新卒採用で不合格になるゲームプランナー志望者の書類パターン

前回まとめた新卒採用のnoteが色々と好評いただいているようですので、今回は書類の書き方に特化した内容を。

違いはあれど書類審査といえば「履歴書」「企画書」の2つがマストかと思うので、1つずつこれをやったら絶対に不合格になるNGパターンを挙げていきます。

「なんで合格の必勝パターンじゃなくてNGパターンなの?」と思うかもしれませんが、これは自身の新人ゲームプランナー研修経験に基づいてます。

「こうするといいよ!」とアドバイスをするとなぜか新人の皆さんは「そのアドバイスを半分くらい守った上で自分なりの頑張りポイントを+αで盛り込み始める」ことが多くあり、最終的に要件が満たされないことが多くありました。
結果的に「こういう理由でやっちゃいけないんだよ」という最低限のルールを作ってあげた方が、新人も最低限ルールを守った上で自分なりの改善や工夫してくれてとても助かりましたので、今回も同様の手法を取ります。


【履歴書NGパターン】

①誤字脱字がある
まあ当然です。
ほとんどの場合、採用者は応募者を知るために履歴書から読み始めます。
その履歴書が読みづらい、文法がおかしい、枠の右側に行くに連れて段々文字が小さくなるetc...
印象は良くありません。

とにかく「文章を認識しづらい」マイナス要素は避けるべきです。
ちなみにこのパターンは専門学生の方に圧倒的に多いです。(大学と比較して紙媒体での書き取り機会が少なかったり、教授のような書類を監督する立場の人間が少ないのが理由かと個人的には考えています)

②書類が汚れている
紙の端が折れている、押し印が滲んで他の箇所に色が着いてるなど。
これも①と同じような理由でNGです。

③趣味・特技欄が空欄
他の業界と比べて、ここの重要性が高いのがゲーム業界だと思います。
どんなことでも書きましょう。その上で内容について面接でもしっかり説明できるようにしてください。

世間一般だと「趣味で継続して行う力をアピールできる」「仕事に活かせる特技をアピールできる」なんて言われてますが、個人的には以下の点が見えてくると思います。

この世界のどんなことに興味があるのか」
「常にどういうことにアンテナを張って生きているか」
「この人が開発チームに入った時に発生するコミュニケーション」


大学生の方だと、これに加えてゼミの研究課題とか専攻学科の欄もあると思いますが、僕の中ではそこも趣味・特技欄と同じくらいよく読みます。
自分の場合、専攻が古代日本史で卒論はSF小説『BEATLESS』と、正直ゲームとは1ミリも関係ありませんでしたが、特に面接者から苦言を呈されたこともなく、むしろ話のタネになったくらいです。

ちなみになぜかゲーム業界の人たち(特に40~50歳)は、趣味・特技が一風変わっていると面白がって食いつきますが、だからといって合格させているかというとそうでもないので注意しましょう。


【企画書NGパターン】

①文章が長い・わかりづらい
これだけで1つのまとめをすべきかと思いますが、まず個人的にキツイのは文章が長いパターンです。

詳細に説明したいと文章が多くなりがちなのですが、本当に必要な情報だけを適切な量にし、書き言葉では情報が多くなりそうな部分は図やイラストで、と割り切ってしまいましょう。

採用担当者の時間も有限ではないですし、大量の応募書類を期限内に確認・選別しなくてはいけません。
文章が長ければそれだけ認識する時間がかかることになり、すべての文章を最後まで読まれる可能性がぐっと下がると思うので、やはり適切な量に収めて欲しいです。


例として、昔の自分が就活用に書いた企画から、導入部に書いたゲームルールの文章を抜粋してみます。

本企画「天奏楽紀」は音楽を奏でながらカードゲームのルールで遊ぶ、RPGです。​カードゲームはターン制ではなくいつでもカードの召喚などができます。制限時間内に相手より多くのファン楽しませ、勝利します。(100文字)(原文ママ)

当時はこれにゲーム画面とWiiUのゲームパッドの画像を張ってましたがルールがわかりづらい上に、意図していない誤解を招く表現が多いです。(タイトルがダサいとかはさておき…)



今、変えるとするとこんな感じでしょうか。

このゲームはBGMのリズムにあわせてカードを召喚し、相手とのカードの勝ち負けでポイントを獲得します。制限時間内にポイントが高い方が勝利です。(70字)

無論、この後に
どうやってバトルをするのか?
ゲームのどこの部分が面白いのか?
等の詳細な説明は欠かせませんが、まず掴みとしては上記で良いかと思います。

これでもちょっと多いかなと思いつつ、「音楽を奏でるとあるが実際に演奏はしない」とか「ターン制ではないが、いつでも出せるわけではない」など、意味もなく装飾した無駄な文が削れました。

企画書の文章は3行以上書くな!とよく言われましたが、今の人も言われるのでしょうか。


②配色が悪い
次にキツイのは、企画書で使用している配色が見づらいパターンです。

赤い図形に黒字テキストの危険色な見出し文とか結構見かけますが、個人的にそれだけで読む気がしない。

企画書のクオリティはもちろんゲームのおもしろさや説得力も判断基準となりますが、経験上クオリティが高く審査通過する方の企画書は配色もよく考えられています。

ゲームプランナーとして配色の知識は学びづらいと思いますが、「デザイン 配色」などで書籍を検索してみるとたくさんの参考書が見つかりますのでぜひ活用してください。

「可愛い色合いだな」とか「これは冷たい印象だな」と抽象的に感じていたイメージが、1冊こういう本があることで意図的に選択できて非常に有益だと思います。
「バレンタイン」「森林」「日本」のようにテーマごとに配色パターンが見えるのも、企画書のコンセプトとマッチさせやすく色々と捗ります。


③根拠が主観的すぎる
「売り上げ予想」とか「同ジャンルの盛り上がり」といったページを用意し説得材料を揃えてくれますが、引用してる数字や結論までのプロセスが不適切な場合がとても多いです。

スマホゲームなのに家庭用ゲーム機の売り上げを出す、ジャンルの異なるゲームだけどメインターゲット年齢が近しいから比較対象に挙げるなど、結構あります。

「じゃあ具体的にどんな資料をあたればいいんだ!」と思われるかと思いますが、自分は『ファミ通ゲーム白書』を図書館で借りて必要なページをすべてコピーし、自分だけの資料集としてました。

だいたいこれがあればマーケティングデータは申し分ないですし、加えて業界人の最新市場分析もついてくる。書籍はお値段据え置き39,000円+税。
流石に買えとは言えないので、どうしても近くの図書館にない人は国立国会図書館に行きましょう。日本国内で発行されたすべての出版物は、国立国会図書館法に基づき、すべて保管されています。

企画書において求められるものは「客観的な視点でこのゲームを見た時、どのようにおもしろいか」であって、「どれだけ同じジャンルが愛されているか」ではありません。

僕自身、就活中に同じ過ちをしてしまい指摘された時がありましたが、その時の言葉を借りるのであれば、いま多くの志望者が書く企画書は

「どれだけ売れるか」の「予想」ではなくて、「こういういいゲームだからこれくらい売れてほしい」という「希望」になっている。自分の企画を客観的に評価できていない。

この一言につきます。


以上、書類の書き方に特化してNGパターンを出しました。
他にもこういう点が欲しいとか、やっぱり正攻法が知りたい!などあればどんどんまとめてみようと思います。

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