お風呂
お寺での修行中は、お風呂は五日に一回とされていた
時間は三十分と決まっていて、入る前と後にお経を唱えなければならなかった
ゆっくり浸かっている暇はない
けれど寒い日が続いて冷えた身体を、出来るだけあたためたい…
わたしはテキパキと頭と身体を洗い、できるだけ湯船に浸かる時間をつくろうとイメージトレーニングをした
そしていざ、お風呂に入り湯船の蓋を開けると、どうしたことか
お湯の汚いこと!
見たことのない油分が浮いている…
こんなことは初めてだったので
絶句したわたしはしばらく固まってしまった
とにかく浮いた油分を桶でなんとかすくい取る…
だめだ、お湯を入れ替えるしかない。いそいで湯を抜いて洗い、新しい湯を入れた
その間に頭と身体を洗った…
わたしの前に入っていたのは、イギリス人のあのお坊さん…
修行歴は長いはずだが…おい頼むぜ…
そのお坊さんは、イギリスの大変裕福な家柄のお生まれだときいたが、次に入る人のことをいっさい考えてくれないこの湯船はいただけないぞ!
絶句したまま浅い湯につかり、お風呂を済ませた
くたびれたのであった…