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映画レビュー#006 『千と千尋の神隠し』(2001年)

「一度あったことは忘れないものさ。思い出せないだけで。」


『千と千尋の神隠し』
『風の谷のナウシカ』
『もののけ姫』
『ゲド戦記』

この4本がリバイバル上映されているということで、どれを観るか娘と相談し、『千と千尋の神隠し』を劇場で鑑賞してきた。
2001年の公開時も劇場で観たし、その後もテレビなどで観たのを含めて今回で4回目(劇場では2回目)。
娘はテレビでしか観たことないけど3回目。ただし劇場では初。


前週に劇場で観た『ベイビー・ドライバー』と同じように、劇場で観ること、スクリーンで観ることの特別感にまずは感動。
やはり映画は劇場で観るのがいちばんだ。


4回目だし、ストーリーや展開もほぼ分かっているし、まぁ娘に劇場で観せてあげることができれば、ぐらいの気持ちで行ったのだけど。
結果、私も娘もポロポロ泣きながら鑑賞。

一人の少女の成長譚。こういう話好きだ。しかしあっという間に成長するなー。流石10歳の女の子。

名前、アイデンティティ。
生きることと働くこと。
金、欲、性、環境問題、再開発、子育て、コミュニケーション。
なんかもう全部のせだな。宮崎駿の集大成。
改めて思うけど、すごい映画だ。すごい「アニメーション」ではなく、すごい「映画」だと思った。

アウディA4。勝手に食べ物を食べ「現金もカードもあるから大丈夫」と言い、結果的に豚になる。久しぶり観て「あぁ」ってなる。


125分。そんなにあったっけ?あっという間に終わった。
ひたすら名シーン、名言の連続。久石譲の音楽も良かった。

ハクにもらったおにぎりを食べるシーンで私も泣いた。辛かったよな、よく頑張ったな。
リンが好き。釜爺も好き。
いや、湯婆婆、坊、カオナシとかなんだかんだみんな好き。
でもやっぱりリンが好き。


自分では声を上げることができず、なんでも物・金で解決できると思い、思い通りにならなかったら暴れるカオナシ。すごいよなこの設定。
そんなカオナシに対して「私が欲しいものは、あたなには絶対出せない」って言う千尋のセリフもグッときた。

ちょっと前まで転校にふてくされ、花束にふてくされ(バラの件、好き)、親にくっついていたのに。


トンネルの向こう側はなんであんなに美しいんだろう。
トンネルのこちら側はなんでこんなにもグロテスクなんだろう。
映画のラストが近づくのが嫌だった。もっとあの世界を見ていたかった。


カオナシの居場所ができて良かった。誰かに必要とされるのは大切なことだ。銭婆も好きだなー。魔法使いなのに「魔法で作ったんじゃ、何にもならなからね」とか。


何回観ても、鉄道に乗って銭婆に会いに行くシーンがクライマックス。行き先が「中道」ってのもなかなか。
途中、流れる景色に洗濯物を干している一軒家や、線路で通過待ちしている人、駅で降りた少女。しみじみ見入ってしまった。どんなところでも生活はあるんだなぁと。


鑑賞しながら「あぁ終わって欲しくないな。もっと観ていたいなー」と久しぶりに思った映画でした。


あ、千尋が坊に言った「こんなとこにいた方が病気になるよ!」も好きでした。


木村弓さんが歌う「いつも何度でも」含め、エンドロールでもなぜか泣けた。

鑑賞日2020年7月4日(劇場)

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