「偉大なる母親へ」【母子家庭で育った息子からへ母への手紙】
伝えたくても伝えられない想いがある。
オトシネマでは、大切な人に向けて書かれた実際のお手紙を声優が代読する「ハートフルボイスレター」💌を配信しております。
本日は、とある母子家庭で育った息子様から、お母様へ綴られた感謝のお手紙をご紹介させて頂きます。
「偉大な母親へ」
■お手紙送り主:なりくん様(愛知県/20代男性)
■代読:森川 鉄矢(俳優/ナレーター)
■イラスト:TATASUMIRE
(※以下Spotifyリンクよりお手紙読み上げ音声のご視聴が可能です。)
「偉大な母親へ」
僕の家庭はシングルマザーです。
幼稚園の頃に父親と死別しました。
僕は現在大学3年生になり、就活が始まる時期になりました。
タイトルにある通り、母親の偉大さを身に染みて感じています。
父親と死別してから大学生になるまで、こんなにも立派に育ててくれて感謝しかありません。
ですが、僕は今までしっかりと感謝の言葉を伝えられていませんでした。どこか恥ずかしいし、「いつもありがとう」たったこれだけの言葉が、時が経つにつれて余計重みが増しているような感覚になっていました。
言えずにいればいるほど言葉にできない。
そんな状況がずっと続いていました。
僕は小学生から高校まで野球をしていました。今考えてみると、シングルマザーでお金のかかる野球を続けさせてくれたことがどんなに凄くて、どれほど大変なことなのか痛いくらい分かります。
でも母は、辛い姿は一切見せずに、僕の健康を気遣い、道具を買い、弁当を作り、送り迎えをし、平日は毎日仕事に明け暮れる。
当時は、周りは父も母もいて僕の家よりはお金があって、いい道具や美味しいご飯を食べていましたが、そのころの僕は、「他の家はいいなぁ」なんて思っていました。
今考えると、当時の自分を殴ってやりたいくらいの考えです。
こんなに立派な母親の姿を毎日見ている。
それだけで素晴らしいことなんだなと今では実感しています。
当時の僕は「シングルマザーでも、母親が劣等感を感じないように野球の実力だけは絶対に負けない!」そう思っていました。
小学5年生から毎日、学校から帰ってきたら練習しました。
友達と遊んだ記憶はありません。遊んでいる間に、全国のすごいやつはもっと練習しているそう思うと、勝手に体が動きました。
そして僕はあの子は努力の天才とまで言われるようになりました。
でも僕は努力しているつもりはありません。いつで母の顔が浮かび、絶対に誰にも負けたくないそう強く思っていたからです。
普段は感謝の言葉なんて言えないけれど、野球の結果で絶対に感謝を伝える!そう決めていました。
それが僕の原動力だったからです
そして大学生になり、あと一年で社会人になる時期になってしまいました。
自分が大人になるという自覚が湧くと、母親の偉大さが身に染みて感じるようになりました。
バイトだけでは、生活するだけで精一杯なのに、母は自分の生活と僕の生活、そして野球にかかる費用、それを乗り越えてきたことを考えると涙が出てきました。
僕は男だから将来は一家の大黒柱になります。こんなに偉大な母親の息子だから、絶対に自分の家族を幸せにする為に頑張ろうと、そう心に誓っています。
この先どんなに苦しくても、偉大な母に失礼のないように生きていこうと思います。
普段は言葉にできないけど「今まで育ててくれてありがとう、これからは僕が恩返しするから」生まれて初めて言葉にして伝えようと思います。
いつもありがとう。