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進撃のズッキーニ

「私さ、最近めっちゃズッキーニ好きなんだよね。あぁなんでズッキーニってあんなに美味しいんだろう」
新宿の居酒屋で、半年ぶりぐらいに会った大学時代の友達、たかみーは突然そう言った。

「ズッキーニ」と聞いて、みなさんは何を思い浮かべるだろうか。
当時の私の頭に浮かんだのは「緑色の?、長い?、野菜」だった。
自信のほどは40%ぐらい。

気になって、帰宅後、「ズッキーニ」を検索した。
やっぱり「緑色の長い野菜」だった。
もっといえば、「ウリ科で外見がきゅうりに似ているが、実はかぼちゃの仲間の、かぼちゃより低カロリーな夏野菜」だ。
そこまでわかっても、味があまり思い出せなかった。

「ズッキーニってどんな味だったっけ」
それからしばらくしてからやっと気がついた。
「マックのハンバーガーにサンドされてる、緑色の、断面がまるい野菜だ」と。
(後日しらべにより、マックのそれは、きゅうりだと判明)

その飲み会からしばらくして、ひとり暮らしになり、自分で自炊をするようになった。
とある日、スーパーで売られているズッキーニとやらを見て、反射的に買い物かごに入れた。

ズッキーニは私にとって、知らない世界そのものだった。
私は知らない、でも、友達のたかみーは知っている、そんな、ジェラシーの象徴のようなものだった。
もっといえば、ズッキーニを知らないことに、焦りさえも感じた。

今ではズッキーニのトリコ予備軍と自負できるぐらいには、ズッキーニを使った料理を何品か作って食べるようになった。
だからズッキーニのジェラシーは無事になくなった。

みなさんもこういう、ジェラシーを感じるもの、はあるだろうか。
ジェラシーの象徴なんて、あんまり聞き捨てはよくないが、実は新しい世界のトビラなのかもしれない。


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