明るく、楽しく、そして激しく!不安を吹きとばせ!全日本プロレス1・3後楽園大会感想。
1月3日に行われた全日本プロレス後楽園ホール大会を全日本プロレスTVで見たので感想、とともに最近の全日本プロレスの動きをまとめようかと思います。
とりあえず、まず年末に大森隆男、そして木原リングアナと、馬場全日本時代を知るレスラー、スタッフが相次いで退団を発表。そして長年参戦していたヨシ・タツも退団。
そして何と言っても大きかったのがレスラーとしても、また裏方としても全日本プロレスを支えていた石川修司の退団報道。こちらはまだ正式発表ではないですが、東スポWEBが先行して報道した形。しかもその経緯がかなり細かく書かれていました。
ちなみに福田社長のハメを外した動画はこちら。まあ確かに社長がいきなりこんな事始めたらやめたくなっても仕方ないか...。という気もしますが。あとアクトレスガールズとの「業務提携」としっかり口にしているのもポイントか。Evolution女子との関係性も気になるところです。
そしてさらに話題になったのが、現三冠ヘビー級チャンピオンである中嶋勝彦が元旦にアップした動画。しっかりと新日本プロレスに宣戦布告する内容でした。
そもそもまず全日本プロレスの1・2,1・3後楽園を控えた元旦に新日本プロレスへの宣戦布告。1・3には三冠ヘビー級の防衛戦も控えているのに...。と不可解なもの。
その他にも”過激な仕掛け人”新間寿が中嶋勝彦の大晦日の防衛戦に帯同、「あり・ボンバイエ」をテーマ曲に流したり、中嶋勝彦が不自然なまでに「闘魂スタイル」を連発するなど、今までの全日本プロレスには無い動きが内部に起こっているのが外から見ていてもなんとなく伝わってくる状況。そして選手たちはそれをよしとせず、代表して石川修司が社長に直談判→退団へ、というのが今の全日本プロレス(予想)。東スポには「他にも対談する選手が」という匂わせもあり、今後の動向が(悪い意味で)注目されています。
1・3全日本プロレス後楽園ホール大会。明るく楽しい全日本プロレス!
そんな中行われた全日本プロレス後楽園ホール大会。1・2は実家でのんびりしていて見てない私ですが1・3は全日本プロレスTVで観戦しました。
第1試合のジュニア8人タッグではそれぞれの選手が目まぐるしくも持ち味を発揮、フリーとなってからも全日本に定期的に参戦している岩本煌史が井上凌を孤高の芸術で仕留め、ジュニアヘビー王者の田村男児と視察戦。タイトルマッチへの機運を高めると、第2試合では黒潮TOKYOジャパン&立花誠吾が鈴木みのる&大森北斗を巻き込んで黒潮ワールドを展開、打って変わって笑いにあふれる試合に。かと思えば第3試合では青柳ブラザーズに本田竜輝&安齊勇馬の「New Period」が殊勲の勝利!新生代の台頭を感じさせました。
今の全日本プロレス、選手層も徐々に厚くなっているし、第1試合~第3試合全てでテイストの違う試合が出来るのが素晴らしい。正月らしく、激しくも楽しいプロレスが展開してました。
そしてここで「問題の」アクトレスガールズ提供試合。ただアクトレスガールズは現状「プロレスじゃない」扱いの「アクトレスタイム」を提供するスタイル。歌とダンスで始まり、青野未来&夏葵vs皇希&後藤智香のタッグマッチ。正直歌とダンスの時点でまあまあ客に弾かれた感ありましたが、試合の後半ではなんとか成立するくらい盛り上がっていたような感じ(配信だったんでそこらへんよくわからなかったですが)ではありました。
全日本プロレスがアクトレスガールズとホントに「業務提携」したのなら、もうちょっと全日本プロレスファンに受け入れられないとしんどいかと思いますが、今の時点ではなかなか厳しいものがありました。
あくまで「アクトレスタイム」だからか試合前のカード発表映像にも登場しなかったりときっちり紹介してもらえないのは痛い。なんとか浸透させる努力が必要なのと、例えば歌とダンス自体は休憩扱いにして試合はきっちりアナウンスするなど構成も工夫が必要なように感じました。全日本プロレスTVでは風香GMが一生懸命説明していて好感が持てました。観客全員に「アクトレスガールズグラフィティ」配れば少しは親しみが湧くのかも...。
しかし、一瞬観客を困惑させた「アクトレスタイム」でしたが、後半戦になると再び大盛りあがり。
第四試合の芦野祥太郎&綾部蓮VS斎藤ブラザーズは大型選手3人に囲まれた芦野が奮闘、ど迫力の斉藤レイのボディプレスで綾部を沈めましたし、セミファイナルではあの!諏訪魔&鈴木秀樹の不仲コンビが宮原健斗&デイビーボーイ・スミスJrと対戦!
ケンカしながらなんだかんだで噛み合う諏訪魔&鈴木秀樹に、全日本プロレスに噛み合うサイズ感のデイビーボーイ・スミスJr、常に一定のハイテンションな宮原健斗、これで面白くないはずはない。終始ドタバタと仲良くド迫力のケンカが繰り広げられた上で宮原が諏訪魔を丸め込んで勝利。ここまで激しく明るくありながらもどこか笑える、全体的に自由で愛嬌があるファイトが繰り広げられてきました。
そしてメインイベントは「NXTからの刺客」チャーリー・デンプシーが中嶋勝彦に挑む三冠ヘビー級選手権試合。テーマ曲はアリ・ボンバイエではなくいつもの中嶋勝彦のテーマ。純白のバスローブに赤のタオルを肩にかけての入場でした。
試合は1・2後楽園で中嶋からフォールを奪ったデンプシーが関節技で攻め込み、中嶋は得意のキックで対抗。今までの明るさとはまた違う、ピリッとした真面目な試合が繰り広げられていきました。
執拗に首攻め、ヘッドロックもなかなか話さないねちっこいファイトを繰り広げるデンプシー。そのデンプシーにゴツゴツと打撃を入れていく中嶋。素朴かつ基本的な攻防が続く、これが闘魂スタイルか。場外戦も交え、関節技と打撃の攻防が15分以上続いた末に闘魂ビンタでデンプシーをグロッキーに追い詰めた中嶋がバーティカル・スパイク一閃でカウント3!三冠ベルト防衛を果たしました。
デンプシーと握手を交わした中嶋勝彦、改めてマイクを持って観客に年賀の挨拶。そして三冠ベルトを持ち、「俺は日本プロレス界の地形を変えるため、そして三冠ヘビー級を上にあげるため、このベルトを持ってNXTに乗り込む」と宣言。観客がなんともいえないリアクションの中、リングに上ってきたのは芦野祥太郎!
まず入場するなり「お前の闘魂スタイルなんかに価値はねーよ」とバッサリ。
それからも「俺達全日本プロレス所属の人間は、その三冠のベルトに誇りを持って戦ってる。全日本プロレスに闘魂スタイルは必要ない」と引き続きバッサリと斬る芦野。
そこで「テメーの力で奪ってみろ!」と言い捨てて中嶋勝彦がリングをあとにしたため、芦野がマイクを持って観客に対して語ることに。
そして芦野が4方に礼をして締め。全日本プロレス後楽園ホール大会は幕を閉じました。
個人的にはこの興行、実質4部構成になっているように見えました。
1部は第1~3試合の前半戦パート。全日本プロレスの正月らしく盛り上がりました
2部はアクトレスタイム。ここがこれからの課題かと感じる雰囲気。
3部は第4~セミファイナルの後半戦パート。ここも全日本プロレスらしく、熱くかつ明るく楽しく盛り上がりました。
そして4部はメインイベント。このメインはNXTのデンプシーと、健介に育てられ、ノアで育った中嶋勝彦のシングルマッチ。ここに「正月の全日本プロレス」感はあまり感じず、穿った見方をすると中嶋勝彦のNXTオーディション的というか、WWEと中嶋のテストマッチ的というか、全日本プロレスのメインイベントというよりノア出身レスラーとWWEのレスラーとのシングルマッチのように感じました。
今の中嶋勝彦、実際元旦のポストで自らを「三冠ヘビー級チャンピオン」と書いていなかったり、今回も芦野に締めを任せて帰ったりと、あくまで「外敵」であり、ベルトを巻いた瞬間に団体を背負う、という雰囲気も薄い。「個」として全日本プロレスのチャンピオンになっているイメージ。
そして、新間寿がいないこの日は基本的にノアでの中嶋勝彦とあまり変わった印象はありませんでした。過剰な「闘魂スタイル」アピールは新間寿とセットになったとき限定のものなのか。
そんな色々な謎、不安を吹き飛ばすべく立ち上がった芦野、最後のマイクも団体を背負い、観客を安心させるものでしたし、マイクはチャンピオン完全合格。あとは中嶋からベルトを剥がせるか?その当日新間寿は来るのか?タイトルマッチは1月27日。ここで全日本プロレスの方向性が大きく変わる、かもしれません。
色々と謎が深まる全日本プロレス。でも全体の雰囲気もよく、観客も1300人(去年は1041人)入っていたりと全日本プロレスの団体としての勢いは上昇している状況。今回もほぼずっと面白かったです。ただ内部の不穏さを抱えながらも興行としては完成度が高いというなんとも不思議な状況なのはなんとかして欲しい。選手が安心して闘えて、なおかつポンポン離脱しない。これは団体としては最低限の環境だと思うんで全日本プロレスさんにはなんとかしてほしい。面白かっただけに色々と気になった後楽園大会でした。
個人的なお願いとしては
お願いだからそろそろ安定して頂きたい!
全日本プロレスを安心して応援させてくれ~!
最後に青柳優馬の名解説を置いておくのでご堪能ください。それではまた~。
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