010完結【ヴァンパイアバディー】
【おとねぇ】
20代女性。去年10月にヴァンパイアになった。スタエフのヴァンパイア事情を記録してる。
【ブラッドリー・アスター卿】…
ヴァンパイア の始祖。『家族』に固執してる。
【ヴィゴ】
男性。ヴァンパイアハンターの家系。スウェーデン出身。黒コートにテンガロンハットの長身イケメン。斜に構えてるが情に熱い。(イメージはギルティギアのソル・バッドガイ)
【シーグリッド】…
ショートヘアのボーイッシュな少女。ヴァンパイアハンターなりたて。単純思考回路。小動物系。
【さわろう】
ヴァンパイアの男性。
社交的で人間とも友達になる。
【璃斗】
さわろうの人間友達。
〜.*・゚ .゚・*..*・゚ .゚・*..*・゚ .゚・*..*・゚〜
(足音)
【ヴィゴ】
「10月31日…!ついにこの日が来た…!
今までスタエフのヴァンパイアを見張っていたが、たしかに合意の上で血を吸うヴァンパイアがほとんどだったのは事実だ。
スタエフのヴァンパイアに関しては、害がないと放置しても良い…!
だが、しかし!
俺は俺の一族の復讐を果たす!!
ブラッドリー・アスター…!
奴だけは放置出来ない…!!
…シーグリッド」
【シーグリッド】
「はい!お師匠様✨
言われた通り、丘の上に十字架を立てて、銀の鎖でおとねぇを縛って捕らえてあるよ。
あれやると、ヴァンパイアは5時間近くかけて、じわじわ銀の鎖で苦しんで死んじゃうんだよね。
おとねぇを始末するの?」
【ヴィゴ】
「情でも移ったか?シーグリッド。
あの女は囮だ。ブラッドリー・アスターを引きずり出すためのな」
【おとねぇ】
「…っ!銀の鎖…!うぅっ…!
ん…、痛い…っ!ん…!んんっ
んああぁあ!!」
(木陰)
【ブラッドリー・アスター卿】
「おと…!なんと惨たらしい!
ヴァンパイアハンターめ、残忍な!!
さわろう、計画通りに頼む」
【さわろう】
「ああ、わかった!アスター卿!!」
(アスター堂々と空を飛んで登場。ヴァンパイアハンターに対峙する)
【ヴィゴ】
「…来たか。ブラッドリー・アスター!!」
【ブラッドリー・アスター卿】
「ああ、ハンターの小僧。
おとを返してもらおう」
【ヴィゴ】
「させるか!ブラッドリー・アスター!
ここをお前の墓場にしてやる!!」
(銀の弾丸を複数回撃つ音)
(場面転換)
【さわろう】
「アスター卿がハンターと闘ってる間に、俺はおとねぇの縛られてる十字架に近づいて…って、おわっ!?」
(銀の鎖が飛んでくる)
【シーグリッド】
「待ってたよ…!
ヴァンパイアのお兄さん!
十字架の裏に隠れてたのに気付かなかったんだね!
二手に分かれて襲ってくるのは、お師匠様が想定済みだよ!」
(鎖を振り回す音)
【さわろう】
「おっと!あぶね!
お嬢ちゃん!おっかねー!
………けど、俺たちが2人だと思い込んでないかい?」
【シーグリッド】
「!?ななななっ!?もう1人!?」
【璃斗】
「全く、突然呼び付けられて…こんな事…!
さわろうさんは人使いが荒いな」
【さわろう】
「さんきゅ!」
【シーグリッド】
「あっ!!待て!!」
(鎖を引きずる音)
(ざっと立ち塞がる足音)
【さわろう】
「おっと、お嬢ちゃんの相手はこっちだっての!!」
【シーグリッド】
「…っ!まぁ、ヴァンパイアにあの十字架に絡ませた銀の鎖が、簡単に解ける(ほどける)わけないから!!」
【さわろう】
「それはどうかな?
誰が3人目もヴァンパイアって言ったんだ?」
【シーグリッド】
「え!?ちょ、ちょっとまさかぁ!?」
(十字架の銀の鎖を解く)
【おとねぇ】
「っ!はぁはぁはぁ、
あ、銀の鎖が解けた(ほどけた)!?
ありがとうございます
…あなたは?」
【璃斗】
「璃斗、人間です。
友達のヴァンパイア、さわろうさんに頼まれました」
【シーグリッド】
「うわあ!?囮のおとねぇがっ!?
お、お師匠様〜〜!!💦」
(場面転換)
(銀製の弾丸を数回、撃つ)
【ヴィゴ】
「ちくしょう!!
本当に、スタエフ界隈のヴァンパイア共は、人間様と仲良しだな!!」
【ブラッドリー・アスター卿】
「ふふふ、はははははっ!!!
これで形成逆転だ
ハンターのヴィゴよ!!
無駄な足掻きをするな…!!!!」
【ヴィゴ】
「この野郎…
血の飲み過ぎで酔っ払ってるのか?
下品な高笑いがお似合いだぜ!!」
【ブラッドリー・アスター卿】
「ふん、小童が、
…ひとつ、いいことを教えてやろう…。
今まで、お前の一族に追っ手を放ってきたのは、我輩ではない」
【ヴィゴ】
「なっ!?」
【ブラッドリー・アスター卿】
「我輩はそんな面倒なことはしない。
存在を知られたからと言って、追っ手を放って始末しようなど、更に存在を知らせるだけではないか。
追っ手を放ってるのは600年以上生きるヴァンパイアの真祖、ドラキュラ伯爵だ」
【ヴィゴ】
「なっ、……まさか!?」
【ブラッドリー・アスター卿】
「お前の先祖のことは覚えている。
我輩はただの小物だから捨ておけと言ったさ。
だが、ドラキュラ伯爵は『貴公は実に甘い。人間の小童が噂を広め、村人総出で襲ってくるという可能性が、僅かだがあるのだ。捨ておく訳にはいかん』と…。
だが、時は19世紀。
人間の間でヴァンパイアや悪魔と言われても、狂気にふれた者としか扱われない時代だったがな」
【ヴィゴ】
「…復讐の相手は…お前じゃない…?
まさか…!?
…これで、お前を倒せば…!
俺の一族が助かると…!!
…そう思ってたのに…!!
……ちくしょうっ!!!!!!」
(武器を下ろす音)
【ブラッドリー・アスター卿】
「残念だったな…ハンターのヴィゴよ。
お前の一族の苦しみは、我輩ではどうにも出来ん」
(駆け寄る足音)
【シーグリッド】
「お師匠様!大丈夫?」
【ヴィゴ】
「すまん…シーグリッド…。
あいつは俺の宿敵じゃなかったらしい。
意気込んで退治しに来た割に、間違いだったとは…、
悪いな、こんなカッコ悪いとこ見せて…」
【シーグリッド】
「ううん、いつだってアタシのお師匠様のヴィゴは、世界一かっこいいヴァンパイアハンターだよ!!」
【ヴィゴ】
「シーグリッド…」
(アスターに駆け寄るおとねぇ)
【おとねぇ】
「アスターさん!ありがとうっ!!
…さわろうさんに、璃斗くんも、助けてくださり、ありがとうございます!」
【ブラッドリー・アスター卿】
「おと…意外に元気そうでよかった。
拷問されてなかったのか?」
【おと】
「拷問?あ、袋詰めは根気のない私にとって拷問みたいでしたよ!」
【さわろう】
「袋詰め?」
【ブラッドリー・アスター卿】
「ハンターのヴィゴよ…。
これを最後に、スタエフのヴァンパイアには関わるな。
我輩の家族…、我輩が増やしたスタエフのヴァンパイアに手を出そうとするのなら、次こそは容赦せん。
徹底的に滅ぼしてやる」
【シーグリッド】
「なにさ!お師匠様に喧嘩売る気?
お師匠様は負けないよ!!!」
【ブラッドリー・アスター卿】
「小娘、これは喧嘩ではない。
…交渉だ。
我輩はこれでも、自分の家族を守りたいんでな」
【ヴィゴ】
「ああ…、家族か。
俺もこれから出来る家族も、今の家族も、守っていかなきゃならない。
ドラキュラ伯爵を倒すのは、骨が折れそうだが、家族を守るために闘っていく…!
じゃあな、ヴァンパイア共…!!」
【シーグリッド】
「あ、じゃあまたね!おとねぇ✨」
【おとねぇ】
「またねー、シーグリッドちゃん」
(去るハンターたち)
【ブラッドリー・アスター卿】
「帰るか、皆。
我が館で、妻が皆の無事を祈ってる」
【おとねぇ】
「はい」
END