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仮面ライダーのゲームをつくった時の話①


はじめ

おときはゲームプランナーです。
ゲームディレクターをしている時もあれば、プランナーをしている時もあり、データベースをいじっている時もあります。
noteでは、ゲーム業界のお話や担当したゲームでのノウハウなど、色々とまとめて行こうと思います。あまりnoteにゲームデザインやディレクション観点からの製作の話がなかったので、徐々に増やしていければ


さて、そんな私の初めてゲームディレクターを担当したゲームが仮面ライダーのゲームでした。

今回は自身の振り返りも兼ねて、「仮面ライダー」というIP*に触れられた貴重な体験とゲームの製作ノウハウなどをまとめてみようと思います。

*IP:Intellectual Property の略で、キャラクターなどの知的財産のことを指します。


本題


まず、担当していたゲームを簡単に紹介しますと、

・メインターゲットはライダーファンの子どもであること

・操作は簡単で見てすぐわかること

・何度も繰り返し遊べるもの


ゲームとしてはシンプルだが奥深い、といったゲームの基本をしっかり押さえたコンセプトがありました。
逆に言えば、ゲーム側の設定が少ないので、かなりわかりやすくIPの特色が出せるなと思ったのを覚えてます。

製作時に行っていたことをまとめると、だいたい以下のようになります。


1.原作を必ず知る

2.ホンモノの仮面ライダーであることを意識する

3.ファンだからこそ、ファン目線は辞める



今回は「1.原作を必ず知る」について書いていきます。


原作を必ず知るとは?


IPゲームにおいて、原作となる漫画やアニメは避けては通れない大切な作品です。
というよりも、原作を知ることは必ず行うべきことだと思います。


キャラクターはどういう人物か、どんな言葉遣いか、好きなもの・嫌いなものはなにか

戦う時はどんな見た目なのか、技・決めゼリフ・武器はどんなものか

何のために生きているか、存在意義はなにか、どんな感情変化がストーリーの中で起きているか


特に「仮面ライダー」という作品は石ノ森章太郎先生の漫画原作から始まった長い歴史を持つIPで、現在TV放送されている最新作の中にも原作の「仮面ライダー」が持つコンセプトがしっかりと根付いています。


キャラクターIPを使ったゲームを遊ぶ人たちは基本的にその作品のファンです。
大人だろうと子どもだろうと、自分が好きなキャラが本編と矛盾する内容の会話をしていたら嫌ですし、見た目や使う技が違っていたら遊んでいても楽しくありません。

なんのためにゲームを遊んでいるか?といえば、
その作品が好きだからです!の一言だと思います。


一方で、本編にはない部分を作る必要が出てくるのが、ゲーム制作です。

オリジナルをつくるな!とは全く思いません。
ただ「なぜこのキャラクターはこんなことを話してるのだろう?」とか、「見た目が本編と違う」ということは、せっかくのゲーム体験を損ないますので、製作側の都合ならば避けるべきかなと思います。


さて、そんなオリジナル要素ですが、自分の場合、「子どもを励ます」というシチュエーションがゲーム中にありました。


例えば、主人公のいわゆる1号ライダーと呼ばれるキャラであれば、
「熱血」「人のため戦う」といった性格が多いので、子どもと話す時のセリフもなんとなく理解できます。
(仮面ライダードライブの泊進ノ介はとても良い例)


逆に序盤は敵対するような立場で登場する2号ライダー、3号ライダーは、「冷静」「目的重視」「寡黙」といった、1号ライダーとは相反する性格が多く、「こいつらが子どもと話す機会ってなんだ?」と非常に悩ましいです。
(仮面ライダーチェイスは人間ではないのでとても悩ましい)


具体例を挙げると、このチェイスは

「機械生命体として人間を守ることが存在意義である彼が、守るべき対象である人間の子どもが立派に戦うことを評価し、共に戦う存在として認める」

という設定でセリフを始めゲームデザインの方針を決めました。


単純に褒めているだけだろうとも見えますが、チェイスは仮面ライダーシリーズが長い歴史の中で描いている
「改造人間として自身の力の根源である存在と戦う」
「人間ではないが人間のために戦う」

というテーマが強いキャラクターでした。

本編中でも、初めは冷酷な機械生命体だった彼は、人間を守るという元々の使命に気づき、人との信頼や愛情を知っていきました。

この設定が定まった後は、他のゲーム部分も自然と決まっていきました。



操作感・レベルデザイン(難易度)
チェイスが認めるということは、このゲームにおいて難易度が高い
武器は斧で重量感があるが、本編のチェイスのように無駄がなく、正確な操作を要求される

オリジナルの決めポーズ
→かばう、守る、構えるという要素が入る。



終わり


ほんの一部分でしかありませんが、キャラクターがどんな存在なのか?を知ることは、「ゲームを遊ぶ人はそのキャラクターをどう見るか?」にもつながっていき、ゲームのコア部分でもある遊びにも反映できるのだと思います。



次回は、「2.ホンモノの仮面ライダーであることを意識する」についてまとめていきます。


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