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現代版-風邪の効用-

9月の前半、久しぶりに風邪をひきました。
熱は微熱どまりで、
頭痛からはじまり、鼻水、喉の痛みなどが1週間ほど続きました。

昔でいう、『テレビ風邪』かなあと思いました。
今は『スマホ風邪』とか、『SNS風邪』『パソコン風邪』という名前でもつけたいくらいですが、頭や目の酷使で偏った疲労が溜まり、その疲れをオフするために風邪をひきます。

また、東洋医学の世界では
『湿邪』という言葉がありますが、夏の間の湿度による疲れが溜まり、その偏り疲労をオフするために、呼吸器系の症状が多く出たかなあ。
と観察していました。

反省です。
身体がやすみを欲したサインです。



しかし、
野口整体では、野口晴哉氏が提唱するように
風邪は治すものではなく、経過させるもの。
そして、『風邪がひけない』よりもひけたほうがいい。ということが、常識です。

整体の常識は、一般的には非常識かもしれません。

今回は、野口晴哉氏の代表的な著書、
『風邪の効用』を少しわかりやすく解説しながら記事を書きました。
それでも、今回書く内容は風邪の効用の一部をかいつまんだものになりますので、ぜひまだ読んだことのない方は、身体に落とし込むつもりで何度も繰り返し読んで頂きたいなと思います。
『風邪の効用』はなんだか難しくて、読みにくいなあ。
そんな方にこちらの記事が少しでもお役に立てれば幸いです。



□風邪は『経過させるもの』

風邪とは、何なのか。
一般的には、最近やウィルスが鼻や喉、腸の粘膜に入り込み感染すること。
とされています。ウィルスや菌の名前が変わればインフルエンザ、コロナといった名前に変わるのが一般的な考え方です。

しかし、野口整体では風邪は外的要因(ウィルスや菌)だけではなく、内的要因(偏り疲労や、心身の自発的な要求)によってひくものである。
と考えられています。

頭を使いすぎて疲れても風邪をひきます。
食べすぎ飲みすぎて胃腸に負担がかかればお腹の風邪をひく。
季節的な理由で呼吸器や腎臓に負担がかかっても風邪をひく。
風邪とは、普段の生活で蓄積された偏り疲労をオフするためにひくものであるという考え方です。

また、潜在意識に『風邪をひきたい要求』というものがあります。
たとえば、風邪をひけば仕事に行かなくて済む。とか、
小さなお子さんでいえば、お母さんが忙しかったり、弟が出来たことで自分にかまってくれないけれど、風邪をひいたら自分に意識を向けて看病してもらえる。
といった、潜在意識の要求があります。
もちろん、わざと風邪をひいている訳ではありませんし、本人も風邪をひきたい要求への自覚はありません。
しかし、そういった心身の要求で風邪をひくこともある、ということです。


では、風邪は治すものではなくて経過させるもの
とはどういったことか。


例えば咳・くしゃみ・鼻水など。
これらは呼吸器や背骨をゆるめ、風邪のウィルスや老廃物を体外に出そうという自然なはたらきから起こる症状です。これがいわゆる自然治癒力の反応なのです。
それを咳止めなどで止めてしまっては、せっかく自分に備わっている治癒力を使わず、怠けさせて、薬に頼って治す。という経験を積んでしまうことになります。

風邪症状を緩和させるだけの薬はありますが、
風邪を治す薬というものは、この世には存在しません。
風邪とは大なり小なり、つらい経過を辿りますが、そういうものだとわりきって、次回風邪をひいたときはぜひ薬に頼らず経過させることを意識して頂きたいと思います。


□風邪を全うさせるために

・からだを休める
・発熱は上げきろう
・症状を全うさせよう
・汗をかこう
・水分を多く摂ろう


・からだを休める

からだを休める環境を整えます。
風邪はそもそも、からだが休みを欲しているサインです。仕事はやすみ、家でゆっくり横になれるよう環境を整えます。
仕事は思い切って休む。
育児は思い切って人に頼る。
休むときくらい、自分にベクトルを向けて、しっかり休息をとることに集中しましょう。

・発熱は上げきろう


野口整体では、熱が出たときは、氷枕や冷えピタなど、熱を冷まそうとすることは御法度です。もちろん、風邪薬、熱冷ましは使いません。
熱も、下がるべきときに下がるまで待ちます。これも経過

逆にあたためて、熱を上げきらせます。
鉄板の方法は、後頭部への愉氣です。
または温湿布もとても有効です。
ピークまで上げきることができたら、あとは下がる一方、と考えます。
高熱を出すとは危険ではないだろうか。と心配になる気持ちは分かります。しかし、

・症状を全うさせる


咳が出たら咳止め。
熱が出たら熱冷まし。
これでは、からだの自然な働き『自然治癒力』が十分に発揮されません。

薬がダメなのは分かっているけど、長引いているし栄養ドリンクで無理矢理元気を出す。
これもNGです。
栄養ドリンクを飲んで元氣が出る(一時的にそのように感じる)のは、カフェインが入っているからです。また、甘い味付けもついており、かえって分解、解毒にエネルギーが割かれ、風邪の経過を阻害します。

「薬が良くないのは分かっているけど、早く仕事に復帰しなくちゃいけないからつい。」
「楽しみにしていた旅行中だもの。お金もかけてせっかくきたんだから、今日だけは熱冷まし飲んで観光しなくちゃ。」

そんな理由も、
ゆるされませんよ〜。
(きびしく感じるかもしれませんが!)

・汗をかこう


風邪のときは特に、汗がかけたほうが良いのです。
発汗と関連のある背骨が、胸椎5番。
風邪をひく前後では、この椎骨がかたくなり、弾力がなくなります。
野口整体では、胸椎5番に愉氣をして、弾力を回復させます。


汗をかくことは、トイレと同じく排泄行為。
不要なもの、余過エネルギーを排出するデトックス反応です。
風邪のときすら、暖房費節約をし、隙間風はいる部屋で眠る。などはやめて温かくして横になりましょう。
またこれを機に、底冷え、隙間風のはいるおうちであれば冷え対策を考えるのもおすすめです。

また、かいた汗は絶対に冷やさないこと。
寝ている間に汗をかいたら、きちんと着替えたり拭いたりして、汗がひっこまないようにしましょう。

また、発汗と関連があるのが胸椎5番です。
風邪の前後は胸椎5番の弾力が普段よりもなくなり、硬くなることが多いので胸椎5番の観察・愉氣を行い弾力を回復させます。

・水分を多く摂ろう


これは多くの方が風邪の養生として実践していることと思います。
脱水を避け、排泄を促すためにも水分は多く摂りましょう。
王道ですが、わたし自身はポカリ、具なしの味噌汁を鍋1杯分くらい飲んで経過させることが多いです。



□からだへの信頼感を高める


いかがでしたでしょうか。
冒頭にも書きましたが、今回で書いたものは、『風邪の効用』に書かれた一部を簡単にご説明したものです。
ぜひ、本を身体に落としこむつもりで、何度も繰り返しお読み頂きたいなと思います。

野口整体では、誰でもひくもので、風邪の菌がうつる。といったような考え方はなく、あくまで自身のからだの土壌が重要であるという考え方。ひく必要があったからだの要求に従い、全うさせ、経過させる。
からだの大掃除といった経験をぜひ積んでください。

風邪は、からだを正し、生活を改め、経過を待て。というサインです。
何度もこの方法で経過させても変化がない。といった方も、大丈夫。
自身の成長を待つ。ということも大切な過程です。
ヘビの脱皮のように、内側からむけるように身体も心もアップデートされスッキリかろやか。

感性が鈍くなり、風邪もひけずに疲れやすく、過敏性腸炎などを繰り返していたわたしですが、そんな風邪をわたし自身もひけるようになってきました。

風邪がひけたらチャンスです。
ぜひ、経過させてみてください。


本日もお読み頂き、ありがとうございました。


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