アジアの仮面―神々と人間のあいだ
アジアの仮面を使った芸能について、書かれた本です。仮面劇、仮面舞踊などですね。
日本、韓国、中国、ネパール、インドネシア、インド、スリランカの七カ国が、取り上げられています。
日本人であっても、日本の仮面の文化について、詳しい方は、少ないでしょう。
ましてや、他国のこととなれば、情報は、ごくわずかです。
本書は、複数のアジアの国々を取り上げたことにより、個々の国の仮面文化について、より深く、知ることができるようになっています。
それは、比較の対象があるからですね(^^)
仮面の形態、仮面の機能、どのような材料で作られるか、使用後の仮面はどうなるか、実際に人がかぶるのか否か、かぶり手はどんな人か、仮面にはどんな種類があるか、など、国ごとに、また地域ごとに、みな違います。
それでいて、共通性もあります。仮面の文化について、いろいろと考えさせられます。
一般向けに、アジアの仮面文化を解説した本としては、本書に並ぶものは、ほとんどありません。
仮面は、往々にして、「人ならざるもの」を表わすのに、用いられます。神や、妖怪や、精霊といったものたちですね。
このため、本書は、アジアのそういった存在について、知ることができる資料でもあります。この点でも、貴重な本です(^^)
以下に、本書の目次を書いておきますね。
はじめに
日本の仮面――アジアの仮面の中で
一 はじめに――日本仮面を見直す
二 原始の仮面
三 外来の仮面
四 日本の仮面
五 おわりに――日本仮面の特色
韓国の仮面――仮面に隠された風刺
一 はじめに
二 韓国の仮面の特色
三 仮面劇の登場人物
中国の仮面――呪力を備えたまなざし
一 祭りと仮面劇
二 仮面の歴史
三 代表的な仮面劇
四 呪眼をもつ面
ネパールの面と儀礼――跳舞する生き神たち
インドラ・ジャトラ
バイラブ神の踊りと面
神々の大集合
ナヴァドゥルガー(navadurga)
マハカリ・ピャカン
その他の神舞い
神になる時
注
インドネシアの仮面――舞踊劇ワヤン・トペン
一 インドネシアの仮面・仮面劇―ワヤン・トペン
二 ジャワ文化圏の仮面劇
三 場の民俗芸能―トペン・ダラン・マドゥーラの場合
四 仮面劇を考える
インドの仮面――異界への飛翔
一 東インドの仮面舞踊劇
二 仮面芸能の周縁性
三 部族社会の仮面劇
四 仮面の意味
仮面と境界――スリランカの場合
一 はじめに
二 悪霊
三 身体観
四 悪霊祓い
五 悪霊とのつきあい
六 マドゥワ
七 ガラー・ヤカー
八 ソカリ・コーラム・トウィル
九 コーラムの起源伝承
一〇 コーラムの構成
一一 コーラムの内容
一二 仮面の造形と種類
一三 おわりに
参考文献