バイオフィリックと音環境
少し前から「バイオフィリック」や「バイオフィリック・デザイン」という言葉を耳にするようになりました。”人は自然に接することで幸せを感じるようにできている”という考えから生まれたもので、建築設計においても本物の自然や自然を感じられる要素を空間に取り入れる事例が増えてきました。
「バイオフィリック」は音環境にもよい効果があるのでしょうか?
良い音環境を作るポイントの1つに「室内に適度な吸音を取り入れる」ことがあります。バイオフィリックな材料には吸音性能があるでしょうか?
まず、木の枝や葉など植物そのものは、残念ながら吸音性能はほとんど期待できません。一方、植物を植える「植生基盤」や「土・砂利」には吸音性能を持つものがあると知られています(出典-1)。吸音材として植物を用いたい場合には、基盤とセットで効果的に利用するとよいですね。
海外では、「バイオフィリックな」吸音材も複数販売されており、リアルな自然素材が使用されていない吸音材でも、バイオフィリックを感じさせるようなインテリアデザインも多くみられます。いくつかご紹介しましょう。
1 Moss(乾燥した苔の吸音材)
2 Clouds(自然素材ではないが植物を感じさせるデザイン)
3 Mogu(きのこ菌糸を利用した吸音材)
各製品の具体的な吸音性能やその他の性能、設置方法は、販売元やカタログにてご確認ください。
バイオフィリックデザインは快適に過ごせる空間を作ることが目的です。
このような材料を取り入れることで、見た目だけではなく音環境の心地よさもデザインしてみてはいかがでしょうか。
出典-1:井上ら「植生基盤の吸音特性(騒音制御Vo.36 No.4 2012)」