第3話 『オセロッチ危機一髪!!勝ったのはどっちだ!?』
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☆白黒★オセロッチ!
第3話 『オセロッチ危機一髪!!勝ったのはどっちだ!?』
(オセロ天空闘技場にて強敵 小瀬路太郎と対戦するオセロッチ。路太郎を倒す、起死回生の一手とは・・・っ?!)
「な、なんやてぇッ!?!?!?」
路太郎は立ち上がり、頭をかきむしった。
「ありえへん!!!こんな手ぇ、ありえるか!!ドアホ!!!」
オセロッチが放った白チップは、
緑盤の中央部を瞬く間に白色に変えていった。
「これがオセロッチスペシャル!!正確にはフロントサイドトゥエルブシックスティーンオーバーサイドクロスサイドキャブダブルコークフォーティーンフォーティーオセロッチさ!」
路太郎はがちがちと歯を鳴らして震えている。
「なんやこの手は・・・、これを狙ってたいうんか!?!?これの前のクソ手も、その前のゴミ手も、そのまた前のクソ凡打も、全部この一手のための布石やったっちゅうんか???ドアホォォォッッ!!!!」
地団駄を踏み、野獣のように吠え立てる路太郎。
見開かれた眼は血走っている。
「ふざけんなやッ!!!なにがオセロッチスペシャルじゃボケッ!!なにがフロントサイドトゥエルブシックスティーンオーバーサイドクロスサイドなんとかかんとかオセロッチやねんボケがッ!!こんなドチビの田舎モンに、ワイが負かされるやとォ!?!?!?」
路太郎はつけていた蝶ネクタイを引きちぎり、
緑盤に叩きつけた。
「こんな手ぇ反則や!!!ルール違反や!!ドアホ!!!」
ピーーーッッッ!!!!
黒いスーツを着て黒いサングラスをつけた審判が笛を吹いた。
「盤に物を投げた路太郎君、君が反則です。」
「はッ!?」
路太郎の顔が青ざめていく。
「勝者!オセロッチ!!!!!!」
審判の甲高い声が響き渡り、
紙吹雪がスタジアムを派手に舞った。
「「「うおおおおおおおおおッッッ」」」
鳴りやまない拍手と地鳴りのような歓声が響く。
「よしッ!まずは1勝!!!」
オセロッチは飛び上がってガッツポーズをした。
路太郎は天井を仰ぎ、
どっかりと腰をおろした。
「路太郎、きみは強かった。でも君はオセロ打ちとしてのルールを破った。」
それだけ言うと、オセロッチはガッツポーズをしながら観客席へ向かった。
「・・・。」
残された路太郎はうつむいて、深いため息を吐いた。
「・・・ワイの完敗や、ほんまのドアホは、ワイやったんや・・・。」
路太郎は袖で目をこすった。
「せやけどなぁ・・・」
割れんばかりの歓声は皆オセロッチを称えている。
路太郎は目を細め、緑盤の一点を見つめた。
「この一手、どっかで見たことあんねんなぁ・・・。」
幾筋ものスポットライトが飛び跳ねるオセロッチを照らしている。
路太郎はそっと目を閉じ、この一局を胸に刻み込んだ。
(つづく)
(激闘に白黒つけたぜオセロッチ!!次回も見てくれよな!)
次回 ☆白黒★オセロッチ! 第4話 『顔が赤いゾ!オセロッチ!どっきどきのバレンタイン!』
☆白黒★オセロッチ! 第1話 はコチラから
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