第35話『サマーキャンプだオセロッチ!最高の思い出を作るのだ!!』
☆白黒★オセロッチ!
【前回までのお話】
「天才オセロ少年オセロッチ」から「少年オセロッチ」になったオセロッチ。今日からサマーキャンプに行くぞ!
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第35話『サマーキャンプだオセロッチ!最高の思い出を作るのだ!!』
「白郎ー!!白郎ー!!いつまで寝てるの!!起きなさい!!ユメ子ちゃんが来てるわよ!!」
オセロッチのお母さんがオセロッチを呼んで起こしている。
今日はみんなで風吹山に登って頂上のキャンプ場でキャンプをする予定になっている。
「えぇ…もうそんな時間…?」
ムニャムニャとしながら目覚まし時計を見るオセロッチ。時刻は朝の4時半だった。
「ヤバい!寝坊した!!」
オセロッチは飛び起きてパジャマから登山用の服に着替え始めた。
昨日の夜は楽しみ過ぎてあまりよく眠れなかったのだ。
「ユメちゃん!待たせてごめん!!」
玄関には赤いスカーフを巻いて大きなリュックを背負ったユメちゃんが立っていた。
「遅刻だよ!オセロッチ!もうみんな集まってると思う!!」
今日の登山は、シシ丸のお母さんの弟であるサカツカさんがみんなと一緒に行ってくれるのだ。つまりみんなの保護者ってことになる。
「白郎、気を付けて行ってきなさいね。サカツカさんの言うことをよくきくのよ。ユメ子ちゃんが一緒だから安心だけど。」
オセロッチのお母さんが細い指でオセロッチの寝癖を撫でつけた。
「おばさん!まかせてください!」
肝っ玉母さん風のユメちゃんのお母さんと違い、オセロッチのお母さんは儚げな雰囲気があってユメちゃんは憧れていた。
ユメちゃんのお父さんが、オセロッチのお母さんのことを「薄幸の佳人」と言ったことがあった。意味はわからないが、なんとなく影がありそうな言葉だとユメちゃんは思った。
「もう!子ども扱いすんなよ!とにかく行ってきまーす!」
オセロッチはへへんッと鼻をこすり、ドタドタと団地の階段を降りていった。
オセロッチの家がある団地を飛び出すオセロッチとユメちゃん。重たいリュックを背負って集合場所の追手門公園までダッシュだ!
追手門公園に行くと、今日の登山のメンバーがもう集まっていた。
ガキ大将シシ丸、その子分のミジンコ、学校一のイケメン・キム ナルキ、ナルキに恋する女の子・キウイちゃん、そして今回の旅の保護者・サカツカさんだ。
「おはよう!ふたりとも!」
ナルキは登山用の服でもスタイリッシュだ。
「遅れてごめん!寝坊しちゃった!」
オセロッチがゼエゼエしながら言った。
「んだよオセロッチ!置いてくとこだったぞ!」
シシ丸は地面にあぐらをかいている。
「遅いでやんすー!」
小柄なミジンコはリュックがより大きく見える。
「おはよー!ユメ子とオセロッチ!!」
キウイちゃんは公園の入口にある車止めに足をかけて靴紐を結んでいる。
「よーし、みんな揃ったね!それじゃあ車に乗って。長旅になるけど気を付けて行こう!」
サカツカさんがみんなのリュックを車の後部に載せていく。
これからサカツカさんが運転するハイエースで風吹山がある曾我県麦林市へ向かうのだ。
「(よーし、ナルキくんの隣に座っちゃうぞ!そしたら長時間ナルキくんとお話しできちゃうもんね!)」
キウイちゃんは虎視眈々とナルキの隣を狙っている。
ところが、
「僕は助手席に座るよ。こういう車だと酔いやすくてね。助手席のほうが安心なんだ。」
そう言ってナルキは助手席に座った。ナルキは普段から革張りの高級車にしか乗っていないのだ。
「(ガーンッ・・・)」
落胆するキウイちゃん。
結局運転席にサカツカさん、助手席にナルキ、2列目にシシ丸オセロッチミジンコ、3列目にキウイちゃんとユメちゃんが座り、曽我県に向かって車が発進した。
「せっかくキャンプに行くのについてきた女子がキウイとユメ子ってのがガッカリ要素でやんすね~ッ!!」
ミジンコが後ろの席に向かって言った。
「なんですってー!!来てあげただけでもありがたいと思いなさいよ!ねーユメ子?」
「ほんとに失礼なヤツらだ!」
これぐらいの軽口では別に怒らないユメちゃんだけど一応キウイちゃんに合わせてみた。
「ガハハハッ(笑)。そうだな、おいナルキ、カヲル子とアカネは誘わなかったのか?」
「声はかけたんだけどね、二人とも予定があるってさ。」
「ちぇーッ!人気者はそうそうつかまらないでやんすねー!」
「ガハハハッ(笑)。ナルキのイケメン効果が落ちたんじゃねーか?」
「なんだよイケメン効果って…」
呆れているナルキ。
「オセロッチもがっかりしてるよなぁ?なあオセロッチ?」
シシ丸がオセロッチに話を振るも、
「zzz…。」
オセロッチは眠っている。
「ガハハ(笑)こいつもう寝てんのか!」
シシ丸がオセロッチの頭をワシャワシャと撫でて起こそうとした。
「オセロッチは朝早いのが苦手なんだよっ!」
後部座席からユメちゃんが手を伸ばしやめさせた。
「まったく、ユメ子はオセロッチが行くとこにはどこでもついてくるでやんすね~ッ!!」
「べ、別にそういうわけじゃないけど、、、あたしはオセロッチのお母さんから頼まれてるだけだからね!」
実際何を頼まれてるというわけではないのだが、
ユメちゃんは、オセロッチのお母さんの物憂げな目に見つめられると、力になりたいと思うのだった。
「よーし、そろそろ朝ごはんにしようか!もうすぐワクドナルドがあるからそこで食べよう!」
サカツカさんの運転するハイエースはもう少しで高速道路のインターチェンジに着こうとしていた。
「やったー!!オイラ朝ワック大好きでやんす!ワッシュドポテト2個食べたいでやんすー!!」
「俺なんかワックグリドルとチキンクリスプワフィンとビッグブレックワスト デラックス食っちゃうぞー!!」
「そんなの食べ過ぎでやんすー(笑)」
ミジンコとシシ丸がはしゃぎ始めた。
「あんた達ほんっっとバカね!!こんなのと一泊二日とか先が思いやられるわ…」
キウイちゃんはやれやれといった表情をしている。
ユメちゃんは悪い気はしていなかった。
好きでやっていたとはいえ今までオセロ漬けの毎日だったオセロッチと、こういう普通のレジャーに出かけられることがユメちゃんには嬉しかったのだ。
「よーし!あたしもメガワフィンと四角チョコパイ食べよっかなー!!」
「んもー!ユメ子までぇー!?」
「おっ!?いいぞーユメ子!!ガハハっ(笑)」
「そうこなくっちゃでやんすー!!!」
「zzz…」
さあ、夏の楽しい旅行がはじまるぞー!!
(つづく)
☆白黒★オセロッチ! 次回 第36話『みんなで登ろう風吹山!ハイキングだぜオセロッチ!』
☆白黒★オセロッチ! 第1話はコチラから
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