【賛否両論】流産・死産した人にかける言葉について
(率直に書きすぎているかもしれないので、タイトルを見て不安になる方は、また気持ちが落ち着いたときによかったら見に来てください🍀)
先日、クローズアップ現代でペリネイタルロスについての特集が組まれており、私も当事者の一人として番組を観ていました。
番組内で、赤ちゃんを亡くした人の話を聞く研修を実施している会社が取り上げられていたのですが、それを受けた男性社員が、研修を受けてもやっぱり難しいと言っていたのが印象的でした。
当時者の私ですら、本当に難しいなと感じます。
だけどこれから先、私の周りにも流産や死産を経験する人がいるかもしれません。そうでなくても、自分では計り知れないような辛い出来事に直面した人にどう声をかけていいかわからなくなる瞬間はいつか訪れると思います。
そんな経緯があって、後期流産の経験をしてしまったからこそ、私自身が言われた言葉について振り返って書き残しておこうと思いました。
読んでいただくと、不思議に思う方もいると思います。
「え?こんなこと言われて嬉しいの?普通、傷つくんじゃないの?」
これが難しいところで、言われた私自身の受け取り方や性格も影響していると思いますし、言われたタイミングや状況によっては傷ついていたかもしれない言葉もあります。私は15週での流産だったのですが、週数によっても気持ちは全然違うんだろうなと思います。
また、その言葉を発した相手が誰だったのかによっても傷つくかどうかは違いそうです。
だから私も、「自分は言われてこう思ったから」とは考えすぎないようにしたいなと思います。
前置きが長くなりすぎました…
言われて嬉しかった順に言葉を並べていくので、最後のほうは言われて傷ついたり困った言葉です。
それぞれの言葉について、「誰から言われた言葉か」「私はどう感じたか」も書いています。
■当事者の私がかけられた言葉の記録
「赤ちゃんができたって聞いたときはすごく嬉しかったから、●●(私)にも、赤ちゃんにも、旦那さんにも、ありがとうって伝えたい。」
誰からの言葉か:妊娠を知っていた友達から言われた言葉です。
後期流産のしらせを聞いて泣いてくれました。赤ちゃんを亡くしたことはもちろんショックですが、赤ちゃんがおなかに来てくれた時は私も本当に嬉しかったのです。赤ちゃんを忘れないでいてくれるような気がして、嬉しかったです。
「頑張ったね」
誰からの言葉か:友達や親から言われた言葉です。
そうなんです。出産はほんとに大変でした。普通に陣痛を起こして生みました。無事に生まれたら「お母さん頑張ったね」って言ってもらえるけど、死産だったらどうでしょうか。「頑張ったね」って声をかけるの躊躇しちゃうかもしれません。でも、すごい頑張ってるんです。私の場合は産声が聞けないとわかっているのに陣痛に耐えていたので、めちゃくちゃ気力がいりました。初期流産だったとしても自然排出や手術で少なからず痛みはあるかと思います。私は言われて嬉しかったです。
「お母さんのせいじゃない。ぶつかったとか、何か食べたとか、そんなんじゃ赤ちゃんは死なない。」
誰からの言葉か:産婦人科の先生から、子宮内胎児死亡の診断直後に言われた言葉です。
その時は何も考えられなかったのですが、すぐにこの言葉をかけてもらえていたおかげで、「自分が何か悪かったんじゃないか」など考えずに過ごせたので、ありがたかったです。逆に、「仕事とか無理してた?」など言われていたら自分を責めていたと思います。
「なんて声をかけても傷つけてしまいそうだけど、今はゆっくり休んで心と体を労ってね。将来きっと、誰よりも幸せになれる日が来るからね。」
誰からの言葉か:妊娠してからSNSでつながっていた、予定日が近い方からXでかけてもらった言葉です。
流産直後だったのですが、この言葉は嬉しかったです。根拠がなくても、「誰よりも幸せになれるからね」と言われたことに救われた気持ちになりました。とても感謝しています。人によっては、「妊婦さんから言われても傷つく」と感じる人もいるかもしれませんね。「なんて声をかけても傷つけてしまいそうだけど」という言葉も、とても配慮してもらえてるのが伝わりました。かける言葉が見当たらないときは、私もこう言おうかなと思いました。
「辛かったね」
誰からの言葉か:流産を伝えた時、多くの人がはじめに言ってくれた言葉です。
「辛かったね」と言ってもらうだけでも、「そうだ、私は辛かったんだ」って改めて自分自身の感情を認めることができました。これを言われて傷つくことはありませんでした。
「気を落とさないで。また赤ちゃん来てくれるよ。●●ちゃん(私)みたいな良い子に不幸ばかりはないよ。おばあちゃんは信じてる。おばあちゃんも頑張って長生きして●●ちゃんの赤ちゃん抱っこしたいです。焦らず体を大切にしてね。」
誰からの言葉か:おばあちゃんからLINEで言われた言葉です。
次の子を望む前提であるところなどは、若干時代を感じる部分はありますが、私は「信じてる」という言葉が嬉しかったです。この時のこと、詳しくはこちらの記事に書いています。
「実は私も流産の経験があるんだ。その後また妊娠して無事に産めたから、きっと大丈夫だよ。」
誰からの言葉か:職場の先輩から言われた言葉です。
日常に戻ると自分以外はみんな何事も無く元気なんだろうなと、どこかさみしい気持ちがあったのですが、実際に当事者である人が身近にいると分かって、心強く感じました。「無事に産めたからそう言えるんじゃないの」と思ってしまう気持ちもすごくわかるので、これも人によりそうだなと思います。
「こんなこと言って傷つけるかもしれないけど、でも、●●(私)が無事でよかった。」
誰からの言葉か:友達から言われた言葉です。
涙ぐみながら言ってくれました。これは私も気づかされることが多い言葉でした。「そうだよな、赤ちゃん失うだけじゃなくて、妊娠って命がけだから母体が無事なのはありがたいよな」と感じました。「自分の命に代えても助けたかったのに」と強く思う人もいると思うので人によりそうですね。
「もう妊娠できる体に戻ったよ。」
誰からの言葉か:産後1ヶ月検診の時に先生から言われた言葉です。
妊娠前の体に戻ったということで少し寂しさもあったのですが、また前に進んでいけるんだという気持ちになれて、嬉しかったです。
「知り合いも、2人目を死産したらしい。その時は本当に立ち直れなかったって言ってた。」
誰からの言葉か:友達から言われた言葉です。
この言葉自体が嬉しかったというわけではないのですが、経験しているのは自分だけじゃないんだと思えたことは心強く感じました。
この辺から、特に賛否両論分かれてくるかもしれません
「まだ若いから大丈夫だよ。」
誰からの言葉か:流産と出産どちらも経験のある、年上の職場の先輩からの言葉です。
これは特に賛否両論だと思います。「誰に言われるか」「その時の自分のメンタル」によって違いそうです。
私の当時のメンタルとしては、自分の気持ちを持ち直すために「まだ若いから…」と自分自身に対しても暗示をかけていました。そして信頼している先輩からの言葉です。だからあまり傷つきませんでした。
「若いから妊娠はしやすいかもしれないけど、今回みたいにその後育つかはわからないじゃん。」「若さ=妊娠しやすさでは必ずしもないんだよ」とも感じたので、この言葉は言わないほうが無難かもしれないですね。本人が、「でも私まだ若いんで、次があると思って頑張ります!」などと言っているなら、そうだねと肯定してあげるくらいが良いのかなと思います。
「流産すら羨ましい」
誰からの言葉か:これはちょっと番外編ですが、直接言われたわけじゃなくてSNSで見かけた言葉です。
「こんな言葉ひどい!」と思う人が大半だと思うのですが、私は「たしかにな」と思う部分もあったのです。
「妊活を頑張っているのに妊娠できない状態が1年以上続くこと」と「妊娠はできると分かったけれどもその子供を失ったこと」を比べた時に、どちらが辛いかは正直わかりません。
ただ、どっちのほうが「前進した感じがするか」で言うと、正直、妊娠できることが分かったということのほうが前に進んだ感じがするのです。命を失っているのに、こんな感情もっていいのかな?とちょっと悩むところです。人には絶対に言わないようにしたいです。
「人と会うことは大事だから、ぜひ色んな人に会って。」
誰からの言葉か:上司から休職中に言われた言葉です。
実際、お休み期間中に色んな人に会って気持ちが前向きになっているので正しい内容なのですが、他人から言われると微妙な感じがしました。立ち直り方はそれぞれだと思うので、同じ経験をしたわけじゃない人からアドバイスのように言われても…って感じです。上司はよく気にかけてくれていたのに、すみません。むずかしいですね。
「仕事のことは全く気にしないでいいから。」
誰からの言葉か:これも上司から休職するときに言われた言葉です。
ありがたいなと思いましたが、言われなくても仕事のことを気にする余裕は無かったので、あまり心に響きませんでした。でも言われて嫌な気持ちはしないので、自分の部下に同じことが起きたら私も言うと思います。
ここから下は、言われて結構困った部類になるかと思います。
「精神的にはもう大丈夫なの?」
誰からの言葉か:復職面談の時に部長から言われた言葉です。
気遣っていただいてありがたいのですが、正直、子供を失って精神的に大丈夫なわけが無いのでセンスのない質問の仕方だなと思います(生意気で大変申し訳ございません)。大抵の人は、会社の偉い人との面談で「大丈夫か?」と聞かれたら「大丈夫です」と即時に答える脳みその仕組みになっているのではないでしょうか?リアルな答えとしては、「わかりません」でした。私は、「今は大丈夫ですが、今後どうなるかわかりません」と答えました。
そもそも、何が知りたくて「精神的に大丈夫?」と聞いたのでしょうか。ただ心配だから聞いたのか、知りたいことがあったのか。質問の意図次第で言葉は変えられるのかなと思います。
「妊娠12週以上経過していたという認識で間違いないですか」
誰からの言葉か:産後休業の申請時に人事から確認が入った際のメールの一文です。
これは退院から日が浅かったこともありグサッときました。死産だったと別の担当者には伝えているし、出産予定日と死産日を伝えているのに、なぜまた確認する?とても事務的に質問されてそれに対して答えることへの精神的な負担は、正直経験者にしかわからないと思います。死産の場合、子供の誕生日を確認されるだけでも精神がえぐられることもあります。私もこの気持ちを忘れないように、(間違っても誰かに言わないように)この言葉を覚えておこうと思いました。
会社とのやり取り系の話はこちらのnoteにもまとめています。個人的な情報が多いので有料(150円)にしており恐れ入ります。ぜひ読んでもらえたら嬉しいです。
長くなりましたが、以上です。
下のほうには会社関連の方に言われた言葉が集まりました…
これから先も言われて印象に残った言葉があったら、この記事に追加しておこうと思います。
■おわりに
この記事を見て「こんなこと言われたけど、それが意外と嬉しかった」とか、「私もこの内容を言われたけど、こういう状況・立場だったからすごく傷ついた」とか、「流産した人にこう言ったけど、傷つけてしまった」とか色んな意見があったら、もし辛くなければ教えてもらえたら嬉しいです。
良い悪いじゃなくて、そう感じることもあるんだなと知れたらと思います。
やっぱり考えても考えても難しくて、それぞれ違うんだろうなというところに行きついてしまいます。
覚えておきたいと改めて思うのは、妊娠中に胎児が亡くなってしまった場合も、生まれてから亡くなってしまった場合も、家族は子供を失っただけでなく「想像していた未来も失った」ということ。
また、様々な事情でそもそもその未来を想像することができないような状況の方々もいるということ。
自分には計り知れない苦しさが世の中にはたくさんある、それは絶対に忘れずに、あとは目の前の方に対してできる限り愛をもって接していきたいなと思っています。
読んでいただき、本当にありがとうございました。