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【前編】内海産業さまにインタビュー 〜企業から社会・未来の子どもたちへ〜

認定NPO法人おてらおやつクラブはさまざまな企業さまと連携を重ねて「子どもの貧困問題」の解決を目指しており、協力企業さまは私たちの活動継続に欠かせない心強いパートナーです。

私たちの活動を支えてくださっている企業さまに「おてらおやつクラブに協力する想い」についてインタビューをし、シリーズ企画としてお届けします。おてらおやつクラブに日々ご協力くださる企業さまの想いを深く知っていただくことで、子どもの貧困問題への多様な取り組み方・向き合い方について考えるきっかけになれば幸いです。

これまで様々な企業さまにインタビューを実施し、おてらおやつクラブを支援していただくことになった経緯や支援を通じての期待などについてお聞きしました。以下にこれまでのインタビュー記事を紹介します。

▼インタビュー記事 第1弾 Daigasグループさま

▼インタビュー記事 第2弾 おやつカンパニーさま

▼インタビュー記事 第3弾 石井食品さま

▼インタビュー記事 第4弾 フェリシモさま

第5弾の今回は、2016年から現在まで、食品や日用品など幅広く継続的に支援してくださっている内海産業株式会社の河原畑さん、近藤さん、鍋島さんのお三方へ、おてらおやつクラブ広報職員の深堀と小林がインタビューを行いました!

オンライン上ではありましたが、和やかな雰囲気でインタビューさせていただきました!

買い物ゴコロに、火をつける。

小林
最初に、内海産業さんがどのような企業か教えていただけますか? 

近藤さん

うちは「ノベルティを扱っている会社」です。
例えば、車のディーラーでは、来てくれたお客さんに来店のお礼として物を渡したり、見積もりや試乗した方には会社の名前入りのグッズなどをプレゼントしたりしますよね。身近なところでは、ドラッグストアなどの店舗でいくら以上買うとエコバックをもらえるなど……。
こういったものが「ノベルティ」と呼ばれていて、私たちはこの「ノベルティ」を企画・販売している会社です。

ただ「ノベルティ」と言うと、「物を扱う会社」だと捉えてしまう方も多くいるため、「買い物ゴコロに、火をつける。」というスローガンを掲げています(下図)。
「販売」とは物を差し上げることで集客するだけでなく、様々なものやことを発信してお客さんに来てもらう形だと考えていて、私たちはこの「販売」全体をプロモーション・プロデュースしています。

内海産業さんホームページ内のメインページ

近藤さん

会社が掲げているミッションは、「最上の着想で、購買欲に火をつける。」です(下図)
例えば、コーラを販売している2社があったとして、片方の会社のコーラは何もついていない普通のコーラ。もう1つの会社は何かおまけがついているコーラ。コーラが飲みたい時に、「どっちを買うか?」というと、おまけがついているコーラを買いたくなりますよね。それで、そのおまけを集めちゃったりとかして……(笑)
そういったちょっとした欲求の後押しをするようなものやことを提供している会社なんです。

内海産業さんホームページ内の企業理念ページ

近藤さん

さらに、会社のパーパス(目的・使命)として「買い物を楽しみモノを大切にする持続可能な社会」に貢献するというのがあります。
昨今、世間では物よりもクーポンや値引きなどが推されています。もちろん商品を安く買えることは良いことですが、「物を大切にすること」はそういうことじゃないと思っています。
例えば、先ほど話したディーラーでもらったマグカップには企業の名前とかが入っていて、後々見返してみると「あの時にこれをもらってすごく嬉しかったな」「あの時買った車がこれなんだな」って思い出すことにもつながると考えているんです。
クーポンや値引きも良いんですが、「物に残ってお客様の心に残る」という方が嬉しいし、そういう風にしていきたいんですよね。
「物を大切にして、楽しく買い物をしてもらいたい」というのが我が社の目標であり使命です。

内海産業さんホームページ内のSDGs価値創造モデル

良い商売には「三方良し」

河原畑さん

私たちが扱う商品はたくさんあるんですが、SDGs関連の支援ができるような商品の開発や販売にも力を入れています。
詳しくは会社が出しているサステナビリティレポートに書いているのですが、例えばプラスチックを削減できる商品の販売を積極的に行ったり、物流にも携わる会社なので、輸送時のCO2を減らせるよう「モーダルシフト※」という取り組みを推進したりしています。
このレポートには、おてらおやつクラブさんとの取り組みも掲載させていただいています。

※モーダルシフト・・・トラック等の自動車で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へと転換すること(引用:国土交通省ホームページ

サステナビリティレポート内のおてらおやつクラブへの取り組み

近藤さん

「ノベルティ」は食品から日用品、雑貨など多岐に渡っているのですが、昨今SDGsが推進されているので、「物を作る企業」としてプラスチックを使ってしまうものの「エコバックは1回買えば長く使えるからビニール袋じゃなくてこっちを使ってね」と推進したり「ペットボトルではなく水筒を売り出していこう」など働きかけています。「少しでも環境に負荷はかけない」というところで、物を作っているけど、それを捨てないように、という取り組みを推進しています。

▼内海産業さまのサステナビリティレポート
https://utsumi-sp.co.jp/sdgs/#anc04

鍋島さん

先ほど近藤から、「企業さんの販売をお手伝いしている」というお話と「子どもたちに良い環境の地球を長く残していくためにSDGsにも力を入れている」というお話をしましたが、この2つの話はちょっと矛盾していると思うんです。
私たちがノベルティを作る過程では、「内海産業」 という名前は表に決して出ず、商品にはその企業さんの名前が入ります。 そのため、うちの会社が直接的にSDGsの取り組みをするわけではありません。内海産業がどれだけ「SDGsを推奨しています」と言っても表には出ないので、「地球を大事にします」・「SDGsをちゃんとやりたいです」といった思いを持つ企業さんに対して「どうすればそれを実現する手助けができるだろう?」としっかりと向き合い、考えたことを提案させていただいています。
これはすごく面白い仕組みで、我が社は企業さんの「世の中に貢献したい」という思いを形にするお手伝いをする会社なのです。

近江商人の「三方(さんぽう)良し」という考え方があるのですが、これは「世の中に貢献するためには3つの良しがある」という意味で、 良い影響をもたらす商売をするには、「売り手良し」・「買い手良し」・「世間良し」の3つが必要であるという考え方です。 
内海産業も商売をする会社として、「三方良し」を内海産業流に置き換えて社会貢献を行っています。

1つ目の「買い手良し」はうちの会社に注文をくれるお客様が欲しいと思うような商品を考えることです。 企画部のメンバーが考えていますが、それとは別に「買い手良し」を担当する「買促タイガー」というチームがあります。

2つ目の「売り手良し」は、「売り手=私たち社員」のことで、社員のメンバーが「長く内海産業で働きたい」と思えるために働きがいを高める「Team WE」というチームがあります。

3つ目の「世間良し」は、社会貢献活動を通して社会的責任を果たすことです。ただ、SDGsについては社員の多くが学校では習っていないことだったので、SDGsを経営に実装させるための「ハナミズキ∞」というチームがあります。さらに、女性活躍を推進してD&I※を実現させるという目的の「Bluem」というチームもあります。 

部署を横断したチームになっていて、様々な部門・全国各地の支店から、男性も女性も多様な人たちが1つのチームで活動しています。
内海産業の重点取り組み課題をそれぞれのチームが担当して考えていて、こうした「会社が課題としている取り組みをそれぞれの委員会が担当して行う」というスタイルがあるおかげで、社員全員が社会課題に対して主体的に考えることができるのです。

※D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)・・・年齢や性別、国籍、学歴、特性、趣味嗜好、宗教などにとらわれない多種多様な人材が、お互いに認め合い、自らの能力を最大限発揮し活躍できること(引用:厚生労働省ホームページ

内海産業さんの「三方良し」

鍋島さん

また、国の法律には、「次世代育成法」という「子育てしながら働く社員を支援してください」という法律があります。 企業は、この法律に基づいて行動計画を立て、実施する必要があるのですが、企業の中でも高い水準で子育て支援に取り組んでいる企業は「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受けることができるんです。
内海産業では、その中で最高峰のプラチナくるみん認定を受けました。

実際に、子育てをしている社員の育児休業の取得率・復職率ともに100%で、高い水準で子育て支援ができていると思っています。
実は、この行動計画にはおてらおやつクラブさんのことも書かせていただいてるんです(下図)。 本来は「子育てをしながら働く社員を支援します」ということだけを書けばいいんですが、内海産業としては広い意味での次世代育成支援を目指しており 、「子ども食堂やおてらおやつクラブさん、児童養護施設への寄付を引き続き行っていきます」とあえて明言をしています。
こういった目標を立てて、社員の仕事と家庭の両立に加えて、 子ども食堂やおてらおやつクラブさんなどにも視野を広げ、社員全員が我が事として社会課題である少子高齢化や次世代育成に取り組み、貢献することを目指しています。

内海産業さんの次世代育成法に基づく行動計画
内海産業さんの代表的な社会貢献活動

深堀
内海産業さんの、社員の方の子育てや働きやすさを整えるだけではなく、その先の社会全体の子どもたちの育成もサポートしていきたいというところを行動計画に盛り込んでいるのですね。
「社会全体で子どもたちを応援していこう!サポートしていこう!みんなで育てていこう!」という雰囲気がもっと盛り上がるといいなと思っています。
こういった思いを持った企業や個人の方が増えていくと、私たちおてらおやつクラブがパーパスとして掲げている 「たよってうれしい、たよられてうれしい。」、支援を受ける人も手伝う人もみんなが嬉しい相互の共生社会の実現につながると思いました。


前編は以上です。お読みいただきありがとうございました。

▼後編はこちら


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