「かあちゃんへ」【母の日/母への手紙】
伝えたくても伝えられない想いがある。
オトシネマでは、大切な人に向けて書かれた実際のお手紙を俳優(声優)が代読する「ハートフルボイスレター」を配信しております。
さて、今週末5月8日(日)は「母の日」という事で、今週一週間は、お母様に向けて綴られた心のこもったお手紙を代読する「Mother's Dayボイスレター」をお届けいたします。
「かあちゃんへ」
■お手紙送り主:syohei21様(男性)
■朗読:国海伸彦(俳優)
(※以下Spotifyリンクよりお手紙読み上げ音声のご視聴が可能です)
「かあちゃんへ」
母ちゃんが言うには、俺は難産の末、未熟児としてようやく生まれたそうだ。
生まれた時、勢いよく「オギャー!」となかず、もしかしたら死産するかもとお医者さんを動揺させたという。
母ちゃんの苦労は、それから26年経った今でも絶えることがない。
幼稚園児だった頃の俺は、しょっちゅう風邪をひいた。
38度の熱を出すと、母ちゃんは俺を連れて、当時住んでいたボロアパートから病院に、血相を変えて駆け込んだ。朝7時だろうが、夜9時過ぎだろうが、病院のドアをガンガン叩いた。
看護師さんや小児科の先生は、また来たのと言う感じであきれた顔だったそうだ。その時、母ちゃんは「子どもを守るためなら私は何でもする!」と絶叫したという。
このエピソードを、親父が中学生になって生意気盛りの俺に教えてくれた。恥ずかしくなったね。
おかずがまずいから他の家に生まれた方がいいなんて、母ちゃんに文句ばかり言って反発していた。
母ちゃんの俺に対する愛を思いやる気持ちが全然なかった。
親父はそんな俺を見て、情けなく思ったから話してくれたんだと思う。
とりあえず、母ちゃんに飯のことであれこれ言うことはやめにした。
しかし、成績は悪いし、喧嘩もしたし、女のことで母ちゃんにはまたまた苦労をかけてしまっている。
でも、もう26歳だ。
母ちゃんに依存することから卒業しようと思っている。
そのため、今度の母の日、母ちゃんの大好物カレーライスを、俺が作って一緒に食べることにする。
「ありがとう!」と母ちゃんに腹の底から声を出して言うと思う。
これからは、俺が母ちゃんを守るからね。
バカ息子より。
(おわり)