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相棒のラジオと、生活について/三嶋さつき【連載エッセイ「わたしとラジオと」】

インフルエンサーや作家、漫画家などさまざまなジャンルで活躍するクリエイターに、ラジオの思い出や印象的なエピソードをしたためてもらうこの企画。今回は、イラストレーター・三嶋さつきさんにラジオのある生活を描いていただきました。

カーテンを全部開けて、朝の光をたっぷりと部屋中に取り入れる。窓を開けて空気を吸い込む。会社員時代に奮発して買った、お気に入りの本棚に置いた古いラジオの電源をまわして入れる。だいたい流れてくるのは、いつもの朝のパーソナリティ伊集院光とさんとアシスタントさんの掛け合い。休日の場合は漫才の出囃子の音や、安心感のあるアナウンサーさんの声。ラジオに耳を傾けながら、おなかを空かせた犬にご飯をあげる。これが毎朝のこと。

関東に住んで4年、わたしの部屋ではなぜだかAM954(TBSラジオ)の周波数しか入りません。本当に。3年間住んだ東京の部屋も、今住んでいる鎌倉の部屋でも。本当の本当に。
描く仕事をしながらでもなんとなく世の中のことを知ることができるので、BGMのように流すようになり、自然と生活の一部になっていきました。

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大学時代名古屋に住んでいた頃に、友達が連れて行ってくれたリサイクルショップで見つけた、40年もののSONYのラジオは、少しくぐもったいい音を流し続けてくれています。今はradikoがあるけれど、基本的にわたしはこのラジオで流すことが多いです。この人は、音量を「3」のところくらいまで回さないと何も聴こえなかったり、日によって電波の入りが異様に悪いことがあったりします。そういう偏屈で困ったところも好きだったりするのです。

家のことをするときも、作業部屋で仕事をするときも、散歩に出かけるときにつけるイヤフォンからさえも、基本的に何かしらの番組が流れています。中でもよく聴くのは『伊集院光とらじおと』や『ジェーン・スーの生活は踊る』、『安住紳一郎の日曜天国』など。流し聞きしていることが多いけれど、耳を傾けた時に流れてきた会話が、ふとためになるものであったり、クスッと笑えたり。その時だけの、「一期一会」のような感覚になる面白さもある気がしています。

夜、11時には布団に入ってしまうので、わたしがラジオに接するのは基本的に日中が多く、特に午前中流しながら生活のリズムをとっているような感じがします。
もちろん深夜ラジオも好きで、気が向いたときにradikoのタイムフリーで聴いているのですが、1つだけ毎週欠かさず聴いている番組があります。それが『東京ポッド許可局』。全く肩肘張らずに、高くも低くもないテンションで、でもどことなく楽しそうにおしゃべりをしている温度感が、わたしにはちょうどいいみたいです。まるで喫茶店や居酒屋で、隣の席にいるおじさんたちの談話に耳を傾けているような。日常に溶け込みすぎていて、番組内で話していたことをなんとなく生活の中に取り入れてしまっている自分がいます。紹介されたコンビニのコーヒーを手に取ってみたり、お店に行ってみたり。

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今日も、3人のおじさまたちのゆるやかな会話を盗み聞きしながら(ふふっと笑ってしまう)、パレットに絵の具を出していることでしょう。そして、今とっても「おかしのまちおか」に行きたい。


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三嶋さつき/イラストレーター。1992年5月生まれ。和歌山県出身、鎌倉市在住。2018年愛知県立芸術大学デザイン専攻卒業。パッケージやCDジャケット、雑誌などさまざまな媒体にイラストレーションを提供するほか、作品の展示発表も行なっている。現在は鎌倉と和歌山の二拠点で創作活動をしている。


llustration:stomachache Edit:中前結花 ツドイ
(こちらはTBSラジオ「オトビヨリ」にて2022年1月21日に公開した記事です)