マレーシアのすこぶるおいしい麺。
今日はおいしいごはんの思い出ばなしをしよう。
マレーシアにイポーという町がある。
首都クアラルンプールから電車で約2時間半。錫鉱山により発展した地方都市で、オールドタウンとよばれる中心地には、東南アジア各地によくみられるショップハウス(店舗併設の住宅)が立ち並んでいる。
大きなビル街なし、公共の鉄道無しの、町はいたってのどかな雰囲気。
じつはイポー、おいしいごはんの宝庫として有名。なぜなら、町の周りを囲むようにそびえたつ石灰岩の山々が雨水を天然ろ過。そのため天然の地下水がとてもきれいで、水の恩恵をうけた名物料理が多数あるなど(ちなみに美肌美人も多い)。
イポーのおすすめごはんは、このCREA記事をご参照あれ。
で、ここで話したいのは、この記事にない麺料理のこと。
万人受けするかビミョーなのでこのときは紹介しなかったけど、ある麺が、わたしは大好きだ。
それは、これ。
平打ちの米麺で「クイティオ kway teow」(*)という。イポーでは「チキンライス」のライス替わりに、この麺を食べる習慣がある。この料理でサーブされるクイティオは、上記の写真のように、具なし、スープなしで、胡麻油ベースの醤油ダレ(&スープちょっと)をあえただけ。それに飾りにネギがちょこっと。
このシンプルを極めた、いわば麺だけ! の料理が、いやもう、すこぶるおいしいのです。
まず、まっ白でツヤツヤの見ために見惚れる。塗り箸で持ち上げるも、つるつる、すべすべのテクスチャーなので、お皿の上に戻ったり、またつかんだり。しばし箸で麺とたわむれる。口に入れると、つるっと舌の上をすべり抜け、かめば、もちっと心地よい弾力。のみこめば、すっと胃になじむ。
このときは、汁なしのドライ(手前)とスープ(右奥)の両方をオーダー。※汁なしといってもスープが足されてますね。
このクイティオの味は、おいしくて、心地いい。麺というより餅っぽい感じもする。麺で大事とされるコシはなく、なじみ深さのあるもっちり感があるから。
もし、今から、マレーシアのどこでも行くことができて、なんでも食べていいよ、と言われたら、わたしはこの麺を選ぶ。
シンプル過ぎるがゆえに忘れられなくて、シンプル過ぎるがゆえにここでしか食べられない味だから。
(*) 麺そのものについて追加情報。
1 アジア各地で食べられている米麺=ライスヌードルは、国によって名前が違う。タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシアでは「クイティオ」や「クェイティアオ」「クイッティオ」、ベトナムは「フォー」となる。
2 マレーシアの「クイティオ」は、この名前のルーツである漢字(もともとは福建語の名前)「粿條」の発音がルーツで、粿はクエ(米を加工したもの)、條はティアオ(ひも状のもの)になる。
3 マレーシアの「クイティオ」は、1センチ程度の幅広のものを炒めものに、8ミリ程度の幅のものを汁ものに使うことが多い。
4 「クイティオ」の英語つづりは、発音表記のため、いろいろある。どうもこのたび Kuetiauに決まったらしい?
#世にもおいしいもの
https://note.com/mioichi/n/n2bbd37042b78/edit
長塚かおりさん(長塚かおり🇲🇾 マルチリンガル教育|マレーシア留学移住)、「おいしいもの」企画のご紹介、ありがとうございました! 在ペナンのかおりさんは、海外教育・留学移住に関して、発見満載のnote執筆者です。
こちらアンカー宣言します~。