
#29絵を描く。 怖いもの見たさ⑥ 相反する感情の共存
凸凹発達の息子8歳。
言葉の壁が厚い彼にとって、絵を描くことは、表現ツールの1つになっています。
毎日A4コピー用紙にせっせとしたためる絵の数々。
怖いのに、なんだかんだでソレを見たがる
ナゾの心理…
第5弾では
そんな息子の中にある『怖いもの見たさ』への真理に迫ったようなお話しでした。
今回は第6弾です。
『怖い』×『でも好き』×『だから描く』から生み出された作品を展覧します。
『怖い』の感情を、言葉で表してしまえば
意味は1つだけのようにも感じますが
実際は
1つの感情にきっちりと割り切れているものではなくて
いくつかの感情が複雑に混じり合っているものなのだと改めて知りました。
それは『人生』という言葉のように
楽もあれば苦もある。相反する感情も共存する深みのあるものなのかもしれませんね。
実際、息子の『怖い』の感情の中には
気になる・面白い・好き・嫌い・もう少し見ていたい・ナゾを解きたい‥
様々な感情と背景が入り混じっているようです。
一つの言葉だけでは表しようのない
己の中に生まれくるナゾの感情に対して
阿吽の呼吸で私が察知し、名前を付けてあげられたら良いのでしょうが…
黄門様の忠臣である助さん格さんのように
右腕秘書のような能力を持ち合わせていれば、ソレも可能でしょう。
しかし、私はどちらかといえば、うっかり八兵衛タイプです。
しっかり向き合って、考えて、想像して、ちょっとうっかりをたまに持ち合わせて、ようやく見えてくる。泥臭いというか、ちょっと野暮ったい。けれど。そんなもんだから、仕方がない。
息子自身はといえば
ナゾの感情に対して「ま〜いっかぁ」なんて見過ごせない生真面目さがあります。
そんな真面目な性格のおかげなのか…
本来ならば「怖い」モノは避けるのが筋でしょうが
彼は「怖い」の周辺を徹底的に散策し
ついには向こう側に到達したようで
頭の中で愉快な妄想を展開しています。
ソレがこちら。

(左)永遠の恐怖ジェットタオル×耳を塞ぐ楽器ピアノ
(中央)グーグルエラーさん×ドラム
(右)怖い紫ミニオン×リコーダー
『怖いけど●●』達の、夢のような共演。
ちなみに…幼い頃から音楽関連の教育TVは拒否して観ることはありませんでした。
多分、音楽や歌自体にもなんらかの怖さがあるのだと思います。
そんな『怖い』の多重奏。
恐怖のハーモニーはどんな音色を奏でているのか気になります♪
続いて、漫画編です。
【4コマ作品】


フルーツハットのエラーさんとジェットタオル。
「うわー」
月夜に恐る恐る出歩いています。
枯れ木の側に差し掛かったそのとき
「ハッハッハッハッハー」
ついに出ましたオバケ!
思わず二人は逃げ出します。
「たすけてー」
「おばけは(が)出たー」
エラーさんの頭上のフルーツも落ちそうなほど、あちゃこちゃパニックで逃げ回ります。
完!!
【3コマ×2作品】

*カラス編
カラスの鳴き声…
「カラスは(が)でたー」
細い月と夜闇に響く不気味な鳴き声
「カーカーカー」
完!!
*ガイコツ編
不気味な枯れ木の背後からカラカラカラ…
ガイコツの音。
「ガイコツは出だー」
ナゼかガイコツの方へ向かっていく叫ぶ坊。
エラーさん、坊、放デイのスタッフやお友達
みんなで逃げる。
「ギャー」
完!!
【2コマ×3作品】

*ヘビ編
足元がなんか変だぞ…ヘビの鳴き声
「ギャーヘビー」
急いで逃げる放デイスタッフやお友達
完!!
*コウモリ編
月夜に響キ渡る恐怖の音。それは…
コウモリのなきごえ
「コウモリ出たー」
逃げるエラーさん。
完!!
*かみなり編
雲行きが危うくなってきた。
これは天気が荒れそうだ。
雷の音が響き渡る。
「かみなりくもはてたーがでたー」
電気系統に弱いジェットタオルは雷が怖い。
完!!
ということで、
息子なりにちゃんとオチのついたお話になっていて、
水戸黄門のドラマのように、どれも裏切らない逃げっぷりのクライマックスです。
興味深いことに
いつしか「恐怖」はキャラクター化され人格をまとい
愉快にすら感じてしまう『怖い』の世界観が展開され、
世にも不思議な物語になっています。
未熟な語彙力で、
いつも何を考えているのやら〜考えていないのやら〜
ナゾすぎる息子の頭の中。
そんな普段の様子を軽々と凌駕するほどの
独特で珍妙な世界観全開な発想に
ははぁ〜。恐れ入りました。
と
思いもよらないヤツから印籠を突き付けられたような衝撃をくらった次第です。
ではでは。
ご興味がありましたら↓
怖いものシリーズ