「ハイビールライト」だ。
泡盛1に対しビール5。通常のハイビールよりもライトで軽い飲み心地の一本だ、といってもアルコール度数は9%ある。
ハイビールは飲み方に大きな特徴がある。グラスいっぱいに氷を入れ、そこにビールを注いで飲むのだ。
無濾過だからだろうか。濃いめの黄色の液体は、少しとろりとしている。香りはフルーティ。どこか梅酒のような雰囲気もある。麦の芳醇さの後にやってくる、泡盛の心地よい香り。ライトなのにコクがあり、果実酒のような味わいは南国の風を思わせる。
シークワサーを加えれば、さらに違った表情を見せてくれるのも魅力的だ。
このハイビールの面白さは、その飲み方だけではなく「寝かせるほど味が変わる」という点にもある。泡盛は熟成が進むほど「古酒」としての味わいが増していく。それと同じようにハイビールも時間が経つほど、そのコクやまろみが増すというのだ。
「出来立てと、賞味期限が近いハイビールは味わいが全く違いますよ。泡盛の力はすごいです」
石垣地ビールの金城さんはこう語ってくれた。
島の時間はゆっくりと流れる。同じようにハイビールもゆっくりとその味わいを変化させていくのだ。
酔いに身を任せ、南国を感じる
ハイビールは度数が強いのにまろやかな口当たりで、ぐいぐいと一気に飲み進めてしまうため、次第に酔いが全身にゆらりとまわる。
グラスを傾けるたびに聞こえる、カラカラという氷の音。
酔いに身を任せれば、それはいつしか三板(さんば)の音に変わり、遠くから三線の音色が聞こえてくる。
あまつさえ、美しい石垣島の風景が目の前に浮かんでくるような気さえもする。
ハイビールライトは、わたしたちの求めている「島」そのものを瓶の中に詰め込んで、家まで届けてくれるようなビールなのだ。
石垣に行かなくとも、島を感じられるビール「ハイビールライト」。
よく晴れた夕暮れ。ぜひ窓を全開にし、風を感じながらこのビールを堪能してほしい。
目を閉じればきっとそこは南国だ。
文 : 小林加苗
・石垣島地ビールHP
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