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学会の女医のキャリア話から考えること。

先日、ココ先生の一連のポストをみて、
大変心が痛んで、思わずあまり深く考えず下記のような引用ポストをしてしまった。

ポストだとどうしても字数が限られているし、
勢いで自分もポストしてしまって、
別の意見もいろいろみた上で、
改めてnoteにしたいと思った。

ココ先生の元の一連のポストはこちら。

学会の女医のキャリアを考える企画に参加したココ先生が、キャリアへの悩みをそちらに登壇されている先生なのか、おそらく女医さんにされたところ、その先生から「すごくもったいない。時短はキャリアのカウント外だ」というようなことを言われて大変傷ついたという話。

もちろん、この先生の言い方に問題がある。

その上で、学会での女医のキャリアの話をすることについて考えたい。

そもそも男性医師ではなく、「女性医師の」キャリアが取り上げられるのって「女性は妊娠出産を挟む(人が多い)から」という前提がある。
この前提がない=女性医師が妊娠出産もしないなら、男性と分けて別々にキャリアを考える必要がないからだ。

このキャリアの話というのは、基本的には、妊娠出産をした、あるいは考えている女性Dr向けであると私は考えている。

学会でも取り上げられるのは、
妊娠出産を経ることでキャリアに悩む女性医師がかなり多いからではないだろうか。

そう考えると、その話を聞きにくるのは、
妊娠出産を経てキャリアに悩む女性医師
がメジャーな層なのではないかと推察される。

そしてその悩みというのは、
大抵は「子育て」と「仕事」の狭間にある。 

そこの層が求めていることは、
ママ女医でただキャリア形成に成功した例
なのではなく、
失敗や苦労もありながらどうやって乗り越えているのか、限られた中でどうしているか
なんだと思う。

それなのに学会が提示してくるのは、

子育ても仕事も100%両立でき、キャリアもガシガシ積んでいる、まさにスーパーウーマン。

ばかり。

地方の野球部の子達に対して、
全員に大谷翔平になれって言ってるようなもん。

ニーズ履き違えてるやん、と私は思うんだけど、
必ずしもそうでもないのかもしれない。

思い返してみると、
女医の敵は女医
という言葉もあるように、
同じママ女医なんだけど、
当直からオンコールから全部こなせていて、
当直オンコール免除のママ女医を批判、毛嫌いしているママ女医もいるからだ。

私はママ女医だけど、できているよ?
なんであなたはできないの?

もちろん、こなせるママはすごい。

でも。例えばだけど、同じ科の同じママ女医でも

2児の母、子供たちは聞き分けよし
両親近くに住んでいてヘルプあり
旦那基本在宅、協力体制あり

2児の母、子は1人障害あり
両親遠方ヘルプなし
旦那多忙で基本不在

あまりに極端な例だけど、
この2例に同じ働き方、キャリア求めるのは酷であることは、よほどのバカでない限り理解できると思う。

その人の背景にもちゃんと目を向けないといけない。

ママ女医と言っても、
環境や得られる協力体制、働き方の希望、
誰1人同じ人はいないから、
学会で画一的にこうです!これを目指しましょう!っていうのはそもそも無理な話。

では、学会の立場から考えてみる。
学会ってそもそも難しい稀な症例が集まったり、
高尚な場であるとは理解してる。
やはりトップの先生方が主に集まる場(のイメージ)。
そのステージに立つということは医師の中でもトップのキャリアを持つ、一般の医師から見ても憧れの方々なんだと思う。

女性医師のキャリアを取り上げる企画を考えた時に
やはりそんな素晴らしいキャリアの方を招きたい、
というのは十分理解できる。

憧れの方を目指して、みんな頑張ってほしい。
たぶんそんな意図があるのではないか。

私はこの背景に、運営がおそらく大多数男性であることも関係していると思う(男性が多いというのは推測だけど、そもそも医師は男性が多いし、学会運営をするようなトップ層になる医師は男性が多いだろうから)。
いきなり性別の話を出して暴力的だと言われるかもしれない。

でも、夫がよく言うのだけど、
男は戦えるものが仕事しかない。仕事ができなければ、人間として無能の烙印を押されるし、どんなに辛くても仕事で戦うしかないんだよ。仕事の成功は人生の成功なんだ。

最近は主夫も増えているだろうが、こんな考えの男性はきっと多いのだろう。

確かに女性は仕事に振ることもできるけれども、
子育てにシフトチェンジしても、誰からも特に何も思われない。

一方男性は、やっぱり仕事できないとか主夫と聞くと、嫌な反応を返されることもあるのだろう。

そういう男性たちが運営している学会であれば、
女性医師のキャリアという企画をさせた時に、
彼らが思う成功者を呼ぶのは仕方がないのかもしれない。

そして招かれた女性医師も、
いわゆる"勝者"であり、それゆえに弱者の気持ちがわからないことが多い可能性がある。
強いものには弱いものの気持ちはわからない。

でも、見えてはいないだけで弱者の方が多いのだ。

男性医師が聞きたいキャリアの話=成功者の話
なのだろうが、
女性医師が聞きたい話=成功者の話
というわけではないのだ。

むしろそう言った成功者の話は、
そうでないものの気持ちをポキりとおってしまう(医師自体を辞めてしまう)可能性もある。

学会が最初に女性医師のキャリアについて取り上げたのは、そういう離脱する女性医師を減らしたいという思いがあったのではないだろうか?

女性医師は年々増えてきているし、
離脱は医療業界としても避けたいところだと思う。

それならば本当のママ女医のニーズを理解する必要がある。
必要なのは先ほども書いたように、失敗や苦労もありながらどうやって乗り越えているのか、限られた中でどうしているかということだ。

そういう経験がある、仕事をセーブしながらもなんとか頑張っているママ女医はおそらく学会のお眼鏡には敵わないのかもしれない。
それなら登壇はスーパー女医さんでいいから、個別のお悩み相談とかでそう言った女性医師の配置をするのはどうか。
たぶん、そっちの方がニーズはあるぞ。

ぐだぐだ書いてしまったけど、
なんとなく伝わると嬉しい。


誰かを敵視、批判したいつもりはなく、
頑張っている人が正当に評価される一方で、
いろんな働き方の女性医師が尊重される
医療業界であるといいなと思っている。

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