美少女の美術史 -浮世絵からポップカルチャー・現代美術にみる"少女"のかたち


美少女の美術史 -浮世絵からポップカルチャー・現代美術にみる"少女"のかたち

 本書は、同名の展覧会「美少女の美術史」の図録として作られた本です。
 とはいえ、展覧会を見ていなくても、充分に楽しめます(^^) 展覧会を見た人でも、本書の解説を読めば、展覧会の意味が、より、わかりやすくなると思います。

 本書のいわく、「美少女とは、実在しない。観念的な存在である」。
 この意見には、異論のある方も、多いでしょう。けれども、本書をちゃんと読めば、その言わんとしているところが、理解できるはずです。
 私は、「なるほどなあ。そういう考えは、ありだなあ」と思いました。

 本書の解説には、啓発されるところが多いです。
 けれども、御安心下さい。本書は、文章だらけの本ではありません。むしろ、絵のほうが多いです。本来、図録ですからね。
 おかげで、ぱらぱらとめくって、絵を眺めるだけでも、楽しいです。美少女ばかりが載っています(^^)

 扱われているのは、日本の近世から現代までの美少女像です。浮世絵の美人から、明治・大正・昭和の日本画、本の挿絵、漫画、フィギュアなどが、登場しています。鈴木春信の浮世絵も、竹久夢二の美人画も、初音ミクも、綾波レイのフィギュアも、同列に扱われています。

 バリエーション豊かな「美少女」を眺めるうちに、「美少女とは、観念的な存在である」ことが、腑に落ちるかも知れません。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

「美少女の美術史」展 企画者座談会

SECTION 1 楽しんじゃおう!
SECTION 2 アイドル&ヒロイン
SECTION 3 うつくしきもの、それは少女
SECTION 4 少女の一生
SECTION 5 ガールの誕生―少女文化・戦前篇
SECTION 6 ガールの継承―少女文化・戦後篇
SECTION 7 お部屋で/お庭で
SECTION 8 音楽少女
SECTION 9 見立【みたて】の文化とコスチューム・プレイ
SECTION 10 駆けだす少女
SECTION 11 魔法少女と変身願望
SECTION 12 クールビューティー
SECTION 13 観用少女と、見つめ返す少女
SECTION 14 真昼の夢
SECTION 15 祈りと神秘
SECTION 16 乙女の憂い

新作アニメーション《女生徒》

少女をめぐる3つのエッセイ
 川西由里 少女が見る美少女の夢―見る、描く、見せる―
 工藤健志 「少女」をめぐる断想
 村上敬 江戸の室内風俗図から明治の外光派少女風俗画へ―少女洋画史への試み―

掲載作品一覧



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