ポップンミュージック映画部〜「サイレント/音楽」きっかけで実際にサイレント映画を見る編〜/矢澤 豆太郎
皆さんこんにちは、矢澤です。
前回はポップンミュージック初出の楽曲「音楽」から、実際のサイレント映画について知ってみる記事を書きました。
前回の記事はコチラ
今回は我々ポップンミュージック映画部が実際にサイレント映画を「見た」ときのお話です。
さて、まあまあの映画好きとしてやらせていただいているわたくし、面白い映画の情報や、地元の上映会の情報などは知り合い伝いでなんとな~く耳に入ってきます。
昨年2023年8月に札幌で開催された「肉体と悪魔」上映会の情報も、よく行く喫茶店経由で情報をキャッチしました。
この上映会を主催するのは「北海道で無声映画を上映する会『キタ・キネマ』」。見ればこの「肉体と悪魔」上映がキタ・キネマさん初の上映会だとか。
ここで特に目を引いたのが、この上映会は「活動写真弁士」と「ピアノの生演奏」ありだということ。これは札幌ではなかなか珍しい(私が知る限りではほとんど開催されていなかった)形態です。なんだか面白そうじゃあありませんか。
そして私は、まあまあの映画好きであると共に、音ゲーのオタクでもあります。
「活動写真弁士」と「ピアノの生演奏」ありのサイレント映画上映会といえば、それはもう、ポップンミュージックの「サイレント/音楽」について思いを馳せないはずがありません。
「よし、ぬのじさんを誘ってサイレント映画の上映会に行こう」
かくしてふわっと生まれたポップンミュージック映画部は、二人にとっては人生初のサイレント映画を見に行くことになったのでした。
ここでほんの少しだけ、我々が鑑賞した作品「肉体と悪魔」についてもご紹介。
「肉体と悪魔」は1926年のアメリカ映画。士官学校に通う男二人の友情や、小悪魔的な魅力が光る物語のヒロイン・フェリシタスとの三角関係、フェリシタスを演じるグレタ・ガルボの美しさやアメリカ圏に於ける「悪魔」像の考え方、などなど……非常に興味深く、また恋物語のエンターテインメントとしても現代に通じる面白さがある名作です。
この上映会では、活動写真弁士として関東から片岡一郎さん、ピアノ奏者として関西から鳥飼りょうさんがそれぞれ来札下さいました。おふたりとも全国各地でご活躍されている実力派です。気になる方は要チェック!
また、こういった有志が開催するタイプの上映会は、一般的な映画館(シネコン)ではない、イベントスペースとして借りられるような場所で行われることが多いです。「肉体と悪魔」の上映会は、札幌市中央区の大きな公園、中島公園の中にある豊平館という建物で行われました。国指定重要文化財でもある豊平館は、歴史を感じさせるレトロな佇まいが魅力的です。
ちょっとした広間くらいの大きさの会場に、座席数は50席ほど。こじんまりとしつつも会場は満席でした。そしてなんと言ってもピアノが! 近い! スクリーンの傍らにグランドピアノが設置されているだけでも普段見る映画とは違う雰囲気でテンションが上がりました。
そんな環境で鑑賞した、初めてのサイレント映画はどうだったかというと……
生演奏のピアノの伴奏、すごい!
映画館の音響もリッチなものではありますが、楽器の生演奏による伴奏はまた格別の贅沢さがありました。
奏者の技量によって紡がれる、映像とリンクした劇伴や効果音……それらがすべて一台のピアノからその場で生み出される体験はサイレント映画でしか味わえないと共に、まさに「サイレント映画と音楽は切っても切れない関係である」ということを体感させられました。
モノクロ画面の中で光る構図の美しさ、すごい!
当時の映画の映像は、現代と比べるとまだまだ技術的な制約が大きかったはずですが、それを感じさせない洗練された構図やコントラストの美しさに目を奪われました。特に構図に関しては現代にも通じる不文律の存在を確かに感じさせます。
また、モノクロの画面ならではのコントラストや光の表現も非常に美しいものでした……!
ポップンミュージックに於ける「サイレント/音楽」の担当キャラクターである「サイレントルーム」がヒトのシルエットを模したモノクロの影のようなデザインであることに思いを馳せ、勝手にエモくなったりしてしまいました。(?)
活動弁士の語り、ライブ感がすごい!
前回の記事でも書きましたが、活動弁士の語りには決まった台本はありません。映画の内容を、それぞれ独自の解釈を加えつつ語っていきます。
それはあらかじめ用意したセリフをその場で読み上げるだけでなく、時には客席の盛り上がり方の様子を見ながら、セリフの抑揚や演技を合わせていくのです。そのライブ感たるや……!
映画の上映でありながらも、舞台観劇のような面白さもありました!
サイレント映画、すごい!!
……と、いうわけで……
きっかけはなんとな~く音ゲー絡みではありますが、結果としてオタク活動の域を超えた非常に文化的な体験ができたのでありました。
私はこういう「きっかけはオタク活動の一環だけど結果としてめちゃくちゃ文化的な体験だったり全く新しい文化に触れることになる」体験を大事にしていきたいと思っています。皆さまも、是非!(?)
私はその後も何回か別の上映会に足を運び、キタ・キネマさんには個人的にもお世話になっています。……のでこの場を借りてしれっと宣伝させていただきました。札幌近郊の方は是非チェックチェック~!
また、サイレント映画の上映会にはピアノ伴奏のみの上映、活動弁士のみの上映、それぞれありますがどちらも違った味わいがあっておすすめです。
サイレント映画、見よう!!
……これ本当に音ゲーの話題なのか……?
まあ、私が編集長だから、いいか……。
それではまた〜。
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書いた人:矢澤豆太郎
月刊オトモの編集長かもしれません。各ライター陣を脅して原稿を書かせている人とも言います。普段は札幌でアマチュア作家活動などもやってます。好きな音ゲーはポップンミュージックとギターフリークスですが、割とBEMANI全般を満遍なくやってるかも。
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次回の更新は少し前倒しして11月30日(土)の予定です……?(変更の可能性アリ)
お楽しみに!