カラスヤサボウ:セルフライナーノーツ / 架空の上映室

架空の上映室_ジャケット

セルフライナーノーツ / 架空の上映室

 烏屋茶房はここでスタートラインに立った。このアルバムについて自分が感じている感想です。

 文学少女インセインや"goodnight,wonderend"はある種、思想や義務感に取り憑かれたアルバムだったように思います。自分の信じる音楽、正義というような少し青臭いもの、そこから発される熱、そのようなものに当てられていたように感じます。

 すると自分に何が起こったか、端的にいうとしんどくなってしまったのです。楽曲を作ろうとする度にこれでは駄目だあれでは駄目だ、こう作らないと昔自分が言ったことを反故にしてしまう。色々な感情や状況にがんじがらめになり、半ば自暴自棄になっていました。

 そんな時、一枚のアルバムを聞きました。それは高校時代ずっと聞いていたバンドのメジャーデビューのミニアルバムで、(ピンク色の紙ジャケットでした。どのバンドのどのCDかわかった人がいたらニヤリとしてください。)そのアルバムを聞いた時、"こういう曲が作りたい"と、ふと思いました。

 そのまま勢いで作り上げた楽曲が"共犯者"でした。この楽曲は、過去に感じていたような肩に力が入った感覚がなく、なおかつ、自分が聞いていて心地よいし、"久々に素直に曲が作れた"と感じました。
 その感覚を忘れないように作った楽曲がこのアルバムには詰まっていて、自分は今までの自分のアルバムの中で一番よいものを作れたと感じています。

 迷走を続けたカラスヤが烏屋茶房としての着地点、再出発点を見つけたアルバム、それが架空の上映室なのかなと思います。

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