「お雛様の箱」【父の日/父への手紙】
伝えたくても伝えられない想いがある。
オトシネマでは、大切な人に向けて書かれた実際のお手紙を俳優(声優)が代読する「ハートフルボイスレター」を配信しております。
さて、本日6月19日(日)は「父の日」という事で、今週は、お父様に向けて綴られた心のこもったお手紙を代読する「Father's Dayボイスレター」をお届けいたします。
「お雛様の箱」
■お手紙 送り主:かずちゃん様(女性/千葉県)
■代読:内藤御子(声優)
(※以下Spotifyリンクよりお手紙読み上げ音声のご視聴が可能です)
「お雛様の箱」
お父さん、お母さんと会っておしゃべりしていますか?
飼っていたわんこやにゃんこたちとも再会できたでしょうか?
みんなお父さんより先に旅立ってしまって、少し寂しい月日だったのではないかと思っています。
その寂しさを、今、私も感じていますよ。
私は関西の商家に育ったので、朝から晩まで家族が一緒でした。
お父さんとお母さんの激しい喧嘩も知っていますが、お互いを思いやる優しさもよく理解しています。
私たち家族はよくおしゃべりしましたね。テレビを見ては大笑いをしたり、ニュースを見ては憤ったり、動物の悲しいお話に涙を流したり。
いつも一緒にいたせいで、けっこう同じ話を何度も聞くことになって、お父さんが話し出すと「それ10回目やんか」とつっこんだりしました。
でも、今ではお父さんの話をまた聴きたいなと思っています。
お父さんは話が上手だったのに、今頃残念がっても手遅れですね。
それから、お父さんは字もとても上手だったのを覚えています。
お雛様を毎年飾っていますが、もう68回になりますよ。
お雛様を仕舞ってある箱にはお父さんの字で「お雛様」や「ぼんぼり」などそれぞれに書かれていて、毎年私を笑顔にしてくれます。
どなたかの俳句に「箱書きに 父の筆あと 雛納め」というのがありますが、私と同じ思いで作られたのだと思います。
私もいつか、お父さんにまた会える日が来ることを信じて、笑顔で残りの人生を生きて行こうと思います。
ありがとう、お父さん。
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