床拭き
ひ弱な私を見かねて、方丈様は直々に床拭きを教えてくださった。
禅堂がある二階まで、水の入ったバケツを持っていき、雑巾で床を拭く。
しゃがむように拭いていては時間がかかりすぎると、おしりを上げて、前かがみになり、地面を蹴るようにして一気に拭くのが、修行者スタイル。
でも体力がいるし、しんどいから、あまり乗り気ではなかった。
そりゃぁ大工さんや方丈様にはできるけど私にはきついです、と思っていたが、やってみると案外気持ちいい。
しんどいし、息もすぐに上がったけれど、その分からだがぽかぽかとしてきて、汗がにじむ。
たしかに、これを続けていけば、体力がつくかもしれない!
そう思った私は、率先してトタトタ禅堂へ上がり、毎日床を拭いた。
いつか元気もりもりになることを夢見て。