”Go To Travelキャンペーン”はひとつのキッカケ。最後は「人」が大事【お宿会議】
こんにちは。株式会社おてつたび、田中沙季です🌼
おてつたびとは、「地域の人を通じてその地域を好きになる」を信念に、人手不足で困っている地域の方と、地域に興味がある方とをつなぐマッチングプラットフォームです!
◆お宿会議とは?
現在、新型コロナウィルスの影響で観光業や宿泊業が打撃を受けていることをうけて、私たちおてつたびでは毎週月曜日に、宿泊事業に関わっている方限定の情報交換の場「お宿会議」を設定しています。
(※お宿応援プロジェクトについてはこちら)
緊急事態宣言が明け、Go To Travelキャンペーンの実施が発表されました。
6月8日(月)のお宿会議のオープニングトークのテーマは「Go To Travelキャンペーンを活用するための施策」。
旅の輪九州株式会社の戸田 慎一(とだ しんいち)さんをゲストにお迎えして、キャンペーンに対してとるべき姿勢についてお話いただきました!
◆ゲストプロフィール
旅の輪九州株式会社 代表取締役 戸田 慎一(とだ しんいち)氏
1971年福岡県生まれ。代表を務める「旅の輪九州」は島旅の商品をメインにしている旅行代理店。
今から約25年前、長崎県の壱岐(いき)に魅せられ、これまでに約8万人を壱岐に送客し、集客実績日本一を誇る。その他にも、五島のスポーツサバゲー体験集客日本一。旅の輪九州を利用した感動体験旅行経験者は年間1万人にのぼる。
最近では、Go To Travelキャンペーンをはじめとする助成金を活用した販売準備・集客について、最新の情報やこれまでの事例を学ぶ国内旅行勉強会を開催。
地域に根ざした旅行会社や宿泊事業者の仲間と「助成金を活用したアフターコロナのV字回復」のプロジェクトチームを立ち上げ。
注・記事内の情報は、お宿会議を実施した2020年6月8日時点の情報です。
◆うまく使えば旅行代金の半額補助!Go To Travelキャンペーン!
戸田さんは、福岡県のご出身。25年ほど前に、「なんて素晴らしい島なんだ!」と壱岐に魅了されてからは、8万人を送客された送客数日本一という実績もお持ちです。
五島列島や、多くの地域でお客さんを感動させている戸田さん。助成金を活用するための販売準備や具体的にしたことがいいものについて情報を集めながら、地域のお宿さんや旅行会社さんと連携してコロナ後のV字回復への施策に取り組んでいらっしゃいます。
旅行会社からの視点をふまえて、今、お宿がするべきことについて伺いました。
福岡市にある”福岡タワー”、その真下にあります旅行会社、旅の輪九州の戸田と申します。今日はよろしくお願いします。
私の旅行会社では国の助成金を使ったツアーを会社の主軸にしていますので、現在、予算が多く当てられている長崎の離島をメインに商品を作っています。また、今回のキャンペーンにも注目しておりまして、アンテナを張って最新情報を手に入れるようにしています。
僕は、この状況をピンチではなくチャンスと見る、モチベーションを意識することが重要だと思っています。
さて、Go To Travelキャンペーン、これは経済産業省・国土交通省・農林水産省の3つの省が合同で仕掛けているキャンペーンで、全部で予算は1.7兆円。
観光の部分については予算が1.3兆円ありまして、一人あたり最大2万円、旅行代金の半額補助(そのうち30%は飲食やお土産に使えるクーポン)という形になる予定です。
〈以下資料は戸田さん作成〉
以下は、キャンペーンの詳細情報が出る前の僕のシュミレーションです。
まずは7月上旬に、旅行会社に対する助成対象になる企画の募集受付。そして8〜10月に第一弾として同一県内の旅行が対象になる。それから11月上旬にまた募集して、12月1月が対象になる第二弾。その後に、もし第一弾と第二弾で消化できなかった予算があれば、第三弾に回すのかなと思います。
注・お宿会議は2020年6月8日(月)実施。情報は最新のものではない可能性があります。
事務局決めが白紙に戻る前はキャンペーンの対象になる旅行は8月1日スタートと見込んでいました。この先、どうなるかわかりませんが、9月にはキャンペーンが始まるんじゃないかと予想しています。
◆今までやらなかった可能性にチャレンジできる機会
今回のキャンペーンでは何をやったらいいですか?
各地で始まっている地域のキャンペーン、その後にまたGo To Travelキャンペーンと補助金を使える仕組みが続きます。それでも旅行者は来るのか、気になるところですよね。
おそらく今回はGo To Travelキャンペーンを利用して、旅慣れていない、いつもとちがう層のお客さんが来られます。
僕の経験ですが、以前、熊本地震の「ふっこう割」のときに来た1,000人近くのお客さんのほとんどは、それまでうちの会社を使ったことがない人でした。今回もそれと似た形になると予想しています。その後は縁が切れてしまっていますが、おそらく今回のGo To Travelキャンペーンで来てくれると思います。
客層が異なることも踏まえると、今回のキャンペーンは"助成金の対象に当てはまる、今まで通りのもの"を用意して自然に選んでもらうのを待つというよりは、旅行会社とタイアップして商品づくりをするのが良いのではないかと思っています。
今までやらなかったことをやる、可能性にチャレンジできる機会ですよ。
「やはり県内の利用がメインになるのか?」という疑問もあるかと思いますが、今回は近場の方、遠方の方、両方のパターンについて準備しておいたらいいと思います。
今の状況は言ってみれば受験みたいなもので、その時が来るまで正しい解答が何かはわからない。当日のために準備しておくことしかできないんです
今回のGo To Travelキャンペーンは、使うか使わないかで言ったら使ったほうがいいです。活用したほうがいいです。旅行会社と連携したほうがいいです。仕掛けたほうがいいです。
僕の意見としてはそんなところですね。
◆自分たちが自慢したいものをいっぱい自慢する
旅行会社と組むとき、どのようにアプローチしたらいいですか?
旅行会社へのアプローチは、別に深いことを考えなくていいですよ。HPが綺麗とか写真が綺麗とかよりも、熱い思いがあればいいと思うんですよね。「私たちはこの分野だったら日本一ですよ!」みたいなものがあればいいと思うんです。
3行で表現できるものを旅行会社に伝えてみてください。
知り合いの宿で、寝心地、座り心地にこだわっているところがあります。日本最高級の布団を使っているし、クッションも良いものにこだわっていて、それが自慢になっている。
これもあくまで一例で、そうやって自慢したいものがあったらいっぱい自慢したらいいんですよ。いっぱい自慢してください。それを聞いて売りたくなったら旅行会社はすぐ商品をつくります。
ちなみに僕は対馬の商品で、まず値段の情報を出しています。”対馬にこんな値段で行ける”と価格を前面に出して勝負する。「Go To Travelキャンペーンで1万円お得に泊まりませんか」と誘って、まずは興味をひく。
そうして「なにそれ?」と興味を持った人に対して語れるもの、プレゼンできるものを用意しておくんです。
だから、今みなさんがやるべきなのは、「自分たちの宿を磨くこと」「その後のリピートへつなげる方法を考えること」「来たお客さんに感動して発信してもらえる仕組みをつくること」だと思います。
◆「価値」を基準に旅行商品を考える
今回のキャンペーンは、1万円を越えないと助成金の対象になりません。でもそれなら、1万円を超えるように作っていけばいいんです。
このときに大切なのは、「熱い思いと価値」を売ること。だから別に1万円じゃなくて、思い切って2万円でもいいんです。
思いつきですが、「農業体験をつけて1年間、毎月野菜が送られてくる」といった、代金に見合う価値のプランをつくればいい。僕はもしそんなプランがあったら行きますね。
知り合いのお宿で、チェックアウトからチェックインの間の時間、12時から14時がお客さんがいない時間になるところがあります。そのお宿で、まず12時にランチをとって、13時からバックヤードツアー、その後温泉に入って帰る…というツアーを企画したとします。
これの値段を、例えばの話1万円としたら、5千円の助成金の対象になりますよね。
そうやってGo To Travelキャンペーンを使って、泊まりたくなるきっかけをつくるプランを設定する。そうすればその後に繋がっていきます。
1万円の価値に見合わないというのなら、お土産をつけたっていいと思うんですよ、地元の野菜をお土産につけるとか、温泉がない宿であれば近くの温泉と協力してもいい。
僕の知っているところでは、屋形船と組んだ事例や、謎解きゲームと民泊という組み合わせで話題になった事例もあります。
離島で、現地へ行くために船を使う場合であれば、交通費も入れて1泊4万円という設定もできますよね。でもあくまでこの代金は宿泊の値段で、このプランには船のチケットが自動で付きますよという視点が良いと思います。
とにかく、他の事業者さんとタイアップしてでも、1万円を超える価値にすればいいんです。そして何より、それをプレスリリース、広く発信していくことが大事です。
また、クーポンの利用方法ですが、お土産買ってもらうことや館内飲食に使ってもらうことも可能なので、食事がついていないプランに食事をつけるときに使えるようにするのもいいですね。
◆旅行商品を売るのは誰か?
今回のキャンペーンで、僕は高級リゾートホテルが一人勝ちすると思っているんですよ。2万円割引が適用される4万円以上の旅行が多く選ばれるのではないか。そうなると1万円以下のお宿はほとんど恩恵がない。
でも、この機会を使って潜在顧客の開拓はできると思います。その場限りで終わらせるのではなく、Go To Travelキャンペーンをきっかけに来てくれたお客様を大切にもてなし、ファンになってもらう。そうして、その後も来てもらえるようにすることが一番大切だと思っています。
そして、とても大事な、あらためて意識しておいてほしいことがあります。
旅行という商品を作るのは旅行会社ですよね。でも、それを売るのは誰だか知っていますか?
それを売れるのは、他でもないオーナーなんですよ。
現地の魅力についての情報も、現地の方が発信したほうが売れます。結局、ものを売れるのは「人」なんです。「人」。そして、その現地の魅力を一番知っているのは他の地域の人間ではなく、現地のお宿の方々でしょう。
皆さんのハートが、旅行商品をどう組み立てていくか。表層のテクニックの部分の話ではなく、自分のお宿のどんな強みや特徴をどのような方法で発信して伝えていくか。今回は、それがポイントになるのではないでしょうか。
戸田さん、ありがとうございました!
<記事執筆:田中沙季>
⭐今回のゲスト⭐
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