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上田久美子さんのメセナ

最近の上田久美子さんの活動が、なかなか興味深いので、ちょっと書いておきます。
くーみんが、noteをしている!と気づいたのは、確か、7月の末くらいかな。とても面白い記事をのせておられたんです。

私の脚本術|上田久美子(Projectumï) (note.com)

なるほど~と感心し、最近見た私の中で「駄作」って思った作品は、まさにこの理論でも崩壊しているなあって感じたり、やっぱくーみん天才!って思いました。

で、他の記事も読もうと思いました。

上田久美子(Projectumï)|note

すると、くーみん「メセナ」を呼び掛けておられたのですね。
何? メセナって?
「メセナ」は芸術文化支援を意味するフランス語で、文化芸術を庇護する人ってことのようです。
つまり昔の宝塚歌劇団は、小林一三メセナだったわけです。
昔なら貴族や金持ち商人がお金をだして文化芸術を庇護していたけれど、これからの日本では企業や金持ちに任せるだけではなく、一市民が気軽に参加出来て、文化芸術の一翼をになう形をとれないかって話です。

なるほど~
面白い~
ということで、私は
「大人の見守りワンコインメセナ」というのに参加してみました。
月500円で、有料記事は別途購入という形の参加ですね。
まあ、熱心に記事をすべて読むというタイプの私ではないので、興味のある記事だけ購入して読めばいいやって感じです。

彼女の宝塚時代の作品は、ほぼ全部好きなくーみんファンの私としましては、活動を応援して見守るしかないでしょうって感じで参加しました。
(ほぼっていうのは、フライングサパは、ちょっとねと思っていたからです。サパの一幕までは好きなんだけど結末がね。なんかね、私の好みと違ったからね)
月額500円で、贔屓を見守っている気分になれるって、なんて幸せ。

ただね、くーみんのやろうとしていることは、前衛的なもので、私には理解しがたい世界なんですよ。

ああ、そのあふれる才能でミュージカル作品を作っては頂けないか?と心の奥底では思いつつ、ちょっと怖いもの見たさでくーみんの言動を見守っているわけです。

今、見ている感じでは、
自分が天才だと気づいていないくーみんが、様々なすごい頭のいい人達やプロフェッショナルな何かを持つ人と出会って、一般的には理解されない前衛的な文化や芸術を、そこいらの市民が「面白い」と感じ喜んでくれる世界を作れないかな~って思って、色々な挑戦をしている。
っていう感じかな~
なかなか、難しい、いばらの道のような気もするのですが……

ま、色々なことにチャレンジする方を、応援するのは楽しい。
でも、城崎でなんか変わったことをなさっている。
よくわからないが、その打ち上げの様子がシラスチャンネルで音声配信されていたので買ってみた。

城崎国際アートセンターレジデンス打ち上げと、語学の天才・平野氏に異言語と方言について聞く(音声配信) | 上田久美子の演劇理想ロン ―マエケナスの古代ローマ的実験室― | シラス (shirasu.io)

うーん、なんだかよくわからなかったな。
まあ、雑談トークだからな。
頭のいい人たちが居酒屋で雑談していて、なぜかそこに混じってしまったおばちゃんが愛想笑いしてうなずきながら聞いてるって感じ。
平野さんのnoteの記事「あんバター」をフランス語、イタリア語、スペイン語風に言ってみたっていうのは、ちょっと面白かったけれど、賢い人の遊びってなんだか、やっぱ、違うねえ~

次に購入したのが、こちら。

上田久美子 聞き手=上田洋子 上田久美子の The 舞台の哲学──すべては宝塚からはじまった? @KU_projectumi @yuvmsk #ゲンロン240821 | ゲンロン完全中継チャンネル | シラス (shirasu.io)

これは、凄かったです。
濃~い内容のかなり面白いチャンネルで、4時間以上あるのに、一気に見てしまえる内容でした。

正直、聞いた日、眠れませんでした。

少し、気持ちも落ち着いたので、触れてみようかなと思って記事にしてみました。

最初に買った雑談トークとは違って、映像であるということでくーみんの表情も見えるし、ゲンロンの上田さんがインタビュアーとして存在したというのは大きいですね。
くーみんは、文章もお話も上手だけれど、それを引き出すインタビュアーの存在があるかないかで、全く違う。

最初は、宝塚時代のお話について、色々な裏話が聴けて楽しかったです。

「星逢一夜」の脚本に行き詰ったくーみんが、オギーにアドバイスを頂いていたなんて、もう、胸アツじゃないですか。
そうかー、そうなのかー。

きゃあきゃあと心の中で叫びながら、宝塚時代の作品についてのお話を聞きました。

その後は、なかなか重い、言いにくい、触れづらい話を、なさいました。
この話にここまで踏み込んでお話をした方は、くーみんが最初ではないでしょうか?
勇気のいる行動だと思うし、くーみんの勇気に喝采を送りたいと思います。

くーみんは、劇団員の自死に大きなショックを受け、過去に宝塚で働いてお給料を貰っていた時期に、そういうことになるまで放置してきたことに対して責任を感じているとおっしゃっていましたね。

まあ、お話は長いので、チャンネルを購入して聞いてみることをお勧めしますが、私の印象に残った話に触れてみます。

その中で、宝塚音楽学校の受験資格を18才~23才に上げることを提案しておられました。
ある程度成熟した大人になってからの集団生活の方が、自分たちの意志で主体的に団結できるのでは、ということです。
なるほど……

精神年齢の低い子供たちを、ヒエラルキーで統率するのに問題があるというくーみんの考えには、めっちゃ同意します。
ただ、年齢を上げるだけで主体的に団結できるのだろうか?
そんな単純な話だろうか? という疑問もあります。
その年頃の個人差って大きいと思うのですよ。
15才でしっかり大人である子もいれば、23才でも幼稚な子はいる。
個人の資質を見極めて、合格者を決めることができればよいのだけど、人間のすることですから、そう簡単ではないですよね。
年齢を上げれば解決できるのかはいささか疑問ではあるけれど、それでもいくらかはましなのかな?とは感じます。

歌劇団がタカラジェンヌのセカンドキャリアに対して、相談できる部門を持つっていうのは良い提案だと思います。
すーさんが宝塚ホテルの支配人になったように、阪急系の企業で働くジェンヌさんがもっといてもいいと思いますよね。
もちろん、ライブネクストもあるのだから、歌劇団が全く何もしていないわけではないと思います。ただ、舞台人として生きていけるOGはそれほど多くないかもしれません。

OGの学歴が低いから就職が難しいという話もあったけれど
中卒ではなく、高卒だから
高卒ではなく、大卒だから
というだけで、良い職につけるわけではないと思うのですよね。
入団してから、中卒ではつぶしがきかないからやめられなかったという悩みがあるのも事実だと思うけれど、それで辞めずにダンサーとして認められるまで頑張ったなら、それはそれで良いことだったのではないかと感じたりもします。
受験年齢を上げたとして、大卒で入団した人が自分に向いていなかったと気づいてすぐに辞めることもあるでしょう。でも、大卒だからすぐに自分に向いている何かを見つけられるのかしら?
学歴にどれだけの威力があるのかしら?
それは、少し疑問にも思いますよね。

タカラジェンヌという何事にでも前向きに努力できる優れた人間を、学歴で排除して採用しない企業があるなら、私はその企業の方に問題があると感じてしまうのですけれどね。

だから、タカラジェンヌの能力の高さを知っている阪急が就職の面倒をみるのは、良いことだろうなって感じますね。
阪急さえ本気になれば、出来そうなのだけれど。
実家が保育園だった舞咲りんさんが保育士になられたように「教える」って行為は、タカラジェンヌに向いていると思うんですよね。
だからさ、阪急が主体となって、タカラジェンヌを先生にした色々な学校とかカルチャーセンター作っちゃったらどうよ?って思います。
あと、私が熱望しているのは、元タカラジェンヌがいる老人ホーム。
シャンシャン持って体操するとかさ、月に一度は観劇会とかさ、そんな老人ホームあったら、絶対入居するんだけど。
金なら、出すで~ 限りはあるけど~

くーみんのお話を聞いていると、小林家メセナであった宝塚歌劇団がおかしくなったのは、業績重視のサラリーマン理事長が就任してからのようです。営業努力をして動員人数を上げたのは良かったけれど、儲かりだすと公演数を増やせば増やしただけ儲かるってことに気づいてしまった。
で、少しづつ公演数が増えて、気づけば超ハードスケジュールに……
くーみん在籍当時に、すでに演出部から公演数が多すぎると正式に意見が出されていた。というのはちょっと驚きでした。
ただ、日本の大企業どこでも同じでしょうけれど、下の意見がどこまで上げられたかがわからないようです。

文化としてのお話も面白かったですね。
関西の文化を豊かにしたい、良い舞台を作りたい、アートとして価値のあるものを見せたいと考えれば、団員の団結力も強くなって良い舞台が作りあげられる。そして、団員はむしろ文化的な意味で良い舞台を作ろうと考えている。団員は金儲けの為にやっているのではない。
だが、そこに売り上げという数字での評価や価値観が入ってしまうと、利害関係がからんで団結力にもほころびが出てしまう。
そんなニュアンスのこともおっしゃっていて、???って思いました。
これってたとえば会チケットの数とか金額の話???
いや、知らんけど……
もしそうなら、会チケットや生徒席に頼らず、友会でもっと当ててくれ!と言いたい。

おばちゃんファンとしては耳に痛い話もありましたよ。
「若くて未熟であることが美しい」という価値観で、初舞台生を「可愛い」と言って愛でていることは、恐ろしくて残酷だと……

私は初舞台生のロケットを「可愛い」といって愛でております。
はい。
厳しい受験を潜り抜け、厳しい音校生活をやりきって、同期生一同で立てる最初で最後の初舞台に向かって必死にお稽古を頑張る初舞台生。
スカステの特集を見てその頑張りに胸が熱くなり、こんな頑張り屋さんを支えたであろうご両親の努力に思いをはせ、こんな可愛い子を産んで育てて下さってありがとうと、見知らぬお母様に感謝して、涙しております。
私と初舞台生に何の関係もないけれど……
それくらい、初舞台生が醸し出すパワーは特別だからです。
でも、そんな風に若い子を「愛でる」のは残酷なのだろうか?

彼女たちのその後の成長を見ながら、成長を愛でるっていうのもやっておりますけれど。ああ、大人になったなあ……って。

それって、変なのかな? わからん。

私にはわからないけれど、そういう見方もあるってことを知れたのは、よかったと思います。

まあ、恐らく
くーみんは、若くて未熟で可愛い所だけを愛でて、熟練の技術が身について大人になった頃に若さがなくなったといって、ポイ捨てするようなことがあれば、恐ろしくで残酷だという意味で言ったのだろうなとは思います。
極端な言い方すれば、子犬のときに可愛いって飼い始めたのに、成犬になったら手に余って保健所に連れていくような感覚?(ちょっと、大げさすぎ?) そりゃ、許せませんわね、こんな感覚!!!

でもね、くーみんにも誤解はありますよ。
少なくとも、私の知る宝塚ファンでそんな目で初舞台生を可愛いと言って愛でている人はいませんね。
彼女たちの成長を見つめ、ご卒業後も見つめています。
確かに、彼女たちの一番美しい宝塚時代を主に愛でる傾向はあります。

でも、それはどんな世界でも同じでしょう。
残酷にも時は流れ「若さ」は刻々と消えているわけです。
アイドルでもスポーツでも「若さ」がもてはやされる世界はいっぱいありますものね。「若さ」だけをもてはやし、そこだけを消費するのは残酷だけど、ある段階で自然消滅的になくなっていくのはもう仕方がないと、私は思います。

最後の方に、会場に来られていた能楽師の安田登さんがちょっとお話されていて、能の世界では90才の現役もいるっておっしゃっていました。
「若さ」が「美」で「老い」が「醜」ではない世界。
死ぬまで現役でいられる世界。
それは素晴らしいことではあると思うけれど、
「老い」が「権威」になっていたら、それはそれで???と思うのですよ。(もちろん能の世界がそうだって言ってるわけではないですよ……)

私は、後輩をそだて「道をゆずる」という美しさに胸が熱くなるタイプなので、タカラジェンヌがキラキラしてご卒業なさる姿が大好きです。
問題点は、彼女たちがその時点でとても若いということ。
だから、セカンドキャリアを相談できる場所は必要だと思います。
でも、私のような平凡な女性であっても、そこそこ幸せな人生を生きてきていると思います。
平凡な幸せっていっぱいありますし、それを手に入れるのはそれほど難しいことではありません。
つまりは、それで満足できるかどうか?
平凡な人生を満足に思うのか?
キラキラした時代に比べて平凡な人生を不満に思うのか?
それは、人さまざまで、生き方も様々なのだと思います。

阪急はジェンヌさんのセカンドキャリアについて、何か考える必要はあると思うけれど、全ての責任を持つ必要もないと思います。

私、阪急も宝塚歌劇団も、色々言われているけれど、現代社会の中では、良心的な良い企業だと思っているんですよね。
サラリーマン理事長だって、けしからんこと言った幹部だって、その人個人が悪人だとはとても思えないんですよね。
話せばわかる、何か見落としていた、何かに気づかなかっただけの平凡な人だと思うんですよね。
企業が成り立つためには利益を上げなくてはいけないし、自分がいる時期にそれを下げたくないっていうのは本当によくわかります。
利益を追求して働いている人が「数字」を意識することを責めることなどできないと思います。

もう、小林家メセナでないのだから、赤字を垂れ流すなんてことはできません。ブレーブスのように消滅したら、私、泣く!
でも、ほどほどの利益が満足することはできるはず。
収益のことは事務方が考えて、ジェンヌさんたちは芸の道に精進することのできる歌劇団になって欲しいなあって感じます。

長くなりました。

くーみん、本当に良いお話をしておられました。
全部に共感できるわけではないけれど、16年働き、あれだけの作品を作り、愛着をもって、持続可能な宝塚であって欲しいと願うくーみんの気持ちはとってもよく分かりました。
やっぱりくーみんのことが好きだなって思いました。

でもさ、それならさ、くーみん。
前衛的な実験するより、桜嵐記をしのぐ和風オリジナルミュージカルなんかを作ってほしいなあ~と思うんだよね。
実力のあるOGさんが多数世に放たれているわけじゃないですか。
くーみんの作る号泣もの和風オリジナルミュージカルなら、輸入ミュージカルになんかに絶対負けないと思うんだよな~
すごい動員力あると思うのよ。
くーみん、ジェンヌさんの卒業後の人生を心配なさっていたのだけれどさ「くーみんカンパニー」を作って、OGさんで公演したらどうなのよって思うわけ。それこそ、資金はメセナで。
絶対に集まると思うのだけど……

くーみんの、作品を待っている宝塚ファンはとても多いですよ。

ちなみにシラスチャンネルの今後の放送予定は凄いです。
まあ様やのぞ様ご出演の回もあるという豪華版。
脚本のお話なんかも聞きたいですよねえ。

しばいばなしvol.1 「翼ある人びと」脚本講座 | 上田久美子の演劇理想ロン ―マエケナスの古代ローマ的実験室― | シラス (shirasu.io)

しばいばなしvol.1 「翼ある人びと」ゲストトーク【朝夏まなと】 | 上田久美子の演劇理想ロン ―マエケナスの古代ローマ的実験室― | シラス (shirasu.io)

しばいばなしvol.2 「星逢一夜」脚本講座 | 上田久美子の演劇理想ロン ―マエケナスの古代ローマ的実験室― | シラス (shirasu.io)

しばいばなしvol.2 「星逢一夜」ゲストトーク【望海風斗】 | 上田久美子の演劇理想ロン ―マエケナスの古代ローマ的実験室― | シラス (shirasu.io)

私は、くーみんのこれからの活動を見守っていきたいと思います。
頑張れ!





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