004しおん✖️おとねぇ『家族になりたい』

【おとねぇ】
20代女性。去年10月にヴァンパイアになった。スタエフのヴァンパイア事情を記録してる。

【ブラッドリー・アスター卿】…
ヴァンパイア の始祖。『家族』に固執してる。

〜.*・゚ .゚・*..*・゚ .゚・*..*・゚ .゚・*..*・゚〜

夜の公園、大きな樹の下で泣く女がいる。

(風の吹く音、枯葉の音、梟の鳴き声)

【おとねぇ】
「(泣いてる)…っふく、ひっく…」 

【ブラッドリー・アスター卿】
「見つけた。また泣いてるのか?おと…」

【おとねぇ】
「あ、…アスターさん…。また見つかっちゃた…」

【ブラッドリー・アスター卿】
「お前はたまにひとりで泣いているな…。ひとりきりになるな。どこにヴァンパイアハンターがいるかわからないんだぞ?」

【おとねぇ】
「すみませんアスターさん…。でも、何かの拍子に思い出すんです…。家族のこと…」

【ブラッドリー・アスター卿】
「…家族?」

【おとねぇ】
「思い出すと、どうしても(グスッ)……寂しくて」

【ブラッドリー・アスター卿】
「…お前は、家族より物語を作ることを選んだような娘だ。家族を大切にしてたのか?…」

【おとねぇ】
「…誤解ですよ!私、家族のこと大好きでしたよ!
1年前にあんな事故に遭わなければ、今もみんな仲良く暮らしてた!
…私ひとり、ヴァンパイアになって生き残って…たまにふと、たまらなく寂しくて、この世にひとりぼっちになった気分になります…」

【ブラッドリー・アスター卿】
「そうか…家族が恋しくて、泣いてるとは思わなんだ…。ヴァンパイアとは孤独だ。永遠の時を生きていく者には、ある意味、孤独は病いのようなものだ。
我らは一生、永遠に、孤独と付き合っていかねばならない…」

【おとねぇ】
「私…、永遠にひとりなんて、たえられません!……ねぇ、アスターさん?」

【ブラッドリー・アスター卿】
「ん?なんだ?」

【おとねぇ】
「アスターさん、お願いします!
どうか、私を…、
あなたの家族にしてください…!」

【ブラッドリー・アスター卿】
「か、ぞく…」

【おとねぇ】
「はい、なんでもします。どうか…あなたの家族にしてください…!」

【ブラッドリー・アスター卿】
「いいのか?」

【おとねぇ】
「はい!ひとりは、嫌なんです…っ!」

【ブラッドリー・アスター卿】
「…ふふふ、ふははははっ!
…なんでもすると言ったな?
なら、その言葉通り、言うことをきいてもらおうか?」

(樹に押し付ける音、枯葉が舞う音)

(壁ドンするアスター)

【おとねぇ】
「…!…あ、アスターさん!?」

【ブラッドリー・アスター卿】
「(耳元でささやく感じで)おと、お前を家族として迎え入れる代わりに、今からお前の血をギリギリになるまで味わわせてもらう。その服、汚すぞ?いいな」

【おとねぇ】
「アスターさんっ!?あっ」

【ブラッドリー・アスター卿】
(首筋にキスする音)

【ブラッドリー・アスター卿】
「家族になりたいなら、耐えることだな。(くあっ)」

(噛み付く音)

【ブラッドリー・アスター卿】
「んっ…んっ…んっ(吸血音)」

【おとねぇ】
「んっ!!…ん…。あ、や…アスター…さん…っ!んっ」

【ブラッドリー・アスター卿】
「んっ…んっ…んっ(吸血音)」

【おとねぇ】
「ん…、お願い…しま…す。私を…っ、家族にして…、…ひゃっ、んあ!」

【おとねぇ】
(なおも痛みに呻く…)

【ブラッドリー・アスター卿】
(家族になることを欲する若い女…。我輩は、それを受け入れ、その血の温かさを口蓋に溢れんばかりに感じ取る…。
愛がなんだ?愛なんてものは、我輩にはわからない。
ただ、彼女の熱を飲み下す、この悦…。
この悦は何にも勝る、真実なのではなかろうか…?)

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