八仙花✖️朗読あん【ヴァンパイアバディー】

【璃斗】
「ごく…ごく…、ん…(吸血)」

【ヒュド】
「ん…」

【璃斗】
「っは、はぁはぁ…ヒュド、毎回血をありがとう」

【ヒュド】
「ああ、璃斗。体調は大丈夫か?」

【璃斗】
「うん、大丈夫だよ。次はヒュド、君が僕の血を飲んで」

【ヒュド】
「…(ごくり)…、………っ、いや、今はよそう」

【璃斗】
「え…?なんで?」

【ヒュド】
「いいから璃斗…。今日はもう遅い。
お前は寝ておけ。」

【璃斗】
「うん…わかったよ」

【璃斗】(モノローグ)
ヒュドはあまり多くを語らないヴァンパイアだ。
ヴァンパイア同士でバディーを組んでから、1年近くの時が経つ…。
ヒュドは少し年上の、妖しくて美しい、誰が見ても魅力的なヴァンパイア。
僕は…成人してるけど、体の線が細く、少し病弱なヴァンパイア。
そして最近、なぜかヒュドに血を吸ってもらえない。
それが、自分にはもう興味がなくなってしまったのではないかと、思ってしまいそうになる。

(璃斗が歩いてると、向こうからヒュドの笑い声がする)

【ヒュド】
「ああ、ふふっ」

【璃斗】
「ヒュド!どうしたの?」

【璃斗】
僕がヒュドの近くに走り寄ると、そこには髪の長い女性が居た。

【おとねぇ】
「ふふふっ…って、あら?こちらは?」

【ヒュド】
「ああ、こいつが俺のバディーの璃斗」

【おとねぇ】
「へえ✨あなたがヒュドの相棒の璃斗君か✨可愛いね!」

【璃斗】
「あ、あなたは?」

【ヒュド】
「こっちは昔馴染みのヴァンパイア仲間だよ」

【おとねぇ】
「あらあら、なあに?その言い草は?」

【ヒュド】
「だってなぁ」

【璃斗】(モノローグ)
僕の心はざわめいた。
僕のヒュドが見知らぬ女性と仲良く笑い合ってる!
居てもたっても居られず、僕はその場から走って逃げ出した。

【ヒュド】
「!…ちょっと!!璃斗!!待て!!」

(走る音)
(追いかけて璃斗を捕まえるヒュド)

【ヒュド】
「はぁはぁ、璃斗!どうしたんだ?」

【璃斗】
「ヒュド…。ヒュドにとって僕は…何?」

【ヒュド】
「?
俺たちはバディーだろ?」

【璃斗】
「バディーなんかじゃない!!」

【ヒュド】
「…!?璃斗!?」

【璃斗】
「今日で終わりだ!
今日で僕とヒュドのバディーは、解散する!!」

【ヒュド】
「なんだと!?」

【璃斗】
「ああ、これきりだ!離れた方がいい!!」

【ヒュド】
「わけを言え!!璃斗!!
なんでバディーを解散するんだ!?」

【璃斗】
「最近、血を吸ってくれないじゃないか!!」

【ヒュド】
「!?
それは…っ」

【璃斗】
「最初は頼もしいヴァンパイアをバディーに出来てよかったと、ただそれだけだった。
僕は体が弱いから…!
けど、ヒュドが、…ヒュドがすごく良い奴で、面倒いっぱい見てくれて…!
一緒に居る内に大事な相棒になって…。
離れることなんて考えられない存在になってきた…!
存在が、空気感が、血の残り香が…、何気ない全てが愛おしくて…。
そして、他の奴と仲良くしてるのが、許せないくらいで…っ!」

【ヒュド】
「オイ、璃斗…!」

【璃斗】
「…こんなにヒュドに執着してる自分が、信じられないくらい醜くて…。
こんな関係はイケナイ…、
今すぐバディーを解散して…っ!
僕から離れてほしい!!
…僕を、こんな醜い感情から、解放させてくれ…っ!」

【ヒュド】
「オイコラ!!璃斗っ!!」

(ヒュドはドン!と璃斗を壁に追い詰めて責め立てる)

【ヒュド】
「漓斗…お前は血を吸われた後、毎回とても具合が悪くなる…だから俺は最近、璃斗の血を吸うのを我慢していただけだ…!!」

【璃斗】
「そうなの…?…でも!僕は…!!
それでも…僕は吸って欲しかった!!
ヒュドに吸われてる間は、ヒュドに必要とされてる気がして、苦しいけど、幸せだった!…だから!!」

【ヒュド】
「…なら、
俺がどれだけお前を愛しているか刻み付けてやる」

【璃斗】
「ん!?ヒュド!?んん!」

【ヒュド】
「ちゅっ(首筋にキス)
れろっ(麻痺効果のある痛み緩和の唾液をつける)
くわっ!!(がぶり)」

【璃斗】
「んん!はぁはぁ、はぁはぁ、はぁはぁ!」

(これ以上の吸血シーンは割愛)

【ヒュド】
「璃斗…大丈夫か?」

【璃斗】
「…うん…、よくなってきたよ。
治るまで膝枕してくれてありがとう…」

【ヒュド】
「さっきは手荒くして悪かった」

【璃斗】
「こっちこそごめん…。ヒュドが綺麗な女性と仲良くしてたから、僕が勝手に嫉妬しちゃって…」

【ヒュド】
「…ああ、あれか…。ちょっと待ってろ」

(カバンを開けて中から何かを取り出す)

【ヒュド】
「あいつには、これを頼んでた」

【璃斗】
「え?これ何?…指輪?」

【ヒュド】
「お前とバディー組んで、今日で1年の祝いの日だから、2個。
お揃いの指輪を、あいつに見繕ってもらってた」

【璃斗】
「え、ええ〜!?そんなことしてくれてたの?」

【ヒュド】
「けど、バディーを解散されそうになったしな〜。璃斗はこういうプレゼントなんて、いらないか〜ぁ?」

【璃斗】
「い、いります!ほしいです!!
ヒュド!お願いだから、ちょうだい!!」

【ヒュド】
「ふふ!元気になって、良かった。
…これからもよろしくな。相棒!」

【璃斗】
「うん!!これからもよろしくね!
…ヒュド✨」


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