しおん✖️カナモノ【ヴァンパイアパーティー】
少年「ヴァンパイアさん。僕、病気なんだ」
ヴァンパイア「病気か…なら、人間の病院で治してもらえばいい」
少年「ううん、治らないの」
ヴァンパイア「治らない?」
少年「僕の病気は治療法がないんだって。大きくなればなるほど、身体の細胞が壊れていくんだって…そう、先生言ってた。18歳くらいになったら、僕もう、この世から居なくなっちゃうんだっ!!」
ヴァンパイア「おやおや…泣くな坊主…」
少年「ヴァンパイアさんっ!お願い!僕をヴァンパイアにしてよ!」
ヴァンパイア「…そうだな、お前が…」
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青年(あの時、あの人はなんて言ってたんだろう…
懐かしい夢を見ていた。小さい頃俺は、自分がヴァンパイアだという男性によくなついていた。
あの頃はまだ身体が動いていて、よかったなぁ。
今は病室のベッドに寝たきりで、今日も身体に力が入らない。医師と看護師が診察に来る。自分は、喋る事も最近は困難になり、二言三言しか、言葉を紡げない。
明日は俺の18歳の誕生日だ。ここまで生きてきた…だが、明日は呪いの日だ。命がいつ消えるかわからない状況で、誕生日なんか祝えない。
その日の夜とうとう呼吸にまで支障が出始めた。)
青年「はあはあはあはあ…!」
青年(俺は必死で、手元に置かれたナースコールを押そうとしたが、間違えて遠くに飛ばしてしまい、どこにあるかわからなくなった…)
青年「やば…っ」
青年(今まで辛い人生だった。このまま苦しみから解放されるなら、それはそれで…
…いや、そんな終わりは…)
青年「……嫌だ…、………死にたくない…!!…助け…て」
ヴァンパイア「ああ、助けるとも、我が輩がな」
青年「…あ」
ヴァンパイア「待たせたな。遅くなってすまない」
青年(あの時の…ヴァンパイア…)
ヴァンパイア「坊主とした約束を果たしにこの街に戻って来たぞ。あの頃のお前は小さすぎて、仲間には出来なかった。だが、今夜、あの日の約束を果たそう」
青年「はあはあ」
ヴァンパイア「坊主、ヴァンパイアになって我が輩と共に、生きよ。さすれば、お前の病気は治り、我が輩と永遠に生きてられるぞ?
さあ、言え!坊主。ヴァンパイアになりたいと!」
青年「…はあはあ、はぁ…っ、頼む…、ヴァンパイアにして…くれ!」
ヴァンパイア「よく言った!」
ヴァンパイア(ガブ)
青年「っっあああっ」
ヴァンパイア(ごくごく)
青年「……っ!」
ヴァンパイア「ごちそうさま。とても良い味わいだった。…お前の命がある内に間に合って、よかったぞ」
青年「はあはあ」
ヴァンパイア「お前は数日眠ったのちに、ヴァンパイアとなる…。そしたら、病に怯える必要もなくなる」
青年「…ありがとう」
ヴァンパイア「坊主、お疲れ様ゆっくり眠れ。それとハッピーバースデー。18歳の誕生日おめでとう」