男の離婚・経緯
家族がまだ眠っている早朝に一人で起きて、朝食も取らずにひっそりと出勤。帰宅は、夜遅く。
帰ってくるなり、「あれすんな」「これすんな」「あれをしろ」「これをしろ」と妻に言われ続けた。
自分ばかりでなく、子どもに対する支配が厳しくなると、子どもの性格・気質に重大な影響があると心配になり、さすがに自分も黙っていられない。
毎回口論になる。
毎回口論になったのは、教育についてだけではなかった。泥沼化した議論は、お金。
この先行き不透明な世の中で、基本的には月収で収支を合わせ、ボーナスは有事に充てると考えるのは、そんなにおかしなことだろうか。
自分の年収は30歳から1千万を超えていたが、子ども二人に塾や習い事を都内であれこれやりすぎるとさすがに収支が合わなくなる。
それでも、自分は子供のためにと思って努力した。
週2冊ペースで読んでいるビジネス書も購入するのをやめ、図書館に切り替えた。
ジム通いもやめ、ランニングと宅内筋トレに切り替えた。
新聞も取るのをやめ、会社で読むことにした。
朝食と昼食も自分でサンドイッチとサラダをつくって持って行っている。
そういうのも当てつけとしか思われないらしい。
必要な金はよこせという妻の主張と月次で収支を合わせたい自分。一向に議論は収束しない。
冷静に、論理的に話すほど、妻は自分が馬鹿にされた、人格を否定されたと思うようになり、ますます泥沼化していく。
いま振り返ると、2014年年末が転機だったのだと思う。その当時、会社では、所属する部署は割と忙しい方だったのだが、2015年1月に、特に忙しい部署に異動が決定した。当時、毎月月次の収支管理表をメールで送っていたのだが、12月分を送る時、これから大変になるので支えてほしいとメールを送った。しかし、それに対して何の返信もなかったし、生活は変わらなかった。
前評判通り、2015年は急がしかった。11月下旬から38日連続勤務した。2016年以降も、さすがに土日勤務が連続することはなかったが忙しい日々は続いた。疲れて帰っても、労われたり感謝されることはなく、帰ってくるなり、子どもの塾の宿題を見ろ、と命令される。子どもが思うようにできないと、汚い言葉を長時間吐き続ける。
それでも、息子は耐えきった。第一志望ではなかったが、第一志望群の私立中学に無事入学できた。そこで、この地獄のような生活も終焉するものだと思っていた。しかし、終わらなかった。今度は矛先が娘に向いた。
途中の経緯はすっとばすが、確かに私にも非があるとは思っている。しかし、自分に対してだけでなく、子どもに対して、ひどい言葉をかけられ続けたら、私も黙ってはいられなかった。私も妻に汚い言葉をかけたことはある。
しかし、子どもや自分に対する態度は変わらなかった。本来は妻に出て行ってほしかったが、自分の方が耐えられなかった。度々不毛な議論に長時間付き合わされると子どもの精神状態に悪影響が及ぶし(実際娘には悲しい思いを何度もさせてしまっていた。)、自分自身も睡眠時間が削られるのだ。このままこの生活を続ければ、一家総崩れになってしまう。そう思って、泣く泣く自分が家を出たのだ。
この中途半端な状況は早く脱したいので、色々な人に相談したり、文献で学んできている。その中で、大きく2つの問題に収れんされてきたと感じている。一つは、妻の言動が性格の問題として片づける問題ではないのではないかということ。2つ目は、離婚というのは、これだけ深刻な問題を抱えても成立しないばかりか、成立しても、男に不利なようにできているということ。
一つ目の問題が、まず難しい。「やさしくわかる精神医学」によれば、「世の中には、平均的な人々とは違う認知や行動のパターンをもっているため、『変わった人』『個性的』と評される人々がいます。しかし、こうした人々がすべて障害というわけではなく、明確に線引きすることは非常に難しいといえます。」としている。確かに、たとえば子どもに対する言動が、躾なのか、虐待(または友田明美氏が定義するマルトリートメント)なのかというのは、客観的に整理するのが難しい問題である。ただ、手掛かりとして、同書はこう続ける。「人格のかたよりが大きく、つねに同じパターンでトラブルをくり返していて、本人が苦痛を感じているか、周囲が苦痛を感じている場合に、パーソナリティ障害と診断され、治療が必要となります。」子どもが苦痛を感じているとしたら、やはりこれは性格や躾の問題として我慢し続けてはならないのでは、と思い至るようになった。まして、友田氏が指摘するように、マルトリートメントが子どもの脳の発達に悪影響を与えているとしたら、なおさらだし、深刻な問題である。
二つ目の問題は、一つ目の問題が整理できたとして、離婚の要件として証明できる材料にはなりにくいということである。離婚が成立したとして、そもそも離婚に関して法律は男不利にできているが、それが証明できる材料にならないということは、離婚を優先させると、男側の条件がより悪くなってしまう。
これらの問題について、同じような悩みを抱える男性がいるのではと思い、少しでも力になれればと思う。そして、日々の過程を記していきたいと思う。