「おてつたびで来た方は、地域やホテルのファンになってくれる」2,3回以上訪れる方も多数【おてつたび/受入先インタビューvol.18】(北海道紋別市・紋別プリンスホテル)
北海道の北東に位置する紋別市。流氷の町として知られ、毎年多くの観光客が訪れています。
初夏から秋にかけては芝桜やラベンダーやコスモスなどが楽しめる自然豊かな場所です。
そんな紋別市にあるのが、紋プリの愛称で親しまれている紋別プリンスホテル。1989年に創業し、部屋数は147室。オホーツク紋別空港から車で10分とアクセスもよく、シーズンにはたくさんの人で賑わいます。
2022年からこれまでに90人以上のおてつびと(おてつたび参加者)を受け入れてきた当ホテル。2回以上訪れる方も多く、なかには3回以上参加している方もいます。
今回は紋別プリンスホテルの代表・林孝浩さんにおてつたびの魅力や、受け入れる際に工夫していることをお聞きしました!
おてつたびを利用したきっかけは?
人手不足に悩んでいた2020年頃、JTB協定旅館ホテル連盟から「おてつたびというサービスがある」とメールをもらい、存在を知ったんです。
とりあえずエントリーして2名を受け入れることにしたのですが、ちょうど新型コロナウイルスが流行してしまいキャンセルさせてもらいました。
そして感染拡大が落ち着いた2022年、改めておてつたびを利用することにしました。コロナ禍で従業員が何名か辞めてしまったため、流氷の時期に人手不足になってしまったんです。
利用する前に不安だったことは?
採用するときに面接ができないので、情報が少なく不安に感じました。応募者のプロフィールやお写真を拝見すると、ある程度のお人柄がわかるのでよく確認するようにしていましたね。
特に配膳・接客を行う部署は清潔感があって落ち着いた印象の方を採用しておりました。職歴もよく見ています。接客業の経験があるか、身体を動かす仕事ができそうかを確認し、おてつたびの経歴も見て、ホテルや旅館で働いた方を積極的に採用しております。
どんなお手伝いをしてもらっていますか?
現在は「館内・客室清掃係」「夕食配膳係」「調理係」の3つの分野で募集を出しております。最初は2週間で募集を出していたのですが、仕事を覚える前に帰ることになってしまい、来た方も教えるスタッフも大変だったと思います。今は1ヵ月ぐらいの期間で募集を出しています。さらに延長して2ヵ月滞在してくれる方もいますね。
館内・客室清掃係は、お部屋や館内の清掃・ベッドメイキングの補助をお願いしています。
夕食配膳係は食事会場で配膳、接客、片付けなどをやっていただいております。
一日8時間程働いていただいて、仕事がない時間帯はみなさんホテルの温泉やサウナ、観光などを楽しんでいらっしゃるようです。
わたしも時間が合えばおてつびとのみなさんと周辺を観光したり、ごはんを食べたりしております。
おてつびとを受け入れる際、工夫したことは?
現場では覚えることがたくさんあります。特に調理場の仕事は、慣れないうちは難しいんですよね。おてつびと向けにマニュアルを作ったり、冷蔵庫に番号をふったりしました。「何番の冷蔵庫から食材を持ってきて!」と言えばわかりやすいですから。
配膳係も手順を覚えるまでは大変です。お料理のコースが7種類あり、使う小皿もそれぞれ違うんです。お刺身のおちょこだけでも何種類もあるんですよね。食器棚にも番号をふったり、コース料理のセッティングをスマホのカメラで撮って覚えてもらったりしています。
おてつたびを利用し始めたばかりの頃は手探りでしたし、ホテル内で不安を口にするスタッフもいました。でも「人手不足を乗り切るために受け入れていこう」と話し合ううちに、従業員たちが自ら工夫し始めたんです。だんだん教えることにも慣れてきたので、おてつたびの時だけでなく新人を受け入れる際もスムーズに教えられるようになりました。
おてつたびの魅力とは?
人手不足の時は部屋の予約数を抑えなければならなかったのですが、おてつたびのおかげで全国から働き手が集まり、繁忙期にもたくさんのお客様をお迎えできるようになりました。
それだけでなく、おてつたびで来た方の多くは紋別や当ホテルのファンになってくれるんです。やはり1ヵ月も滞在するので情が湧いて好きになってくれるんだと思います。
ありがたいことに、おてつたびで当ホテルに再訪してくれる方がたくさんいます。リピーターの方は業務の流れもわかっているし、こちらとしても助かります。春夏秋冬、4回来てそれぞれのシーズンを楽しんでくれたら嬉しいですね。
また、ご本人が再訪しなくても、もし知り合いが北海道旅行に行くと言ったら、きっと「紋別はいいところだから寄っていきなよ!」と言ってくれると思うんです。
わたしは、みなさんが帰る時はいつも「またおいでよ。遊びでも、おてつたびでも」と言って送り出しています。おてつびとさんは一生涯お付き合いしていく存在だと思っているんです。これからもみなさんと関わり、繋がり続けていきたいと思っています。
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【取材・執筆:やまくぼ(おてつたびライター)】
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