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今回は「駅舎」の吸音仕上げ事例を紹介します。列車の往来の騒々しさの低減とアナウンス音声の明瞭性(聞き取りやすさ)の向上に吸音が役立ちます。

実際に訪れてみた

 吸音オタクの私は、出張で全国あちこちに行く道すがら、「こっ、これは吸音仕上げだ!」 と見つけるたびに写真を撮ってきました。吸音仕上げされている駅は、やはりアナウンスが 聞き取りやすいです。

 まずは大阪メトロ御堂筋線の淀屋橋駅。照明器具の形がレトロでおしゃれです。 天井に近づくと孔あき板を使った吸音仕上げになっているのが分かります。

御堂筋線 淀屋橋駅(2022年以前撮影)

 次も大阪メトロ御堂筋線の心斎橋駅。こっちの照明器具のデザインもいいですね。 こちらの天井も吸音仕上げです。

大阪メトロ御堂筋線 心斎橋駅(2022年以前撮影、2023年に改修)

 3事例目は名古屋市営地下鉄鶴舞線の上前津駅。孔あき加工したスパンドレルは結構珍しい材料かもしれません。

名古屋市営地下鉄鶴舞線 上前津駅(2022年以前撮影)

 最後は東京メトロ東西線の西船橋駅。地上駅ですが孔あきパネルの仕上げになっていました。

東京メトロ東西線 西船橋駅(2022年以前撮影)


 駅の場合、第三者災害防止の観点から、漏水などで濡れると落下の可能性があるロックウール化粧吸音板は使いにくいと聞いたことがあります。そのせいか、今回掲載した写真はいずれもロックウール化粧吸音板以外の材料で吸音仕上げとなっていました。半屋外空間など濡れる可能性のある箇所の吸音仕上げのヒントになりそうです。

安全性確保にも

 停電で暗くなったり、火災の煙で見通しが悪くなった時は、音声案内がとても重要です。吸音仕上げによる明瞭性の確保は、安全性の確保にもつながる重要な建築要素だと思います。

 このように、音環境に配慮された空間が増えていくといいですね。

※ 駅舎改修により、ご紹介した事例の一部は天井が改修されています。


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