Encounterとのエンカウンター
「Encounter」
こう題されたバンドの存在は、バンドのリーダーの一人、堀秀彰さんを通じて最初に知ることとなった。
ソロ、デュオ、トリオ、と、様々な形でリーダーとして音楽を創っている堀さんだが、その中でも「エンカウンター」には何か特別な位置づけを感じていた。
特別だからこそ、何となく簡単には手を出せないような気がして、存在を知ってから実際に聴きに行くまで、良いタイミングが来るまで月日が過ぎていった。
そして、ようやくその音を生で聴く日がやってきた。
どうせここまで待ったのなら、このバンドのルーツの一つとも言えるお店で聴いてみたい。そう思い、柏ナーディスに足を運んだ。
後に何度も経験することになるが、このバンドは一曲目から体内に飛び込んで来て、不意をつかれた心臓が高鳴り、まるでライブ終盤かのような高揚感に包まれる。激しさ、繊細さ、優しさ、明るさを、4人それぞれの技と情熱と共に自在に表現していく。
この日も例に漏れず、「一歩、一歩深みみはまっていきたい」と感想を残した。その後しっかりとその言葉の通り、一年、また一年と、その世界の深みにはまっている。
その大きな理由は、ダブル・リーダーの浜崎さん、堀さんをはじめとした4人のオリジナル曲の魅力だろう。
題名も曲調も、速さと鋭さが込められた、尖った曲。
そうかと思えば、
静寂の中に芯の強さが潜む、意志のある曲。
そして、お互いの曲の世界を最大限表現したい、そんな思いが伝わって来る4人の演奏。
この様子は、これまでに作成されたアルバムの音色や綴られている言葉からも伝わって来る。
例えば、Puzzle Ring。
この変拍子調で独特な躍動感ある曲が気になり、結成初期の頃のアルバム、「Encounter」を手にした。すると、この曲の題名は、ナーディスに置かれている千恵の輪をイメージしてつけたという。
そう言えば、私が初めてナーディスを訪れ時も、はい、とマスターに知恵の輪を突然渡されたことが印象に残っていた。このお店に訪れてきた沢山のミュージシャンやお客さまが手にしてきた知恵の輪が、今度はこの旋律に乗って音から人へと伝わって行く。
この曲がアルバムに収められた時は2008年。
早送りすること15年、知恵の輪のように複雑に絡み合う世界の中で、私たちはその絡みから解き放たれる日が来るのか。それともす絡み合っていることを選んでいくのか。
なんだか他人事と思えない曲。そしてやっぱり深みにはまって行く、はまっていきたい、Encounter。
一緒にEncounterとのエンカウンター (出会い)、していきませんか?
Wataru Hamasaki: Tenor & Soprano Sax, Flute
Hideaki Hori: Piano
Hiroshi Takase: Bass
Junji Hirose: Drums