映画レビュー#011 『ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK‐The Touring Years』(2016年)

ザ・ビートルズが好きか?

これは私にとって「白米が好きか?」と同じような質問。好き・嫌いではない。
別にザ・ビートルズ至上主義ではないし、むしろ中学・高校生の頃は嫌いで敬遠してた(理由は私の父親にザ・ビートルズを勧められたからw)。

でも時が経ち様々なジャンルの音楽を聴くようになり、改めて聴いたりするとザ・ビートルズはやはりすごいなぁと。奇跡だな、と。
思わず自分の娘にも「ザ・ビートルズ聴きなよ」って言いそうになるが、そこはグッとこらえてる。まぁ好きでいてくれてるけど。


1962年のデビューから1963年〜1966年までのツアーをベースにしたドキュメンタリー。
なんでしょうね、この4人が放つ無敵感。立ち姿だけでこれだけ魅力を感じるバンドってなかなかいない。
ザ・ビートルズ知らない、興味ないって人でも楽しめる映画だと思う。浅過ぎず深過ぎず。
で、たぶんポールのかわいさにやられるはず。


ザ・ビートルズの映像を観ると「1950年に生まれたかった」っていつも思ってしまう。
そしたら『プリーズ・プリーズ・ミー』が13歳。夢中にならないわけがない。
できたら女の子で生まれて、目一杯おしゃれしてライブ行ってキャーキャー騒ぎたかった。失神するぐらい騒ぎたかった。


リチャード・カーティス曰く
「ジョンは驚くほど勇敢」
「ポールはとてもキュート」
「リンゴはやんちゃで魅力的」
「ジョージは私の姉が夢中だったよ」
って!これ!このジョージのポジション。なんかいいわー。


ウーピー・ゴールドバーグの回想。
「”色”なんかない。ひたすらカッコいいの」
「”誰でも受け入れられる”とビートルズから教わった」
「好きな格好をして好きなように生きていい」

当時を経験している人たちの発言は説得力があってしびれる。
『ラバー・ソウル』に対するコステロ師匠のコメントも良かった。


どんな問題に対しても4人で決め、軽妙に乗り越えていく姿は感動すらする。

公民権運動ともリンクし人種差別を受け入れず、人種隔離の対象となっていたコンサート会場について「受け入れがたいね。馬鹿げてるよ」とし、ポールは「隔離なんかしない」と明確にNoを突き付け、全ての人を受け入れる。
リンゴも言う。「”あの人たち”や”この人たち”じゃない、人々のための演奏だ」と。
ここまで堂々と声を上げて態度で示すってすごいな。深入りしにくい社会的な問題でも軽々と突破していく。無敵。
しかもどんなことにもユーモアを兼ね備えてる。これ最強。


当時のライブ映像を観ると、よくまぁあんな状況でよく演奏できたよな、と。
モニターないし、歓声(ほぼ悲鳴)でかいしで、ほとんど自分たちの演奏聞こえていないだろうに。リンゴ大変だったろうな。


そんな環境と日本やフィリピンでザ・ビートルズを取り巻く状況などを合わせると「もうライブやらない!」ってなるのも自然な流れだろう。


ザ・ビートルズ関連でいつも思うけど、ジョンの話し方が好き。声も。で、一言多いんだよな、ジョークばかりだし。そこが最高だと思うんだけど、世の中全員がそうとは思わないわけで。


映画は終わり方も良かった。エンドロールでも思ったけどすでにポールは1963年の時点で「レコーディングが好き」って明言してるんだね。


どのアルバムが好きか?っていうのはその時期によって変わるんだけど、ここ数年は2ndの『ウィズ・ザ・ビートルズ』で固定してる。
いちばん黒っぽくてかっこいい。とはいえ、結局全部好きなんですけどね。


音楽シーンではすっかりバンドが元気なくなっちゃったけど、もうこれから先、ザ・ビートルズみたいな現象を起こすバンド、世界のいろんな人々やカルチャーを飛び越えてしまうようなバンドってもう出ないかもなぁ。
オアシスが再結成しても無理よ(笑)。

鑑賞日2020年1月22日(Netflix)

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